隔離中も即完売!中国で人気の高いインスタントコーヒー市場
現在では、主に都市部の中国人の間でコーヒーがブームとなっており、中国上海市のカフェの数は世界最多となっている。市場競争が激しくなっているコーヒー市場だが、長い間インスタントコーヒーが大きなシェアを占めているという。
上海市は現在、ゼロコロナ政策の影響で封鎖となっているが、隔離中にインスタントコーヒーが即完売となってしまうほどの人気ぶり。
本記事では、上海市での隔離生活を交えながら、中国のインスタントコーヒー市場についてご紹介する。
隔離中も即完売!中国で人気の高いインスタントコーヒー市場
著者:上海gramフェロー 米久代
公開日:2022年4月21日
隔離中もコーヒーを買い求める中国人
中国の上海市は3月28日より現在に至るまで、事実上のロックダウンとなっている。筆者の住んでいる浦西エリアでは4月1日~5日まで封鎖の予定だったが、4月11日現在も封鎖は解かれず、解除の目途も立っていない。
食品や日用品をネットで注文できたとしても、配達員不足のためほとんど届かない。筆者が住んでいる小区では、隔離中に食品や日用品の配給が2回あったが(配給のないところもある)、在庫がなくなるのも時間の問題だ。2500万人の上海市民は誰一人としてこの状況を予期していなかっただろう。「コロナに感染して死ぬ前に餓死してしまう」と、配給さえ手元に届かない人は話す。
隔離が延長されたことにより、筆者が住んでいるマンションでは団体購入で物資を確保することができている。例えば卵は100パック以上の注文で購入が可能。100パックの注文に満たなければ支払った代金は返金され、当然、商品が手元に届くことはない。注文数が足りず野菜や果物が買えないこともあるなか、すぐ売切れとなってしまった商品が1つ存在する。それは意外にもインスタントコーヒーであった。
筆者が住んでいるマンションでは、野菜や肉、米など栄養をとるために必要な食糧よりも、嗜好品であるコーヒーの人気が非常に高い。今のところ、隔離中にこんなにも早く売り切れてしまった商品はインスタントコーヒーだけだ。お茶文化の中国ではあるが、コーヒーはお茶に匹敵するほど上海市民の生活に広く根付いているのだと、隔離中に改めて感じた出来事だった。
では、中国全体におけるインスタントコーヒー市場はどうなっているのか。
中国におけるインスタントコーヒー市場
中国のコーヒー市場では長年、インスタントコーヒーが大きなシェアを占めている。コーヒー金融網(中国のコーヒー関連情報プラットフォーム)が公開する「2020年コーヒー年報」によると、中国の大手電子商取引(EC)プラットフォームの天猫(Tmall)と淘宝網(Taobao)で2019年に取引されたインスタントコーヒーの売上額は、21億1,478万元。コーヒー豆の売上額は4億1,116万元、レギュラーコーヒーは3億2,444万元であり、他ジャンルと比べて圧倒的に大きい。
(引用:JETRO https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2022/f3a5c74b8a8968f1.html )
では、なぜ中国でコーヒーがこんなにも人気となったのか。中国のGDPが増加するにつれて、消費者の経済力と生活水準も引き上げられ、コーヒーのような嗜好品を楽しむゆとりができたからだと考えられる。中国経済メディアの第一財経によると、中国のコーヒー消費量は毎年平均15~20%の勢いで増加しており、世界規模の2%を大幅に上回る結果となった。
(引用:チャイトピ! https://www.chaitopi.com/2022/02/15/coffee/ )
中国の上海市は、世界で最もカフェが多い都市として知られている。ライバル店のカフェがいくつも隣接していることは、上海では当たり前の光景だろう。スターバックスのコーヒーは、上海で展開するカフェチェーン店では平均的な値段であり、一杯29元(約522円)。それに対し、インスタントコーヒーは一杯1元(約18円)~5元(約90円)で飲むことができる(筆者調べ)。安価な値段でも本格的な味のコーヒーを楽しむことができるため、インスタントコーヒー市場が拡大しているのも納得がいく。
まとめ
中国のコーヒー市場規模は2020年に3,000億元(約5兆4,297億円)を記録しており、2025年には1兆元(約18兆円)に達する見込みである。
(引用:チャイトピ! https://www.chaitopi.com/2022/02/15/coffee/ )
中国ではコロナ感染者が急激に増加した影響で、ロックダウンになっていない都市でも外出を控える国民は多い。
コロナの終息目途がまったく立っていない中、お家時間に欠かせない嗜好品のコーヒー市場に今後も期待したい。