国民車ブランド プロドゥア EVを今年中に発売

マレーシアの自動車大手プロドゥアは、2025年末までにEV(電気自動車)を発売することを先日発表しました。
テスラや中国ブランドのBYD、国民車のプロトンが市場シェアを争っている中に挑戦していきます。
今回はあらためてマレーシアのEV市場について詳しく解説します。

国民車ブランド プロドゥア EVを今年中に発売
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2025年7月26日
手頃な価格でEV発売

マレーシアの自動車メーカー「プロドゥア」は、自社初となる電気自動車を2025年末までに発売する計画を発表しました。プロドゥアのアフマド社長の発表によると、2025年10月までに生産体制を確定し、年内の販売開始を目指し、価格は8万リンギット(約260万円)以下に設定して、若年層や家族向けに手頃な価格で提供することを目指しているとのことです。
マレーシアのEVブーム
マレーシアは2030年までに新車販売の15%をEVとハイブリッド車が占めることを目指しています。2024年はEVの販売台数も好調で、前年比で19.2%増の4万5,562台に増加しました。新車販売台数に占めるシェアも前年の4.8%から5.6%へと拡大しており、シェアではBYDが31%、テスラが18%で、2社でEV市場のシェアの半分を占めていました。
独自開発
プロドゥアはダイハツとの関係を維持しつつ、自社開発でEV「eMO-III」の開発を進めていて、2025年5月のマレーシアモーターショーでプロトタイプを公開しました。この取り組みはマレーシア国内での技術力向上と人材育成を促進し、長期的な産業自立への道を切り開くものと評価されています。
迅速なEV展開
一方先行しているプロトンは、中国の吉利(Geely)との提携を活用し、EV市場への迅速な参入を果たしています。2024年12月に発表されたEV「e.MAS 7」は発売から数週間で2,500件以上の予約を獲得し、国内EV市場での存在感を高めています 。また、2025年中にはより小型で手頃な価格の「e.MAS 5」を発売予定で、低価格帯のEV市場での競争力を強化し、BYDと対抗していく考えです。
政府の保護政策
マレーシア政府はEV市場の健全な発展を促すため、輸入EVの最低価格を10万リンギットに設定し、国内メーカーの競争力を保護しています 。この政策により、プロトンやプロドゥアは価格競争力を維持しつつ、国内市場でのシェア拡大を図っていく予定です。
中国メーカーとの競争激化
BYDなどの中国系のEVメーカーがマレーシア市場で急速にシェアを拡大しており、プロトンとプロドゥアにとっては新たな脅威となっています。特にBYDは2024年のEV市場で約31%のシェアを獲得し、リーダー的存在となっています 。
このような過酷な競争環境は、国内メーカーにとって技術革新とコスト削減のプレッシャーとなっています。
インフラ整備の課題
マレーシアでのEVの普及には、充電インフラの整備が不可欠です。
現在マレーシアでは充電ステーションの数が限られており、特に高層住宅に住む都市部の住民にとっては、充電環境の整備が急務となっています 。
持続可能な社会の実現
EVの導入は、温室効果ガスの排出削減や大気汚染の軽減に寄与し、持続可能な社会の実現に向けた重要なステップとなります。プロトンとプロドゥアのEV展開はマレーシア国民の環境意識を高め、持続可能なライフスタイルへの転換を促進する可能性があります。
歴史的転換点
プロトンとプロドゥアのEV市場への本格参入は、マレーシアの自動車産業にとって歴史的な転換点です。政府の政策支援、技術革新、地域市場への展開など、多面的な取り組みが進行中であり、今後の展開が注目されています。
この動きはマレーシアのみならず、東南アジア全体のEV市場の成長と持続可能な社会の実現に寄与することになると期待されています。