アートトイが中国で大人気!市場を牽引する若者が魅了される理由とは
現在中国ではアートトイが若者の間で大人気となっている。グッズが売れるだけでなく、ファンのためのアートトイイベントが各地で開催されるなど、その人気ぶりは留まるところを知らない。日本でも中国のアートトイが認知され始め、中国ならではの美的センスに魅了される人が増えている。
本記事では、そもそも中国のアートトイとは何か、アートトイが若者から絶大な支持を受けている理由、市場規模と今後の展望について解説する。
アートトイが中国で大人気!市場を牽引する若者が魅了される理由とは
著者:上海gramフェロー 米久 熊代
公開日:2024年8月21日
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中国のアートトイ(デザイナーズトイ)とは?
アートトイ(デザイナーズトイ)は中国語で「潮流玩具」という。アートトイとは、クリエイターが独自にデザインをしたフィギュアのことを指す。デザイナーやアーティストが創り出したアートトイは単なる玩具の枠に留まらず、その芸術性の高さや希少性から高額で取り引きされることもある。
中国発のアートトイといえば、日本にも上陸したPOP MART(泡泡瑪特)を思い浮かべる人が多いだろう。さまざまな場所にショップがあり、週末は若い客で賑わっている。上海市ではショップだけでなく、アートトイの自動販売機が設置されている場所も少なくない。また、愛好家交流会などオフラインイベント等も開催されるほどの人気ぶりだ。
中国で人気のアートトイはPOP MARTだけではない。KAWS(カウズ)やBE@RBRICK(ベアブリック)などは特に人気でホテルや雑貨店、アパレルブランド、飲食店などでよく取り扱っている。コラボ商品としても販売され、入手困難なモデルは市場価値が非常に高い。
最近では、日本人クリエイターが生み出した作品が中国で大ヒットした。
拡場
少しシュールだが可愛らしく癒される、他にはない魅力の猫のキャラクター「mofusand(モフサンド)」が中国人の若者の間で人気となっている。中国語でモフサンドは「猫福珊迪」という。
モフサンドは、XやInstagramにてイラスト投稿などの活動をしている日本のイラストレーター「ぢゅの氏」がデザインした作品で、「サメにゃん」「えびにゃん」などが有名である。
その人気ぶりを受け、中国のドリンクチェーン「奈雪的茶」はモフサンドとのコラボ商品を発売。コラボ期間中限定のドリンクやスイーツ、ステッカー、キーホルダー付き保温ミニボトル、グラス、ミニポーチなど、いずれのオリジナル商品も好評だったという。
2023年12月は上海、2024年1月には北京、3月には深圳と、中国の都市部を中心にモフサンドのポップアップショップが次々に設置され多くのファンが訪れた。
中国では「猫」の商品が人気になる傾向にある。中国のスターバックスが数年前に国内限定で発売したネコの肉球グラスは即完売し高値で転売された。今年も中国限定で猫をモチーフにしたタンブラーなど多数の猫グッズを販売し人気となった。
BE@RBRICKと不二家のキャラクターペコちゃんがコラボした「招き猫」のモデルは大人気で、一時期は特に希少性が高いものとなった。中国においても、商売繁盛の願いを込めレジの横に招き猫を置いている店をよく見かけるほど、縁起物としての考えが浸透している。
ペットとして犬より猫を飼う中国人女性が増えたというニュースもあり、忙しい毎日を送る若者をストレスから癒してくれる猫は人気で、猫がモチーフのアートトイやグッズがヒットするのはこれらの事実も関係しているのかもしれない。
中国の若者にアートトイが人気の背景
多くの消費者はデザイナーズトイに対し、芸術的価値やコレクション価値だけでなく感情的価値も感じている。中国の玩具メーカー「52TOYS」の柏潔副総裁は「若者は自己表現を望んでいる。多くの人がアートトイを選ぶのは、それらが自分を演じてくれているように思うからだ。彼らは自分の生活を見るようにデザイナーズトイを見ている」と語った。
(引用元:36Kr https://36kr.jp/254750/)
アートトイの人気は中国人の仕事場へも反映されている。日本でも自分のデスクに観葉植物やお気に入りのフィギュアを飾ることがあるが、あくまで仕事場での許容範囲内に留める人が多いのではないだろうか。しかし、中国人の特に若者で女性の職場のデスクは個性が爆発していると感じる。全員ではないし職場にもよるだろうが、日本と比較すると中国の多くの若者が好きなキャラクターやアートトイをコレクション棚のようにパソコンやデスクに飾り、自分流にカスタマイズしている。好きな物に囲まれることで仕事のストレス軽減を図るとともに、自分の個性を表現しているようだ。
アートトイ市場は今後も拡大予測
世界のアートトイ市場は高度成長段階にあり、2015年に87億ドル(1ドル=約149円)だった市場規模は22年に340億ドルまで拡大した。「2023中国玩具・ベビーキッズ用品業界発展白書」によると、22年の中国のゲームを除く玩具輸出額は前年比5.6%増の483億6千万ドルだった。世界のアニメ派生商品の8割は中国で作られており、うち3分の1以上が東莞で生産されている。
中国アートトイの先駆けとして知られる「泡泡瑪特(ポップマート)」の23年中間(1~6月)決算は売上高が前年同期比19.3%増の28億1400万元だった。海外事業も好調で香港・マカオ・台湾地区と海外の売上は2.4倍の3億7600万元となった。今年上半期には新たにフランスやマレーシアで店舗を開設したほか、海外の大型展示会への出展やアーティストを招いた販売サイン会などを行い、ブランドのグローバル化を進めた。
(引用元:36Kr https://36kr.jp/254750/)
まとめ
アートトイは数年前からブラインドボックスなどの手法で爆発的な人気を博した一方、一時期は全盛期ほどの勢いはなくなり、成熟期に入るだろうともいわれていた。しかし、熱狂的なファンが多くいるアートトイ市場ではさまざまなイベントが開催され、中国国内に留まらず海外へ渡り、その人気は順調に浸透、拡大している。
日本発のマンガやアニメのキャラクターが度々大ヒットする中国で、モフサンドの猫のように日本人クリエイターが創り出した作品が、今後も中国で大ヒットする可能性は十分にあるだろう。