コロナ後の韓国、現在の様子と変化

東アジア

韓国では2022年8月から日本人の観光が再開し、最近では街で日本人観光客をよく見かけるようになりました。筆者が韓国に入国したのは屋外マスク着用義務が解除された2022年5月末。人気観光地である明洞はかなりのお店がつぶれてしまい、ゴーストタウンのような状況でしたが、現在ではアジア、ヨーロッパなどからの多くの外国人観光客が戻り、にぎわいを取り戻しつつあります。
ノーマスクもそう遠くない、コロナ後の韓国の様子を記事にしました。

コロナ後の韓国、現在の様子と変化

   著者:韓国gramフェロー 田中 桃子
公開日:2022年1月17日

現在の様子

韓国では今年の5月に屋外でのマスク着用義務が免除されて以降、屋外では8割程度の人がマスク非着用で過ごしているようにみられます。飲食店などでも、入店時はマスクを着用し、席に着いたらすぐにマスクを外し、会話を楽しみながら食事をしています。現在は気温が下がったこともあり、屋外でもマスクをしている人の方が多くみられます。

マスク着用に関して

・室内 
常時マスク着用

・屋外 
集会・公演・イベントなど大人数が集まる場合。他人との距離に関係なくマスク着用。他人と2m以上の距離を置くのが難しい場合マスク着用。

・正しいマスクのつけ方 
マスクは口と鼻を完全に覆い、顔とマスクの間に隙間がないよう密着させて着用するのが重要。

・着用可能なマスクの種類 
保健用マスク(KF94,KF80など)、飛沫遮断用(KF-AD)及び手術用マスク。口と鼻を覆う布・綿マスク、使い捨てマスク。

・反則金について 
違反当事者:マスクを着用していなかったり、正しく着用していない場合、10万ウォン(約1万円)の反則金を課す。
施設管理者、運営者:防疫ガイドライン及び案内等の管理義務行わない場合300万ウォン(約30万円)以下の反則人を課す。 

(出典:韓国疾病管理庁 https://www.kdca.go.kr/gallery.es?mid=a20503020000&bid=0003&act=view&list_no=145087

どんなマスクが人気か?

韓国ではKF94、KF80のような厚みのあるしっかりとしたマスクを着用している人がほとんどで、不織布マスクや布マスクを着用している人はあまりみられません。韓国は黄砂もあるため、コロナ感染防止だけでなく黄砂予防の効果もあるかと思われます。


また、筆者がよく利用するソウル駅にある大型スーパー、ロッテマートでは入り口に従業員が立ち、マスク非着用の人には入店拒否をしているシーンを何回か見たことがあります。小さなカフェや飲食店でも入店時マスク非着用の人には積極的に声をかけて、着用を呼び掛けていました。

市民生活の変化

仕事、勉強の変化
コロナ禍になり韓国でも在宅勤務が増えました。在宅勤務について、通勤時間が減ったことや時間に余裕ができたという理由で77%の人が満足している反面、仕事の集中力や効率性が落ち、会社で仕事ができないという不満もあるそうです。

また、オンライン授業に関しては49%の生徒が満足していると回答。服装を気にすることなく、自由なライフスタイルを確立できる為、という理由が多いようでした。反対に、保護者の満足度は39%にとどまり、生徒と保護者間ではかなりの温度差を感じます。

趣味の変化
コロナ禍で自宅時間が増え、日本と同じように韓国でも自宅でできる趣味への関心が高まりました。

文化活動、野外活動、対人活動、外食が大幅に減少し、動画コンテンツの視聴、料理など、家庭でできる趣味を楽しむ人が大幅に増加しました。特に動画コンテンツの視聴率が大幅に増加し、35%がテレビの視聴時間が増えた、20%が1日3時間以上テレビを視聴していると回答し、前年比で約8%増加しました。

それに伴い、ネットフリックス、YouTubeプレミアム、Amazon、Wachaなどの動画コンテンツの利用者が急増し、ネットフリックスの利用者数は歴代最大値を記録しました。

インターネット使用料も44%増加したそうです。その一方、感染リスクのある映画館は観覧客が急減し大きな打撃を受けました。韓国最大のマルチプレックスチェーンCGVは、経営難克服のため国内35店舗の営業を中断しました。

また、10代20代には趣味としてWEBコンテンツが注目されていて、WEB小説やWEBTOON(漫画アプリ)が主流のコンテンツとして定着しています。


韓国人の友人もWEBTOONを見ている人が多く、無料で多くの作品が読めるので韓国の若者達の間でかなりはやっている印象でした。
現在は「アバター:ウェイオブウォーター」の上映もあり、筆者も実際に映画館に足を運んでみましたが、空席もなく、徐々に映画館にも客足は戻りつつあると感じました。

ショッピング
コロナの影響でネットショッピングの利用も大幅に増加しました。週1回以上のオンラインショッピングの割合は50%に増加、特に日用品、食品の購入が急増しました。
また、外食が減少したため、フードデリバリーアプリの利用が1兆2000億ウォン(約1200億円)に達し過去最高を記録しました。ホームパーティ―の需要も高まり、スーパーではミールキット、ワインなどが人気を集めています。韓国の大型スーパー、ロッテマートでもたくさんの種類のミールキットが並んでいます。
ただ、活動の制限が増え運動不足で肥満率も増加しました。20~30代の男性が6.2%、女性が2.7%と、肥満率が上がっています。

韓国ではペダルと呼ばれる宅配サービスがとても有名で、国民の70%以上が利用しているといわれています。街にはフードデリバリーのバイクが日本よりもたくさん走っています。飲食店で、「提供までに時間がかかるなぁ」と思っていたら、宅配用を大量に調理していたということも多々あります。

屋内ノーマスクももうすぐ?

韓国政府は12月23日、コロナ19防疫措置のマスク着用について、防疫条件が良くなる場合段階的に室内マスク着用義務を解除するという計画を発表しました。一段階目は感染リスクの高い医療機関、薬局、福祉施設、公共交通機関内では着用義務が維持されるというものです。
また、大田市と忠清南道などは早ければ来月から室内マスク着用義務を独自に解除するという案を検討しています。

だた、国民の過半数はすでに室内マスク義務を解除してもいいという考えがあり、ヨーロッパのように公共交通機関でのみ義務化してほしいという声も多く上がっています。
満18歳以上の全国民1000人を対象にアンケートをとった結果、55%がマスク義務は解除可能と回答しているそうです。

韓国人の友人も、飲食店ではマスクを外して会話をしながら食事をするのに、室内でのマスク着用義務があるのは理解できないと話していました。韓国では国民の3人に1人がコロナに感染したことがあるともいわれており、すでにコロナは普通の風邪と同じという考えを持つ人が多く感じられます。

引用:BBC korea news
引用:ソウル新聞

まとめ

一時はかなりのお店が潰れゴーストタウンのようだった人気観光地にも、外国人観光客が増え活気を取り戻しつつある韓国。コロナ禍でも動画コンテンツ、漫画アプリの利用で自宅時間を充実に過ごす人が多かったようです。また、フードデリバリーサービス、ミールキットなど家庭で楽しめる食事形式の流行も続いています。
今後は中国人の海外旅行解禁や、今月21日~24日の“`설날”(韓国の旧正月)で人の往来が盛んになることが予想されます。
そう遠くない未来に屋内でもノーマスクが可能になりそうですが、まだまだ気を抜かず個人でのコロナ対策をしっかりと行っていくことが重要です。

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