マレーシアの外食事情:豊かな食文化と外食好きの融合
以前こちら記事で、マレーシアの豊かな食文化について解説しました。豊かな食文化を、マレーシア人は主に外食で楽しんでいます。マレーシアは「外食天国」といわれるほど飲食店がたくさんあります。
開放的な屋台食堂、屋台が集まるオープンエアのホーカー(集合屋台)、ショッピングモールのフードコートなど飲食店の種類も多く、フードトラックなども路肩でよく見かけます。
朝食を外で食べる家族も多く、外食はマレーシアの食生活に欠かせないものになっています。
そこで今回は「マレーシアの外食文化」について解説します。
マレーシアの外食事情:豊かな食文化と外食好きの融合
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2023年7月6日
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外食好き
調査によると、マレーシア人の64.1%が自宅での食事より外食を好むそうです。また、87%の人が週に1回以上は外食します。これは世界平均の74%に比べてかなり高く、世界の他の国よりもマレーシア人が外食好きであることを示しています。
外食の頻度は、月に15~16回。特にミレニアム世代はその傾向が強く、団塊の世代はそうでもないようです。
マレーシア人の外食費は、1か月の消費支出の20%を超えています。
地域別に見るとクランバレー(クアラルンプール首都圏中心)では、他の州に比べて毎日最も多くの人が外食しています。これはやはり、発展した大都市圏の忙しい生活の中では、外食が便利であるということでしょう。逆にクアンタン州ではわずか1%の人が毎日外食すると報告しています。
(出所: Malaysia Food Barometer (MFB)のデータ)
外食の歴史
外食が盛んになったのは、平均最低気温が25度で平均最低湿度も70%と蒸し暑い熱帯性気候のマレーシアで、かつては各家での食品の衛生的な保管管理が困難だという背景があります。
また、一日中冷房の効いているショッピングモールは、最も快適で安上がりかつ便利という利点があり、家族みんなで屋台やフードコートで夕食を食べ、その後モール内をじゃらんじゃらん(ゆっくりと歩き廻る)するというライフスタイルが一般化したのも大きな原因かと思われます。
コロナの影響
しかし、2020年の新型コロナウイルスの流行で、飲食をめぐる環境は一変しました。
感染の拡大と、それに対抗してのロックダウンやその後のMCO(活動制限令)により、屋台や路肩の露店は閉鎖され、営業している飲食店でも店内で飲食はできず、持ち帰りのみの営業が許可される時期が長く続きました。
この期間中に閉店した飲食店も多くあります。
生き抜く
マレーシアでは以前からファストフード店以外でも料理の持ち帰り(打包:ターパオ)は一般的であったため、飲食店の対応は非常に迅速でした。
また、外出に制約があり買い物も気軽にできなかったため、飲食の宅配サービスは大盛況で、グラブ・フード(Grab Food)やフード・パンダ(Food Panda)を利用する人が多く、宅配のバイクが交通量の減って閑散とした道路をビュンビュン行き交う光景が普通になりました。
環境対策と健康志向
あらたな外食文化への逆風は、環境対策である。以前は、屋台の持ち帰り容器に白いお弁当容器・発泡トレーを使っていましたが「食品包装用ポリスチレン使用禁止」となりました。今では透明のプラスチック容器を使用しコスト高になっています。
その後、プラスチック性ストローも禁止され、さらに健康増進策の施行で糖類を含む飲料に課税するいわゆる「砂糖税」を導入しました。
変わらぬ生活
逆風をものともせず、マレーシアの外食産業は成長を続けています。やはり、マレーシア人の外食好きは変わらないようですね。「外食天国」はマレーシアの大事な、他国に誇れる文化です。今日も外食店で嬉しそうに食事しているマレーシア人家族を眺めながら、この光景が長く続くであろうことを実感しています。