ラトビアの郵便事情

エストニア

オンラインで何かを注文するのが当たり前の時代、頼んだものを届けてくれる物流事情は生活の要である。ラトビア内では内資、外資の両方の運送会社が動いており、その質は会社によりけりである。それぞれのサービスがどのようにラトビアで動いているのかを説明する。

ラトビアの郵便事情

著者:ラトビアgram fellow さえきあき
公開日:2025年2月11日

国営の「Latvijas Pasts」

基本的に荷物を管理してくれるのは、Latvijas Pastsという企業。国営企業にあたるもので、ソ連崩壊後に再独立した1991年の翌年、1992年からサービスを開始した。筆者は荷物の送付、受け取り、どちらのサービスも利用したが、可もなく不可もなくといった印象だ。長年勤めているであろう50-60代の受付員達が笑顔もなく手早く仕事をこなしていく。サービス業に従事する人に笑顔がないのは当たり前なので、誰も文句は言わない。

特徴があるとすれば、届いた荷物が預けられるロッカーだろうか。通常、Latvijas Pastsに荷物が届いた場合、家に紙の通知が来て「〇月〇日までに□□に取りに来て」ということが知らされる。日本のようにピンポンを押されるということはほぼない。欧州のアパートは自分の家に入るまで電子キーが最低2段階はあるため、目的の家まで配達しに行くのは効率的でなくほぼ不可能に近いのだ。

そのため自分で荷物を郵便局に受け取りに行く。ただ、ラトビアの電話番号を持っていて事前登録をしていれば、職員が荷物をロッカーに移動しておいてくれる。昼休憩を犠牲にして長蛇の荷物受け取り列に並ばなくても、郵便局内にあるロッカーから荷物の取り出しができるのだ。

外資系運送会社

Latvijas Pastsは送料無料の商品を購入した時に自動的に割り振られる運送会社である。服や家具など、ブランドのサイトから直接購入するようなものになると違う方法で送られてくる。以下にいくつか紹介する。

①Omniva
母体がエストニアの国営郵便局で、バルト3国全体に支社を置いている。オレンジ色がトレードマークである。市内にOmnivaの営業所がないため、荷物を受け取るときは荷物受け取りロッカーに赴くことになる。配達員がロッカーに荷物を入れ終わると、ロッカーを開けるための暗証番号がメールもしくはSMSで知らされるので、その番号を控えてロッカーに行くだけですむ。

②DHL
日本にも拠点を置く、ドイツの国際宅配サービス。世界に広く普及しているサービスだけあって、荷物が紛失することはほとんどない。DHLの配達員が直接届けに来てくれるか、自分でロッカーまで取りに行くかを選ぶことができる。ロッカー受け取りを選択しない場合、平日の昼間に配達員が電話をかけてきて「今家にいる?荷物届けにきました」ということになり得るため、多くの人がロッカー受け取りを選択する。

受け取り方法の選択は簡単で、荷物が届く2-3日前にメールでお知らせがきた時に受け取り方法を選択、どこのロッカーで受け取りたいかを決めるだけだ。

③Venipak
紫色がトレードマークのリトアニアの運送会社。こちらもラトビア内に荷物を送受できる営業所はないものの、いくつも置かれたロッカーがその役割を果たしている。

荷物の送付、受領ともにロッカーが大活躍

上記では荷物の受け取りについて書いたが、荷物を送付するときにもこのロッカーは活躍する。具体的には、商品の返品をする時だ。オンラインで注文すると、あらかじめパッケージの中に返品手続きをする際に箱に貼るシールが付いてくる。これをぺたりと貼りつけて、荷物を運んできてくれた運送会社のロッカーに持って行き、開いているロッカーに入れるだけである。市内の中心部であれば半径1キロ以内に確実に1つはロッカーがあるため、仕事帰り、土日など気にせずポンと返品ができるのだ。

まとめ

ラトビアには国営から外資系までさまざまな物流サービスが共存し、それぞれが独自の役割を果たしている。特に注目すべきは、荷物の受け取りや送付の際に欠かせないロッカーの存在である。

効率性を重視したこの仕組みはラトビア特有の都市設計やライフスタイルに見事に適応している。便利さと実用性を両立したこのシステムは、今後も進化を続け、さらに利用者の期待に応えていくであろう。

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さえきあき

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エストニア在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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