「台風の常識」を超えた熱帯低気圧の発生

2025年11月に東南アジアを襲った熱帯低気圧センヤールは、通常台風が発生しない赤道付近のマラッカ海域で発生し、豪雨や洪水をもたらしました。マレーシアだけではなく、インドネシアやタイなどでも甚大な被害が出ています。
従来の常識では説明できない気象現象について、マレーシアの例をあげて説明します。
(引用元:東南アジアでサイクロンが猛威 死者900人超、依然数百人が行方不明
https://www.cnn.co.jp/world/35241081.html)

「台風の常識」を超えた熱帯低気圧の発生
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2026年02月09日
東南アジアの空に起きている異変

東南アジアに暮らし始めて、気づけば30年になります。
この地域の気候には、はっきりとした型がありました。雨季と乾季です。
夕方になると突然降るスコール。激しく降っても、しばらくすれば必ず空は落ち着きました。それがここ数年で変わってきました。
常識を覆した熱帯低気圧
CNNや地元の新聞などが報じた今回の熱帯低気圧による豪雨災害では、赤道に近いマラッカの近くの海域で熱帯低気圧が発生し、マレーシア、インドネシア、タイに甚大な被害をもたらしました。
本来、台風や熱帯低気圧はある程度の緯度がなければ生まれないとされてきましたが、今回はそれがあっさりと崩れました。でも、これは”たまたま”では済まされないようです。
「降り方」が明らかに変わった
最近の雨は、量も時間も異常です。
短時間で信じられないほど降り止む気配が全くなく、道路は一気に川となり水はなかなか引かないということが繰り返されています。
30年前、洪水は年に一度あるかないかの出来事でしたが、今ではあまり珍しさはなくなってしまいました。被害のニュースを見ても、「またか」と感じてしまう自分がいます。
現地で暮らしているからわかる違和感
専門家は海水温の上昇や大気中のエネルギー増加を指摘しています。理屈としては理解できますが、現地に住んでいる者にとっては、それは論文の話ではありません。
空気が重く、湿気が濃すぎるのです。そして雲の色が以前よりもかなり暗く感じます。体が先に異変を感じ取っています。
「昔は違った」という声
現地の人たちも、年配の人も、若い世代も関係なく同じことを言っています。「昔は、こんな降り方じゃなかった」と。この言葉を、ここ数年で何度聞いたかわかりません。
長く住んでいるからこそ、その言葉の重みがよくわかります。
日本にも忍び寄る気候変動の影
日本の異常気象のニュースを見るたびに、私は数年後の姿を重ねてしまいます。東南アジアで今起きていることが、少し遅れて日本に現れます。気候変動は遠い国の話ではありません。
「常識の枠」を再考する時代へ
これまで私たちは、台風は一定の緯度でしか発生しないとか、季節は四季で変わるなど、気候の常識を信じてきました。しかし今回の熱帯低気圧の発生位置や豪雨の激化は、その常識がもはや通用しない気候の変化が進んでいる可能性を示しているように感じます。
気候変動は単なる環境問題ではなく、人命やインフラ、経済までを揺るがす社会課題となりつつあります。各国は気候リスクへの対応を更に強化すると同時に、私たち一人ひとりが起きている変化を理解し、社会としての備えを考える必要があります。
異常気象はもはや未来の話ではなく、今ここで起きている現実の問題なのです。


















