シンガポールターフクラブ 180 年の歴史に終止符
シンガポールの西部に位置する「シンガポールターフクラブ」は、1842 年に設立されたシンガポールで唯一の競馬クラブです。
2024年10月に閉鎖され、180年以上続いた歴史に終止符が打たれます。
今回は、長い歴史があり、日本とも関係が深いシンガポールターフクラブについて紹介するとともに、シンガポールのギャンブル事情について解説します。
シンガポールターフクラブ 180 年の歴史に終止符
著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon
公開日:2023年 7月28日
英国の植民地時代に歴史がスタート
1819年、わずか150人程度の人口を抱えるシンガポールにイギリス人のラッフルズが上陸しました。当時シンガポールはジョホール王国の支配下にありましたが、ジョホールの国王から商館建設の許可を得て、シンガポールと改名されました。
その後1824年に、イギリスはジョホール王国からシンガポールを正式に割譲され、都市計画が進展しました。シンガポールターフクラブは、そのわずか18年後の1842年に創設されました。創設の目的は、「植民地における馬の輸入と改良を奨励する」ことでした。
エリザベス女王も来訪
競馬熱の高まりに応え、シンガポールターフクラブは2度にわたって競馬場を移転しました。その中で最も注目されるレースは、エリザベス女王の国賓訪問中に開催された「クイーンエリザベス2世カップ」です。
女王自身が訪れ、2万6000人以上の観客が女王を拝見するために集まりました。また、1995年にはロックスターのロッド・スチュワートがコンサートを開催し、8,000人が来場しました。
2027年には閉鎖
シンガポールターフクラブは、最後のレースとして第100回グランド・シンガポール・ゴールドカップを2024年10月5日に開催します。
その後、2027年までにクラブは閉鎖され、政府に返還される予定です。政府は跡地を公営住宅やハイテク農場、レジャーやレクリエーション施設などに再開発する計画を発表しています。
シンガポールのギャンブル事情
シンガポールで合法とされているギャンブルは、競馬のほかにカジノやサッカーなどのスポーツ賭博、ジャックポットがあります。カジノの導入に際しては、ギャンブル依存症や治安悪化などの懸念があり、慎重な議論が重ねられました。
カジノ規制庁などの政府関連機関が設置され、依存症対策として啓発活動や入場制限プログラムが導入されました。政府の統計によると、カジノ開業前の2005年から2017年にかけて、国民のギャンブル依存症の割合が減少していることが示されています。
ギャンブル依存症は減少傾向に
政府の統計によると、カジノ開業前の2005年の調査では4.1%だったギャンブル依存症の割合が、2011年には2.6%、2017年の調査結果では0.9%にまで下がっており、国民のギャンブル依存症は減少傾向にあるようです。
観光の一環のカジノ
シンガポールには2つのカジノが営業していて、多くの観光客が訪れています。これらのカジノは観光地に隣接しており、観光の一環として楽しむことができます。
ただし、シンガポールの魅力を享受するには、責任を持ってギャンブルを楽しむことが重要です。