コロナ禍で、実力発揮!ドイツの2大ネット・ショッピング企業の躍進

ドイツ

世界を巻き込むコロナ禍。自粛生活やロックダウンで、人々の生活はここ2年で劇的に変化している。ちょっとした外出もままならず、買い物をしようにも、店はどこも休業中。不自由な日々を送らざるを得ない…そん
な中、なくてはならないのがネット・ショッピングだ。
このパンデミック中に、ネット上で特に売り上げを順調に伸ばしているのが、アパレルおよびコスメ業界である。
「このふたつのサイトにアクセスすれば、ほしいものがほぼ何でもそろう!」といわれているのが、アパレル企業のzalando(ザランドー)と、コスメ企業のDouglas(ダグラス)である。ドイツ発祥の2大企業は、いかにして好業績を収めつつあるのだろうか?そのカギは、カスタマーの立場から編み出したeコマース戦略にあるようだ。

ドイツの2大ネット・ショッピング企業 Douglas,Zalando

   著者:オランダ在住ライター 稲葉 かおる
公開日:2022年2月9日

ガソリン代よりも安い通信費?

「あなたにとって、ネット・ショッピングのメリットとは?」と、ドイツの一般庶民に質問したとしよう。

すると、十中八九が「メリットだらけだ!」と答えるに違いない。例えばこうだ。「ガソリン代よりもネット通信費のほうが安いから利用価値あり!」とか、「家にいながら24時間、ショッピングができる」、「買い物のために出歩かなくてすむので、靴底が減らない!」などなど、ネット通信費と交通費(や、靴の代金?)を天秤にかける人が多い。

コロナ禍ゆえのロックダウンや自粛生活に悩まされてきた人々にとって、ネット・ショッピングは必要不可欠だ。いかにして集客するかは、企業のeコマース戦略の良し悪しによる。収益はそれによって大きく左右されるため、どの企業も斬新な方向性を求めしのぎを削っている。

アパレル企業をリードするZalando社

ZALANDO | High Street to High End Fashion Online
DOUGLAS | Online-Parfümerie ✔️ Parfum & Kosmetik kaufen

2022年現在、ヨーロッパ諸国内で最も売り上げを伸ばした企業の代表例を挙げるとすれば、それはアパレル系セレクトショップ、ドイツのzalando(ザランドー)だろう。

Zalandoのインスタグラム・フロントページ
モードのコーディネート・サンプルがアップされている。

アメリカの靴通販会社Zapposに触発された2人のドイツ人、David Schneider(ダ―ヴィッド・シュナイダー)とRobert Gentz(ロバート・ゲンツ)により2008年に設立され、今なお市場エリアを拡大しつつある。設立1年後、市場エリアをオーストリア、オランダ、フランスに広げ、 2011年にはイギリス、スイス、2012年にはベルギー、スウェーデン、スペイン、デンマーク、フィンランド、ポーランドまでエリアを拡大し、eコマースを駆使することにより確実に売り上げを伸ばしてきた。

zalandoのカスタマー層は10代後半から40代くらいまでの男女である。社独自のルートによりA級ブランドの最新コレクションからアウトレット、さらにコスメやアクセサリーまで網羅する。特に、人気カジュアルブランド(リーバイス、コンバースなど)のアウトレット商品の75%引き+日替わり提供は、zalando最大のウリだろう。さらにカスタマーから好評なのは、購入商品の返却期限に100日間の余裕を持たせている点だ。返却と同時に別商品を多く購入する傾向が高いことから、カスタマー心理を逆読みしたzalando社のアイデアといえそうだ。

Zalandoでは、商品に注文が入った時点で、商品の取引先へ発注するシステムを取っている。カスタマーの購入とほぼ同時に取引先へ発注する方法は、余分なコスト減少に役立つ。在庫商品用の倉庫代や、転売広告作成コスト等の削減につなげられるからだ。

Zalandoは、ドイツのeコマースによるアパレル企業売り上げで2020年にナンバーワンとなっている。(画像は Top Fashion online stores Germany 2020 | Statistaからのキャプチャ)

インフルエンサーによるトレンドをフォロー

SNSで世界中に発信される一般人の流行に注目し、インフルエンサーが推薦する商品にこだわり、日替わり割引でオファーするのもzalandoの戦略のひとつである。コロナ禍(2020年2月から2022年1月現在)では特に在宅ワークが増え、自由時間に余裕が出てきたせいか、男性がスキンケア商品にこだわるようになり、売り上げが好調になったのもSNSによる好影響だという。

売れ筋の男性用スキンケア商品。(画像はVerzorging voor hem | Verzorging voor heren | Zalandoからのキャプチャ)

著名ブランドからプチプラまで・商法には高級感とスマートさが溢れる

ドイツのDouglas店内。シャネルからプチプラアイテムまで、旬のコスメが目白押しだ。

Douglasは、ヨーロッパを代表するドイツ発のプレミアム・ビューティープラットフォームである。プレミアム、とはA級ブランド商品からプチプラまでを扱うという意味だ。国内外に2,400の店舗を展開し、約10万種類を超える化粧品を提供し、これまでにない品揃えがそのウリとなっている。 香水、化粧品、スキンケア、ヘアケア、栄養補助食品(サプリメント)などの売り上げは年平均で約30億ユーロを記録している。

この売上高は、コロナ禍にもかかわらず、eコマースでの売り上げの安定した成長によるものだ。昨年のオンラインショップによる売上高は約10億ユーロであり、コロナ禍以前と比較するとアクセス率は約50%も増加しているという。

ヨーロッパ諸国では各々の国が最短で数週間のロックダウンを行った。Douglasもその例にもれず、各店舗は休業を余儀なくされたが、デジタル・プラットフォームの充実で売り上げ不振に陥ることは避けられた。むしろその正反対で、オンラインショッピングへの一般的な傾向はさらに強まったといえよう。それには、Douglasの戦略もあった。ロックダウンによって、いつ店が強制休業させられるかわからない。前もっての告知なく、突然、休業となることもあるわけだ。店での買い物を楽しみたいカスタマーも、それが出来なくなるわけだ。ならばこの時期の持続的な変化を考慮に入れて集客するにはどうしたらよいか?

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ビューティー・ミラー画面。画面上に映し出された自分の顔にメイクを施すと、おすすめ商品が左画面に
映し出されるので、その中から選んで直接購入できる。

ネットショッピングの売り上げを上昇させたのは、24時間いつでもアクセスできるアプリの内容の充実度にあるといえるだろう。

その一つが、ダグラス・ビューティ・ミラーと呼ばれるバーチャル・リアリティ・ツールだ。ダウンロードしたアプリ画面にあらわれる鏡に、自分の顔を映し出し、好みのアイテムを使ってメイクを完成させることができる。

このビューティ・ミラーは、ユーザーに、自撮り写真をシェアする楽しみを提供するだけではなく、クリック一つで気に入ったアイテムをすぐに購入できる、非常に使いやすいタイプのプラットフォームといえよう。

これがあれば、実際に店舗まで足を運ばなくても、ネットでショッピングは完了する。アプリのユーザーをカスタマーにできるこのフローは、購買力アップに十分献上しているといえるのではないだろうか。

 

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