エストニアの生活に欠かせないアプリ:Facebookの新次元

エストニア

エストニアでの効率的な生活に必須のアプリ、それがFacebookだ。
日本では既に若年層はFacebookを離れ、主なユーザーの年代は40から50の中年層になってきていると言われている。しかし、エストニアではそんなことはなく、若者も現役でFacebookを使用しうまく活用している。イベント情報から物件探しまで、使われ方は幅広い。自分の近況をシェアするだけにとどまらない、エストニアでのFacebookの使われ方をシェアする。

エストニアの生活に欠かせないアプリ:Facebookの新次元

著者:エストニアgram fellow さえきあき
公開日:2023年10月11日

エストニアのFacebook人口

2020年から2023年2月までにFacebookを使ったことがある人が993千人。

アクティブユーザー数も2023年8月で国民の65.9%、7月は71.67%となっておりユーザー総数とアクティブユーザー数に大きな違いはないようだ。3人に2人は使っていると考えると、エストニアでのFacebookの浸透っぷりがわかる。

(参考:statista https://www.statista.com/statistics/1029746/facebook-users-estonia/

(参考:statcounter https://gs.statcounter.com/social-media-stats/all/estonia

まずはグループに入ることが重要

Facebookにはグループという機能がある。同じ目的や趣味を持った人で作るサークルのようなものだ。検索ウィンドウに気になる単語を入れて検索にかけると、様々な内容のグループを見つけることができる。この数あるFacebookグループの中で最も入るべきは、自身が住んでいる地域のグループだ。

ウィンドウに自分の住んでいる地域の名前を入力するといくつか結果が出てくるので、グループ名等を見て決めると良い。例えば、筆者は自分の住む地域の名前を冠したグループが複数ある中から、「○○に居住している外国人」「○○フリーマーケット」というグループに入っている。

暮らしに役立つグループ機能

勧める理由は以下の点からだ。

①地域のイベント情報を入手
小さいものから大きなイベントまで様々なイベント情報がシェアされ、自分が興味のあるものを探すことができる。筆者の地域のグループでは最近、映画の上映会、アート教室、英語勉強会、マルシェの告知といった内容がシェアされていた。海外全般に言えることだが、エストニアは日本ほど娯楽が充実していないため、こういった情報があると暇なときにとても助かる。

基本的に年中イベントが企画されているのだが、新生活スタートにあたる9月~10月ごろに交流イベントが多く企画される。これ以降は急激に気温が下がっていき野外で何かするというのが難しくなるため、冬になるとクリスマスや新年、祝日等を除くとイベントは定期開催のもの以外ほとんどない。

②フリマアプリ代わり
エストニアには現状フリマアプリがないため、地域のグループがフリマアプリの代わりに機能することがある。引っ越しのため家具を処分したい人などがグループに不用品の画像と値段を記した投稿をすると、欲しい人がコメントして売買が成約する。購入したら取りにいかなければいかないが、稀にものすごく良いものを売っている人がいる。欲しいけど買いに行くほどでもない、という優先度の低い家具を探すには最適だ。

フリーマーケットが活発になるのは1.2月と6.7.8月。この時期は大学の学期の終盤にあたり、引っ越しをする人や自分の国に帰る留学生などが荷物を減らそうと格安で日用品を売り出している。

③地域に特化した知恵袋
機能ではないのだが、グループ内に質問をポストすると誰かがコメントを返してくれるため、町の新参者はとても助かる。例えばグループ内に「この商品はどこで売っているか知っている人いませんか?」と投稿すれば、2、3件はコメントが返ってくる。

筆者が住んでいる地域のどこで日本の食材が手に入れられるか等の情報は、過去にグループで誰かが質問していたものへの返信を見て知ったため、わからないことを質問したら地域の人が応えてくれるシステムは大変助かる。

④家探し
シェアルームの一室に空きが出た場合、グループ内で入居者を募集していることがよくある。部屋と共用エリアの写真を家賃とともに載せて、興味のある人はそれにコメントして入居を検討する。

日本では一人暮らしというと、自室に加えキッチン、トイレ、バスルームが全部一人で使えるようになっているスタジオタイプアパートが大半だが、海外ではシェアルームの一室を自室として後の機能は共有という形をとることも多い。理由は簡単で、全てがそろっているスタジオタイプに住もうとすると費用が高くつくからだ。

ただ、Facebookでの家探しは、家主の気まぐれで急に違う人に貸すことになった、または空いてる部屋なんてそもそもなく詐欺だった等、トラブルになった話を違う国に住む友人から耳にしたこともあるため要注意だ。

賃貸の情報が出回るのはフリーマーケットが活発になる時期とほぼ同じ、学期終わりの時期だ。新生活がスタートした直後の9月にも家の情報は出回るが、手ごろな価格で清潔でアクセスもいい場所は既に入居者がいる予定のため、この時期は比較的高い家賃の場所の情報しか出回らない。逐一グループを見て物件情報をチェックするのが苦手な場合は、自分の希望金額と賃貸期間を書いてグループに載せると、入居者を探している物件オーナーがメッセージを送ってくれることがあり、それもひとつの手だ。

エストニアのFacebookは情報の宝庫で、知っていると知らないとでは生活のしやすさが一段と変わる。

まとめ

普段生活をしていると、様々な媒体を使用していることに気づく。欲しいものを安く手に入れたいならばフリマアプリ、家探しの際は業者のホームページと、目的によって媒体を使い分けている。日本でこれが可能な理由のひとつに、日本の人口が多いことがあげられるだろう。ひとつの媒体に対してある程度のユーザー数が見込めると、サービスを継続する価値がある。

しかしながら、人口の少ないエストニアで情報を載せる媒体を分散すると、ユーザーが散らばって必要な人にうまく情報が届かない。エストニアではサービスを長年提供しているFacebookを現役で使い倒すことで、多くの人に情報が届くようになっているのだと思う。

IT先進国と呼ばれ様々なシステムがリリースされている一方で、既存のシステムを利用し多機能化させることもしているのだ。

エストニアの位置関係

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