2024年 国内観光客2割増 マレーシア

マレーシア統計局は、マレーシアの国内観光が2024年に過去最高の2億6,010万人の観光客を記録し、前年比21.7%増となったことを明らかにしました。
国内観光支出は1,072億リンギット(約3兆6000億円)に達し、前年比で26.3%増加したと発表され、コロナ禍からの観光分野での復活が数字で証明された形となりました。
今回の記事では、マレーシアの観光政策と取り組みについて、多方面から説明します。

2024年 国内観光客2割増 マレーシア
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2025年7月16日
多くの部門で成長

マレーシア統計局のモハメド・マヒディン主任統計官は、国内観光客も観光支出もコロナ禍前の水準を上回ったと述べました。
2019年、マレーシアは2億3,910万人の国内観光客を迎え、1,032億リンギットの観光支出を記録していました。
モハマド氏は「国内観光は力強い上昇傾向にあり、主要産業も目覚ましい成長を見せている」と述べ、次の点を指摘しました。
• 動物園のアトラクションでは収益が 15.6% 増加
• 自動車燃料の売上は、道路交通の増加を反映して 6.7%の増加
• 国内空港の到着者数は6.1%増加
• 4つ星ホテルの客室稼働率は5.9%上昇し、高級ホテル滞在への堅調な需要を示している
• ビーチ沿いの宿泊施設の客室稼働率は12.1%上昇し、市街地でも0.7%の増加
観光客数上位5カ国
2024年の観光客数上位5ヶ国は、1位が隣国のシンガポールで9,099,727人、以下インドネシア、中国、タイ、ブルネイでした。
同氏は「驚くべきことに、インドも113万人の観光客でランキングの6位を確保した」と述べました。
マレーシア観光省も「消費者の信頼感は継続していて、堅調な旅行需要を示している。マレーシア国内観光の成長は続くと予想される」と述べています。
観光産業の経済的・社会的な影響
マレーシアの観光産業は、経済成長と国民生活の向上において極めて重要な役割を果たしています。2024年の国内観光客数の成長は、宿泊業、交通、飲食、小売など多くの関連産業に波及効果をもたらし、国民の雇用機会や所得向上に寄与しています。
観光業はマレーシアの総雇用の21.4%を占めていて、約340万人が従事しています。特に小売、飲食、宿泊、交通などの分野で多くの雇用が生まれています 。
観光客の増加は、地方都市や農村部の経済にも恩恵をもたらしていて、地域格差の是正や持続可能な開発に貢献しています。
観光収入は文化遺産や自然環境の保全活動の資金源となり、持続可能な観光の推進にも寄与しています。
現在の観光政策と取り組み
マレーシア政府は「ビジット・マレーシア2026(VM2026)」キャンペーンを展開し、以下の戦略を推進しています。
①ターゲット市場の拡大:
中国、インド、インドネシア、ベトナム、オーストラリアなどを重点市場とし、ビザ免除措置や直行便の増加を図って市場の拡大を狙っています。
②ニッチな観光の促進:
エコツーリズムや医療ツーリズム、ムスリムフレンドリー観光など、多様な旅行ニーズに対応する商品開発を進めています。
③デジタル化の推進:
AIの技術を活用した観光体験の提供や、ビッグデータによるマーケティング戦略の最適化など、観光産業のデジタル化を進めています 。
④持続可能な観光の推進:
環境保全や地域社会への配慮を重視した観光政策を展開し、長期的に持続可能な観光を推進しています。
今後の展望と予測
政府は2026年までに3,560万人の外国人観光客を誘致し、147.1億リンギット(約4.9兆円)の観光収入を目標にしています 。国内観光客数も2億6,100万人に達する見込みで、観光支出はRM1,520億(約5.1兆円)になると予測されています。
マレーシアの観光産業は、経済成長と社会的な調和の両立を図る重要なセクターとして、今後も多角的な発展が期待されます。政府と民間が連携し、持続可能な観光モデルの構築を進めることが求められています。