SUSHI超え?!イタリアスタートアップのポケ丼チェーンは売上1億ユーロ超え!

イタリア

日本料理の親善大使ともいえるだろう寿司だが、海外ではSUSHIとして親しまれているのもご存知のことだろう。そのスシはイタリアでももれなく人気で、イタリア人が好んで食べるファーストフードとして、ピザやハンバーガーに並んでその地位を確立してきた。
そして現在はその次を進む、いや、もはやスシを抜いたといわれるかもしれないハワイアンポケ丼が、イタリア発のスタートアップで世界を席巻している。

SUSHI超えイタリアスタートアップのポケ丼チェーンは売上1億ユーロ超え!

著者:イタリアgram fellow 伊田里アネ
公開日:2023年5月3日

イタリアのスシレストランのスタイル

そんなスシレストランは、回転式もあれば着席食べ放題メニューまである。
イタリアのスシというのは日本のように様々なネタが提供されるものではなく、基本的にはサーモンが主役で、マグロ赤身やボイルエビ、さらにはカリフォルニアロールのような巻き寿司がメインだ。

スーパーマーケットでも握り寿司が販売されるようになり、スシはもはやイタリアで定着化したといえよう。
このスシの定着化のおかげで確実にいえるのは、イタリア人が生魚を日常的に食べるようになったということだ。

そしてイタリア人にとってスシは、オメガ3やプロテインが豊富な海鮮を使った、海苔とご飯のシンプルでヘルシーな食べ物であると認識されるようになった。

イタリア国内820店舗以上のポキ丼の勢いが止まらない

日本でもハワイアンポキ丼として話題の丼メニュー。
ご飯に細かく切ったサーモンやマグロ、エビなどをのせ、アボカドやサラダをトッピングしていただくのがポキ丼である。

彩豊かなトッピングのビジュアルがヘルシーなイメージを強め、女子だけでなく、健康志向の人からの人気も集めている。

ポキ丼は世界的にも人気が上昇していて、イタリアでもその人気はかなり伸びている。
スシで生魚への抵抗感もなく、そして魚も野菜もご飯もひとつのお皿(椀)に盛られ、サラダ感覚で食べられるポキ丼は、イタリア人にとって利便性がいい食べ物であるといえよう。

さらにいえば、グルテンフリーをチョイスする消費者が増えており、彼らは小麦粉主体ではなく米主体の食べ物を選ぶことも要因だろう。

2022年の実績でイタリアだけで3億2800万ユーロ(約49億5600万円)の市場売上高をもつポキ丼。2016年から年々8%の成長を遂げており、2021年の段階で378しかなかった店舗数が、現時点では820店舗にも及ぶ。

パンデミックにおけるロックダウン期にも成長していた飲食形態ということだ。

1億ユーロの売上高を叩き出すミラノ発ポケハウス

ポキ丼を展開するイタリアのレストランチェーン店は、基本的にミラノ、ローマ、トリノという主要都市を中心に展開する。

中でもミラノのポケハウス(POKEHOUSE)がナンバーワンの売上を誇り、2022年6月の段階でポキ丼市場の16%のシェアを持ち、イタリア国内に21店舗、海外店舗(欧州および米国)を入れて計56店舗だった。

その成長はとどまることを知らず、2023年に入ってからはイタリア国内外において、130店舗にまで成長している。

しかもポケハウスの創業は2018年。2023年現在、スタートアップからたった5年で合計1億ユーロ(約151億円)にまでも成長しているのだ。

実は徹底したフードテック企業であったポケ丼チェーン

実はポケハウスの売上実績の裏側には徹底的なフードテックの実用性がある。
マルチチャネル決済、顧客管理に独自のCRMソフトウエアを使用し、データ駆動型のアプローチを徹底的に解析していった。

評価、準備時間、注文からお届けの時間も含めて変数を組込み、サービスの効率化も分析に分析を重ねている。このフードテックのバックグラウンドで提供されるポキ丼のフードサービスシステムは、デリバリーだけでなくテイクアウトも気軽できて、簡単なイートインでも展開しやすいため、フランチャイズも展開可能。

オペレーションはご飯の上にトッピングを盛り付けるだけなのでとてもシンプルだ。
ご飯のカロリーが気になる人は、キヌアやスペルト小麦、ひよこ豆に変更したりと、データを収集しながら、自由自在に提供できる。

ヘルシーを全面に、好みをデータ化したファストフードは海外展開の可能性が高い

伝統に少し現代のエッセンスを加え、テクノロジーを利用して、たった5年で1億ユーロ(約151億円)を叩き出した。

しかもイタリア発祥ではないポキ丼が、ピザやパスタを得意とするイタリア人スタートアップ企業とともに世界で大成功している。もしかしたらイタリア発で、日本の伝統料理が現代風にイノベーションして展開される新しいフードスタイルが誕生するのも、そう遠くないかもしれない。

ヘルシーで簡単。
ワンボウル(丼)で提供できるのは、本来は日本の得意分野ではなかろうか。

これぞニッポンの野菜たっぷり彩りCIRASI(チラシ)! と食い込んでいきたいところだ。

✳︎1ユーロ=151円で計算。端数は丸めてあります。

◇Matteo Pichi e il segreto di Poke House: “Tecnologia e approccio da startup” – la Repubblica:
https://www.repubblica.it/tecnologia/2022/02/04/news/matteo_pichi_il_segreto_di_poke_house_tecnologia_e_approccio_da_startup-334661206/

◇Boom del pokè in Italia: +117% in un anno – 24Food Economia del cibo:
https://www.ilsole24ore.com/art/boom-poke-italia-117percento-un-anno-AEaiwk2B

◇L’ascesa di Poke House: da Milano a Miami, e il fatturato vola a 100 milioni – la Repubblica:
https://www.repubblica.it/tecnologia/2023/03/04/news/poke_house_100_milioni_fatturato_europa_usa-390222414/

関連記事一覧