フィリピンのお米事情|お米を中心に考える食事文化

フィリピン

東アジアや東南アジア諸国で主食として食べられているお米。筆者の住むフィリピンも例外ではなく、お米が主食となっています。本記事では、日本とは異なるフィリピンならではのお米に関する文化や習慣について紹介しつつ、フィリピン人向けに展開する日本の丼メニューの可能性について触れていきます。

フィリピン人のお米に対する愛は日本人以上!?

   著者:フィリピンgramフェロー たこ坊
公開日:2023年 10月30日

フィリピン人にとってのお米

フィリピンで一般的に食べれらているお米は、パラパラとして粘り気のないインディカ米です。フィリピン在住の日本人の中にはインディカ米が苦手な方も多く、少し値が張ってでも日本米を購入するようにしているという声もよく聞きます。

筆者はX(旧Twitter)上でフィリピン在住日本人の方を多くフォローしており、日本人から見たフィリピン現地の様子を発信している投稿をよく目にするのですが、「フィリピン人はお米が大好きだ」と書かれていることが多いです。その理由は、おかずが限りなく少量であっても、お米を何杯でも食べられるという人がフィリピンには多いからです。中にはおかず無しでお米単体でも喜んで食べる人がいるくらいです。フィリピン人にとって、おかずはあくまでもお米のオマケのような存在であるとも言えるでしょう。おかず少量に対してお米をたくさん食べることから、濃い味付けのおかずが多いのもフィリピン食文化の特徴のひとつです。

また、おかずを食べるときは、日本人のようにダイレクトに口に運ぶのではなく、まずはお米の上に乗せ、スプーンでおかずとお米を一緒にすくって口へ運ぶのが一般的な食べ方です。これはスープ料理でも同じで、スープをお米にかけて、具材とお米を一緒にすくって食べるのが一般的です。筆者は現地の文化に則した生活を送っているのでスープをお米にかけることに対して抵抗はありませんが、同じことを日本でしてしまうと周囲の人達から唖然とされてしまいそうです。

そんなお米大好きな人が多いフィリピンですが、お米の消費量はどうなっているのでしょうか。農林水産省の記事で、世界のお米生産量および消費量について記載があったので引用します。  

(引用元:農林水産省 :特集1 米(2) [WORLD]生産量と消費量で見る世界の米事情
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1601/spe1_02.html

上記の表より、フィリピンのお米の生産量は世界8位、消費量は世界6位であることがわかります。また、日本とフィリピンを比較してみると、人口はどちらも1億人強でほぼ等しいものの、フィリピンの方がお米の生産量は約1.5倍、消費量は約1.7倍多いことがわかります。この数値からも、いかにフィリピン人がお米好きであるかが見て取れます。

お米の豊富な呼び名

筆者がフィリピン人の友人に聞いた話ですが、フィリピンではお米の状態によって呼称が異なるそうです。英語でお米を示す表現はriceのみですが、フィリピンでは少なくとも下記7つを含んだ多くの表現が存在しています。

Kanin・・・炊いたお米
Bigas・・・炊く前のお米
Bahaw・・・炊いた後、時間が経過したお米(まだ食べられる状態のもの)
Sinangag・・・フライパンで炒めたお米、主にガーリックライスのことを指す
Tutong・・・炊いたお米の焦げている部分
Hilaw・・・炊いたお米のうち、水が足りず炊ききれていない部分
Mumo・・・食べ残したお米

炊飯器が普及している日本では白米を焦がすことはほとんどなく、「炊き込みご飯のおこげが好き」という声を聞く程度ですが、一方フィリピンではまだ所得の低い世帯が多いことから、炊飯器ではなく専用の鍋でお米を炊いている家庭が多く、鍋の底に焦げついた白米を見かけることも多々あります。そのため、日本でいう「おこげ」のような表現として「Tutong」という表現があることがわかります。日本では「おこげ」のようにお米の焦げている部分を指す名称はあるものの、時間が経過したお米や食べ残したお米などに特定の名称はありません。フィリピンでは食べ残したものを常温で保存し、数時間後もしくは翌日に食べるという習慣もあるため、どのお米を指しているのかわかりやすく伝えるためにも呼称が細かく分かれているのではないかと考えられます。文化や習慣の違いにより、お米の状態に応じて細かく名称分けがされているのは面白いですね。

日本の丼ものとフィリピン人との相性

フィリピン国内のファーストフードチェーン、マクドナルドやKFCでは、日本にはないご飯メニューを見つけることができます。外資ブランドのレストランであろうとも国民性に合わせてご飯メニューを導入するあたり、お米に対する意識が日本よりも強いことがわかります。

どちらの店舗でも同じくフライドチキンとライスのセットが用意されており、価格はマクドナルドが104ペソ~(約272円~)、KFCが175ペソ~(約458円~)で注文することが可能です。

また、日本のうどんチェーンである丸亀製麺がフィリピンにも進出しているのですが、うどんだけではなく丼ぶりメニューも豊富に取り揃えているのが特徴的です。ショッピングモール内で丸亀製麺の前を通る度にフィリピン人の行列を見かけるので、てっきりうどんが大人気なのかと思いきや、ほとんどの人がオーダーしているのは丼メニュー。特に牛丼を注文している方をよく見かけます。日本ではうどん屋として知られる丸亀製麵が、フィリピンでは丼もの屋としてにぎわっているのを目の当たりにすると、なんとも複雑な心境です。

参考までに、丸亀製麺のメニューの価格帯を一部抜粋します。

Gyudon(牛丼)・・・170ペソ(約445円)
Kake Udon(かけうどん)・・・95ペソ(約248円)

日本の丸亀製麺ではかけうどんが390円なので、本場の日本よりも安く、現地の顧客をターゲットにした価格設定となっています。

牛丼といえば、日本にはチェーン店の吉野家があります。2021年にはフィリピン国内最大のファーストフードチェーン運営会社であるジョリビー・フード・コーポレーションと吉野家との合弁企業が設立され、10年以内にフィリピン国内で吉野家のフィリピン国内店舗「YOSHINOYA」50店舗オープンを計画しています。なお、YOSHINOYAの牛丼価格は159ペソ(約416円)。日本では牛丼並盛が448円なので、丸亀製麺と同様に少し安いフィリピン向け価格設定になっています。

日本では安く早く美味しく食べられることが売りの吉野家ですが、果たしてフィリピンでも牛丼チェーン店として一般層からの支持を得ることができるのでしょうか。フィリピン最大手のジョリビー・フード・コーポレーションが目を付けたからには、フィリピン国内で人気が出るという確信を得ているのだろうと考えられるので、今後の展開に期待しつつ、筆者もフィリピン国内のYOSHINOYAの動向を注視していきます。

まとめ

文化や習慣の影響を受け、お米の状況によって異なる呼称が存在していることや、日本とは異なるお米の食べ方などについてご紹介いたしました。フィリピン人がいかにお米好きなのか、本記事を通してフィリピン人による日本人以上のお米愛を感じていただけたのではないでしょうか。

そんなお米愛の強いフィリピン人向けに、ぜひ日本の丼をはじめとするご飯メニューの展開を考えてみてはいかがでしょうか。フィリピン国内では、ラーメン屋、うどん屋、お好み焼き屋のどこででもお寿司や丼メニューが揃っています。フィリピン人の愛するお米を導線に、自社オリジナルメニューへ引き込むのもひとつの手ではないでしょうか。ぜひビジネスアイデアにご活用いただければ幸いです。

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