MICEビジネスが地域経済を活性化させる!シンガポールの成功事例から学ぶ

シンガポール

シンガポールは、失業率削減のために観光振興に力を入れており、国際会議や展示会を中心としたMICEビジネスに注力している。これにより、外国からの来訪者や出展者が増加し、地域経済の発展に繋がっている。MICEビジネスのメリットは、地域に波及する消費による経済的な効果に加えて、国境を超えたネットワークの構築や新たなビジネス、イノベーションの創造につながることである。シンガポールの「マリーナ・ベイ・サンズ」と「リゾート・ワールド・セントーサ」は、IR(統合型リゾート)における日本のお手本とされている。
今回の記事では、MICE先進国であるシンガポールの取り組みについて解説します。

観光立国化に向けたIR戦略!シンガポールの成功事例から学ぶ

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon 
公開日:2023年5月8日

MICE(マイス)とは?

MICEとは、4つのビジネスやイベントの頭文字をとった造語で、4つのビジネスとは、Meeting(企業などによる会議や研修)、Incentive Travel(企業などによる研修旅行など)、Convention またはConference(国際会議)、ExhibitionまたはEvent(展示会や見本市、イベントなど)になります。 

MICEのメリット

MICEは、国際会議や展示会、イベントなどの活動を通じて、大きな規模で「人」「モノ」「金」「情報」が動くことが大きな特徴です。観光事業にも影響を及ぼしますが、地域への集客でもたらされる消費による経済的な効果に加えて、そこから徐々に広がる波及効果にこそMICEのメリットがあると考えられています。

国際的なイベントの開催で世界中の国や地域から多くの人々が開催地に集結し、特に先進的な技術やノウハウを持った人々が集まり交流することで、国境を超えてネットワークが構築され、新たなビジネスやイノベーションが創造される可能性があります。

また、開催都市の国際的な地位の向上が促され、ビジネス環境の向上にも役立ちます。

日本型IR

日本が目指しているIR(統合型リゾート)は、日本の成長戦略のひとつとして掲げられている観光立国化によるインバウンドの獲得が大きな目的になっています。

日本型IRのメリットとしては、富裕層のインバウンド誘致が考えられており、消費や税収が増加する経済的なメリットや、地域の活性化による雇用促進も期待されていて、2024年で生産増加額が約3,000億円、雇用創出が約3.2万人、2030年には 約6,300億円の生産増加額と約7.0万人の雇用創出が見込まれていました。

日本型IRのお手本

日本型IRのお手本になったのが、2010年に開業したシンガポールの「マリーナ・ベイ・サンズ」と「リゾート・ワールド・セントーサ」の2つのIRです。

IR開業後に観光客数は倍近くに、観光収⼊は9割増加し、この2つのIRの開発で約1兆円規模の⺠間投資が実現され、直接雇用で4万人強が実現されています。

「IR実施法案」

日本型IRはカジノを含む統合リゾートであることから、社会的な悪影響などさまざまな懸念があり、検討され続けましたが、先日大阪府のIR計画を政府が承認し、2029年冬の開業を目指すことになりました。

日本には長い時間をかけて形成されてきた独自の文化があります。日本を訪問するインバウンドはこの日本独自の文化の体験や、アニメなどの新たに創造されたクールな文化を楽しみにしているので、日本が目指すIRはお手本となったシンガポールとは異なってくるはずです。

持続可能なMICE

シンガポールでは、MICEのサステナビリティの基準を引き上げるための明確な目標と戦略を「MICE持続可能性ロードマップ」として定めています。

この「MICE持続可能性ロードマップ」では、シンガポールを、引き続きアジア太平洋地域で最も持続可能なMICE開催地として位置づけるために3つの具体的な目標を掲げ、コロナ後もMICE先進国として発展すべく進めています。

食品展示会

2023年4月末には、アジアで最大級の国内外の食品業界関係者が集う食品展示会が、コロナ禍を経て以前の規模で再び開催されます。

私自身も10数年前に展示者として参加したこともあり、3年ぶりに展示会への訪問を予定しています。

あらたなステップに踏み出したシンガポールのMICEを肌で感じてきたいと期待しています。

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