個人宛でも海外からの荷物には関税がかかる!スペインの郵便事情

スペインでは個人宛の郵便・宅配物であっても、EU諸国外からの宅配物の申告価格が45ユーロを超える場合、付加価値税(IVA)が150ユーロ以上で関税・IVAが課される。受取人は手数料の支払いや追加書類の提出を求められるなど複雑な手続きが必要となるケースもあり、日本からの小包を「ただ受け取るだけ」と思っていた筆者も受け取り完了までのプロセスの煩雑さ、想像以上に高額な手数料とIVAの支払いにとても驚かされた。
本記事では国際郵便や国内の宅配システムなどスペインにおける郵便事情をお伝えする。
個人宛でも海外からの荷物には関税がかかる!スペインの郵便事情
著者:スペインgramフェロー 北田ミヤ
公開日:2025年4月14日
要注意!国際便は個人間のやりとりでも関税支払い義務が発生
冒頭でもお伝えした通り、スペインでは国際郵便の受け取りに個人に対しても関税の支払い義務が発生する。一応「内容物の申告価格が45ユーロ以上の場合」というルールがあり、IVAは一般的に21%となっているが、送料や保険料が課税対象に含まれるかどうかは税関の判断によるという、何とも曖昧な部分がある。例えば手紙のような低価値のものでも通関手数料が発生したケースも報告されており、申告価格に関係なく、通関手数料が請求されることがある。幸い、筆者は書類の受け取りで税関に止められたり手数料を支払った経験はまだ無いが、EMSやDHL、FedExなどの速達便は税関で止まりやすい傾向があるようなので要注意だ。
加えて年間を通して配達遅延や紛失などのトラブルも日常茶飯事。特に宅配物が集中するホリデーシーズンは税関での手続きが普段以上に長引くため、緊急な場合を除いてはその時期を避けること、また重要な書類等を送る際は追跡可能な方法を選ぶのが賢明である。

日本からの宅配物受取り|筆者経験談
実際に国際小包を受け取るまで、個人的な宅配物を日本から受け取るのに手数料や付加価値税の支払いが発生したり、書類をいくつも提出しなければならないという知識を持ち合わせていなかったため、多くの煩雑な手続きに大変驚かされた。ここでは筆者が経験した国際小包受け取り体験談をお伝えしたい。
まず日本から荷物がスペインに到着すると、自宅ポストに「国際小包が届いています」という受取通知書(Aviso de llegada/通関通知)が届き、その荷物を受け取りますか?送付元に送り返しますか?という選択肢を与えられる。 不要な海外便の宅配や関税の支払いを拒否したい場合は、ここで受け取り拒否の選択をとれるようになっている。
受け取りたい場合、Correos(スペインの国営郵便会社で国内外の郵便・宅配サービスを提供している)のオンラインサービスにログインし、荷物を受け取るための手続きを開始する。
難関1)Presupuesto Sintra (予算見積もり書類への記入)
難関2)Certificado de Importacion (輸入証明書類への記入)
難関3)Facture De Servicios (公共料金の請求書を添付提出)
難関4)Documento de identidad(DNI/NIE) (身分証明書を添付提出)
※ここで申告額(10,000円=約64ユーロ)に対して、手数料やIVAなど合計約60ユーロを請求され、クレジットカードにて支払う。
支払いを行わないと次のステップに進めないようなシステムになっていた。
難関5)Comunicacion de recepcion de envio para tramite de importacion (輸入処理のための貨物の受領に関する連絡待ち)
難関6)Documento de tramitacion con Correos (郵便局によるドキュメントの処理待ち)
難関7)Levante Importacion (輸入通関許可待ち)
この7つの難関を突破し、無事に荷物が自宅へ届けられたのは日本からスペインに荷物が到着後、更に1か月以上経過してからだった。
スペイン国内における宅配事情
国際郵便の煩雑な手続きや、宅配物遅延・紛失事故等の報告を見聞きすると国内郵便に対しても絶望的な気持ちになるが、スペイン国内では国営のCorreosとは別に民間宅配業者がいくつかある。人気のあるSEUR、MRW、NACEXなどは、実際に利用してみても日本の民間宅配システムと特に変わらないように感じた。
①配達方法
自宅に配達・直接手渡し
パートナー店舗への配達(受取人が指定できる)
玄関前へ置き配
②トラッキング
ほぼすべての民間業者はリアルタイム追跡システムあり
SMSやEメールで配達予定通知あり
一部業者では配達員の現在地をリアルタイムで確認できる
③日時指定
SEURやMRWは午前・午後の指定可能
※SEURは前もってEmailで宅配日、宅配日当日には宅配時間を知らせてくれ、時間通りに配達してくれるため、大変便利だ。
UPSやDHLは有料で細かい時間指定が可能

まとめ
スペインで個人宛の国際小包・郵便物を受け取る場合はCorreosを通して配送や関税手続きが行われている。荷物や封書の内容や内容物の申告価格に応じて関税やIVAが課される可能性があり、場合によっては複雑な通関のプロセスも必要になるため、注意しなくてはならない。
一方で国内の宅配は料金は割高になる事が多いがCorreosより信頼性が高い民間業者の利用がおすすめで、特に安定したサービスを求めて早く受け取りたい場合はSEUR、MRWを選ぶと良いかもしれない。
【参考】
◇Localizar envíos, oficinas y códigos postales| Correos.es:
https://www.correos.es/es/es/particulares
◇UPS International Shipping for Individuals | UPS – Spain:
https://www.ups.com/es/en/shipping/how-to-ship-internationally/personal
◇Aranceles e IVA de importación:
https://www.infoautonomos.com/fiscalidad/como-importar-en-espana-aranceles-aduanas-e-iva/
◇EU諸国外からスペインへの国際郵便による輸入物品に対する課税について │ 在スペイン日本国大使館:
https://www.es.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000093.html