シンガポール名物!屋台料理が記録的な値上がり

シンガポール

チキンライスにフィッシュボールスープ、プラウンミーといったシンガポール名物の屋台料理が世界的インフレの影響に見舞われています。地元の人気料理を提供する屋台での価格は昨年から7.4%上昇しており、統計局が集計を開始した2020年1月以降で最大の値上がりを記録しています。
前回の記事でお伝えしたユネスコの世界遺産に登録されたシンガポールの屋台に異変が訪れています。
そこで今回の記事では、シンガポールの食品価格の上昇について解説します。

シンガポール名物!屋台料理が記録的な値上がり

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon 
公開日:2022年9月13日

高いインフレ率

シンガポールの消費者物価は 2022年7月期も上昇を続け、コアインフレ率は 13 年ぶりの高水準に達しました。
出所:シンガポール通貨庁(MAS)及び貿易産業省(MTI)

*コアインフレ率とは:ヘッドライン・インフレ率(総合インフレ率)から価格変動が大きい食品価格とエネルギー価格を除外したインフレ率

コアインフレ率は、6 月の 前年比4.4% から4.8% に上昇し、2008 年 11 月に 5.5% に達して以来の最高水準でした。
また、7月の総合インフレ率は7%になり、2008年6月に7.5%に達して以来、14年ぶりの最高値となっています。
この上昇は、燃料費の上昇による電気料金とガス料金の引き上げの影響を反映しているとのことです。ただ、商品や食用油のスポット価格は「ピークを過ぎた」と報道されています。

食品価格の高騰

食品インフレ率は4月の4.1%から5月は4.5%に上昇しました。これは食品サービスの価格がより強く上昇したためです。野村ホールディングスはレポートで、シンガポールの食品インフレは今年後半に8.2%にまで達する可能性があると述べています。
以前の記事で、マレーシアが月間360万羽分の食用鶏肉のシンガポールへの輸出を停止したとお伝えましました。シンガポールが国内に占める農地の割合は約0.9% と非常に小さく、カロリーベース総合食料自給率は10%未満で、多くをマレーシアやインドネシアなどの隣国からの輸入に頼っています。パンデミックによる供給混乱と、ウクライナ戦争による飼料不足、燃料費の高騰が今後のさらなる食品価格の高騰に影響しそうです。

駐在で住むのに物価の高い都市ランキング

ECAインターナショナルは、120の国と地域の207都市を対象に、生活費に関する調査を行った結果、シンガポールは昨年に引き続き世界13位であることを報じました。

*ECAインターナショナル:海外駐在員の管理に関する情報交換を簡素化するために、1971 年に国際企業グループによって設立された組織

また、米国の組織・人事コンサルティング会社マーサーが発表した「2022年世界生計費調査」の都市ランキングによると、シンガポールは世界227都市中で8位でした。
5%というインフレにもかかわらず、シンガポールがランクを上げなかったのは、中国元やUSドルといったほかの地域の通貨に対して、シンガポールドルが弱くなったことが理由であると両者は分析しています。

しばらく続く物価高騰

短期的には、地政学的リスクの高まりと供給網の逼迫状況による原油価格が高騰し、需給のミスマッチと世界的な輸送や地域のサプライチェーンの混乱の中で食料品やその他の商品価格も高止まりすると予想されています。
政府は家庭や企業への物価上昇の影響を鈍らせるため、15億シンガポールドル(約1,471億円)の支援策も発表しました。
しかし、2023 年 1 月には物品サービス税 (GST) が8%に引き上げられる予定で、さらなる物価上昇が見込まれています。
しばらくは家計の厳しいやりくりが求められそうです。


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