村上春樹だけじゃない!イタリア人が支持する日本の小説家
日本の漫画が”MANGA”として海外で人気があるのは、おそらく日本でも周知のことだろう。
日本の小説が欧州で人気が高まっており、イタリアでも日本人作家の小説が人気が上昇している。特に村上春樹は圧倒的な人気があり、他にも吉本ばなな、大江健三郎、桐野夏生、イトウセイコウ、東野圭吾の小説も人気だ。イタリアの最大のブックフェアであるサローネデルリーブロには、年々増加する168,000人の来場者が訪れている。
日本文学が世界を席巻中!イタリアでの人気が急上昇する理由とは?
著者:イタリアgram fellow 伊田里アネ
公開日:2023年3月27日
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イタリアの読者を楽しむ環境
イタリアでは読書する人のための国際ブックフェア、❝サローネデルリーブロ❞が、毎年5月にトリノで開催される。
欧州内のフランクフルトで開催されるブックメッセの次に大きく、イタリアでは最大のブックフェアだ。
当展示会2022年の来場者数は、パンデミック収束もその来場を加速させたのか168,000人に及び、年々増加している。
イタリアの読書人口
ブックフェアの来場者数が増加している一方、読書率の低下が懸念される。イタリアの読書人口は減少しつつあり、国民の56%ぐらいであろうと推測される。特に若い世代、15-17歳の読書離れが顕著であるようだ。
読書離れについては、イタリア国内の経済格差も影響しているという。
イタリアの読書人口は北イタリアが最も多く、次に中部イタリア、最後に南イタリアとなる結果は、まさに格差を物語っている。
しかし愛読家は1日1時間は本を読んでいるので、本市場には一定のコアな消費者層が存在するといえる。
イタリア人に人気の日本人作家
このような根強い読書習慣をもつイタリア人の間で、最近は日本人作家の小説の人気が上昇している。人気作家は日本でもおなじみの顔ぶれであり、それがイタリア語に翻訳されて販売されているのは誇らしくうれしいことだ。
圧倒的な人気があるのは村上春樹。イタリアにもハルキストが存在するくらい、その作品は待望されている。1Q84、海辺のカフカ、ノルウェイの森はイタリアでも大人気だ。
そしてイタリアでバンカレッラ賞を受賞した、小川糸の『食堂かたつむり』。
その他、日本でも人気がある吉本ばなな、大江健三郎、桐野夏生、イトウセイコウ、東野圭吾などの小説は定番で人気が高い。
筆者が驚いたのは、イタリアで長くロングセラーとなった川口俊和の『コーヒーが冷めないうちに』である。本書は2020年から発売され、その販売部数はイタリアで10万部を超えている。
有川ひろ『猫旅レポート』、市川拓司『今、会いにゆきます』なども根強い人気である。
もはや日本で現役発売される人気小説は、即座にイタリア語に翻訳販売され、長きに渡り書籍ベストセラーTOP10に滞在している。
イタリアで注目されるだろう日本人作家作品
イタリア語から日本語に翻訳して発売された小説は、1960年から1970年まで30タイトルしかなかったものの、2022年には120タイトルにまで及ぶようになった。
多くのイタリア人が日本人作家の小説を通じて、日本への憧れを深めていくことだろう。
イタリアでソフトカバー書籍は、たいてい13ユーロから18ユーロ(*1800円から2600円)が相場なので、圧倒的に日本で書籍を買う方が安い。この記事をきっかけに日本の方々にも、外国語に翻訳される日本の小説を読んでもらえればと筆者は思う。
*換算レート1ユーロ=145円(数字は丸めて表示)
【参考】
◇Corriere della sera:
https://www.corriere.it/cronache/23_febbraio_07/giappone-templi-metropoli-accese-terme-purificanti-65bad06c-a6f8-11ed-b9c4-8c4ac5be6a91.shtml
◇ilLibraio.it:
https://www.illibraio.it/news/librerie/italia-lettori-2021-1411397/