アジア大学ランキング2025 2校がランクイン

イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(THE)」が、先日「アジア大学ランキング2024」を発表しました。
シンガポールからはベストテンに2校がランクインしています。
このニュースと併せて、あらためてシンガポールの教育制度の特徴について深掘りします。
アジア大学ランキング2025 2校がランクイン
著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon
公開日:2025年 7月31日
アジア首位は精華大学(中国)

シンガポールからは、シンガポール国立大学(NUS)と南洋理工大学(NTU)がそれぞれ3位と4位にランクインしました。
アジアの首位は中国の清華大学で6年連続の首位に輝き、日本の大学では東京大学が5位にランクインしています。
非常に高い評価
判定項目は5つの分野に分かれていて、さらに18の指標が設定されています。
シンガポールの2校はいずれも「産業界への貢献度」が満点に近く、「研究の質」や「研究環境」も非常に高い評価を得ています。
シンガポール国立大学の広報担当者は「優秀な学者、研究者、職員、学生、卒業生のコミュニティの傑出した貢献をランキングが証明している」と述べています。
シンガポールからトップの大学が誕生する理由
シンガポールという人口600万人に満たない小さな都市国家から、アジア大学ランキングで2校がランクインするという快挙が生まれた背景には、さまざまな要因があります。
1. 教育最優先政策
シンガポールは建国以来「資源がないなら人材を育てるしかない」という考えのもと、教育を国の最重要投資と位置づけてきました。
教育関連予算は国家歳出の約20%(2023年:13.6%)を占めており、東南アジアでは突出しています。
中学以降は成績別で進路が分かれるStreaming方式を採用しています。初等教育から大学まで能力主義を徹底し、優秀な人材に惜しみなく投資しています。
2.「国家プロジェクト」としての大学教育
NUSやNTUは単なる学術機関ではなく、「国家の国際競争力の象徴」として戦略的に育てられています。
政府主導で海外の有力大学と提携し、カリキュラムや研究支援に反映させています。
その結果、NTUはもともと工科大学でしたが、短期間で世界有数の研究大学に進化しています。
3. 外国人研究者・学生の積極的な受け入れ
教員の約半数は外国籍で、国際的な研究成果を積み上げています。学生も多国籍で、世界約100カ国からの留学生が在籍しています。
研究成果や論文数は、アジアでトップクラスになっています。
「学歴=国力」
資源の乏しい国にとって、人材こそが最大の資本であり、教育によって育まれた知識と技能が、経済や科学技術などあらゆる分野で国の競争力を支えています。
シンガポールはその成功例であり、世界的な高等教育機関を輩出することで優秀な人材を育成し、国際的な存在感を高めています。
学歴を国家戦略と結びつけることで、大学の研究や人材を経済・産業・国家運営に直結させています。
つまり、学歴は単なる個人の履歴ではなく、国の力そのものとなっているのです。
教育が国家戦略
小国シンガポールが教育分野で存在感を示しているのは、決して偶然ではありません。そこには明確な国家戦略と、世界を見据えた教育への投資があります。
英語を基盤とした教育制度、優秀な人材の育成、国際社会への積極的な参加、そして多様な人材を受け入れる開かれた姿勢。
これらが複雑に絡み合い、国を支える強力な知的基盤を築いていており、進化し続ける原動力となっているのです。