日本の免許からの切り替えが不可能に マレーシア

マレーシア

2025年5月19日、マレーシア道路交通局(JPJ)から、外国の運転免許証からマレーシアの運転免許証への切替え手続きを停止すると突然の発表がありました。

日本人社会にも大きな衝撃を与えましたが、先日、在マレーシア日本大使館が「変更なし」との続報を伝えています。 今回はこの件について詳細をお伝えします。

(引用元:マレーシア道路交通局(JPJ)による外国運転免許証の切り替え停止(続報)|在マレーシア日本国大使館
https://www.my.emb-japan.go.jp/itpr_ja/newinfo_07082025C.html

日本の免許からの切り替えが不可能に マレーシア  

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2025年11月10日

措置の概要(マレーシア・JPJの発表)

マレーシア道路交通局(JPJ)が発表した「外国運転免許証からマレーシア運転免許証への切り替え申請の原則停止」についての詳細は以下の通りです。

 対象者:外国籍者すべて
 例外:外交官、Malaysia My Second Home(MM2H)プログラム参加者
    マレーシア市民で「現地免許取得前に外国運転免許を持っていた者」

12カ月未満の短期滞在者は国際運転免許証が有効で、ASEAN諸国民は自国免許で運転が可能です。

実施に至る背景

以前から、一部国の免許は比較的容易に切り替え可能でした。過去にも一時停止の例があり、2020年末には再開されていましたが、今回は再度停止に踏み切った形です。

安易な切り替えによる安全面の懸念や、免許制度の差異による課題への対応が狙いとみられています。

近隣諸国との比較

シンガポールでは、ASEAN協定によりASEAN諸国の免許保持者は運転可能となっています。他国出身者は、国際免許または公的英語訳があれば短期運転可能です。永住権(PR)取得後は、理論試験のみ受験してシンガポール免許へ切り替えが可能です。

タイの場合は、2025年現在、一定の条件を満たせば外国運転免許証からタイ運転免許への切り替えが可能です。

インドネシアの場合は一応可能ですがやや複雑で、「外国人専用のSIM(Surat Izin Mengemudi)C免許」というカテゴリーがあり、簡易試験・講習が必要です。

日本人社会への影響

これまで日本の運転免許をJPJで翻訳証明などを利用して切り替えていた日本人長期居住者は、今後はマレーシア市民と同様に、教習所への通学、学科・実技試験の両方に合格する必要があります。短期滞在者(90日以内など)は、引き続き国際免許で運転可能です。ただし一時的な対応であり、長期居住への適応にはできないと見られています。

JPJの手続きは非常に煩雑で費用もかかるため、日本人駐在員や留学生などへのインパクトは非常に大きく、衝撃が走っています。

今後の展望

長期滞在予定の方は、渡航前にJPJ認定の教習所で学ぶ覚悟が必要なのが現状で、現在のところ変更の可能性は低いとみられています。日本大使館や領事館の情報更新に注意し、最新情報を常に確認することを強く推奨します。

JPJの意図は理解できるものの、「即戦力ある外国人」まで過度に縛られると、実務上の柔軟性が犠牲になる恐れもあります。代替案として、外国人の運転技能・知識確認だけに特化した簡易テスト方式の導入が考えられます(例:実技試験の免除・軽減など)。

また、ASEAN域内運転環境との相違もあり、今後はより包括的な駐在員向けの免許制度の再設計も求められるかもしれません。

日本人の「更新」は可能か?

今回の措置は「外国免許からの切り替えの停止」であり、すでに正規手続きを経てマレーシア運転免許証(LMM)を所持している人の更新には影響は今のところありません。

マレーシア免許は通常、5年有効であり、有効期限が切れる前にオンラインやJPJオフィスで更新可能です。

ただ、予期せぬ変更の可能性もあるので、日本大使館や領事館の情報更新に注意し、最新情報を常に確認した方が間違いないでしょう。

Malay Dragon

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マレーシア・シンガポール在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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