イタリアで一時停止していたChat GPTがようやく再開へ

イタリア

良くも悪くも、なにかと話題が絶えないChatGPT。

イタリアでは個人情報管理局が2023年3月31日から利用の一時停止を決めた。このまま利用できないかもしれないとした消費者に、運営会社のOPEN AI社は返金対応をしていたほどだった。

イタリア当局とOPEN AI社間での話し合いがなされ、4月30日にようやくイタリアでもChatGPTのWEBプラットホームを確認されるようになったが、どのような経緯で、どのように妥協、改善されたのかを解説したい。

イタリアで一時停止していたChat GPTがようやく再開へ

著者:イタリアgram fellow 伊田里アネ
公開日:2023年5月23日

ChatGPTの一時停止から再開になった理由

イタリア個人情報管理局が懸念していたのは、ChatGPTはアルゴリズムの訓練のために、世界中のユーザーの会話から個人情報を入手している可能性があるという点だった。それは明らかに個人情報保護法に違反している。しかし、1ヶ月の討議の末、ChatGPTのガイドラインはEUの個人情報保護法に準拠しているとし、ようやくイタリアでもオンライン上でChatGPTのプラットフォームを確認できるようになった。

EU圏内のユーザーと非ユーザーそれぞれに、個人情報がどのように処理されるかを説明した上で、簡単にオプトアウトできることを明確にした。

登録ユーザーにはプライバシーポリシーを拡充し、非登録ユーザーでさえも、そのデータがアルゴリズムの訓練に使用されることをオプトアウトできるというものだ。

そしてイタリアでの利用において、新しいプライバシーポリシーのリンクを設け、アルゴリズムの訓練のための個人情報の収集をオプトアウトできる許可を通知をさせる。

イタリアに限らず、EU全般において、アルゴリズム訓練のために使用される会話と会話履歴の全てを削除できるというフォームも実装することとなった。

未だ懸念されるのは未成年の確認方法

とかく青少年保護に手厚い国イタリア。

なにせエレベーターですら、12歳以下の一人使用は禁止にしているくらいだ。そんなことで、ChatGPTの13歳未満の使用についてもかなり討議された。

まずはじめに18歳以上であるというボタンを実装。そして13歳から18歳については、保護者の利用同意があるかないかを確認する。

イタリアでの再開条件において、OPEN AIは5月30日までにこの未成年の利用改善をイタリア当局に提示しなければならない。そしてその実施は9月30日とされている。

製作者の意図通りに運営サービス提供ができるのかは疑問

イタリアの個人情報局がOPEN AIに質問した懸念点は、全て解決できたといえよう。したがって、OPEN AI社は、イタリア当局が課していた個人情報取り扱い違反の罰金2000万ユーロ、または年間売上高の4%の罰金を免れた。

しかしそもそもアルゴリズムの訓練のためのデータ収集がされていたのかといえば答えはノーなのだが、どのようにアルゴリズムが訓練されているのかというのもまた気になるところだ。

日本とイタリアを含めたEU圏では、ChatGPTの使用に温度差があるのは間違いない。

翻訳ソフトによってはとんでもない翻訳になって返ってくることがあるが、そういう面での温度差は、アルゴリズムの訓練回数によって培われていることも忘れてはならないだろう。

◇参考資料:ChatGPT: OpenAI riapre la piattaforma in Italia garantendo più… – Garante Privacy
https://www.garanteprivacy.it/home/docweb/-/docweb-display/docweb/9881490

◇参考資料:24 Tecnologia Economia digitale
https://www.ilsole24ore.com/art/chatgpt-si-adegua-norme-privacy-pronto-tornare-online-italia-AEpeGLND

◇参考資料:ChatGPT è tornato disponibile in Italia | Wired Italia
https://www.wired.it/article/chatgpt-torna-disponibile-italia-openai-garante-privacy/

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