スペイン産オリーブオイルの価格が高騰
干ばつや中東情勢悪化などの様々な要因が組み合わさり、世界最大の生産国であるスペインのオリーブオイルの価格が高騰している。Facua-Consumers in Actionの調査によると、スペイン国内のスーパーマーケットのエキストラバージンオリーブオイル価格は2023年に平均69.3%上昇した。スペイン産オリーブオイルは世界的に高い需要があり、品不足に伴う価格高騰の広がりが懸念されている。
スペイン産オリーブオイルの価格が高騰
著者:スペインgramフェロー 北田ミヤ
公開日:2024年6月6日
オリーブの不作による価格上昇
スペインは世界最大のオリーブオイル生産国であり、過去5年間の年平均生産量は約130万トンだった。しかし2年連続の干ばつにより、2022-23年度の生産量は約62万トンにまで減少し、23-24年も例年の5割程度にとどまる見込みだ。この生産量の減少は、オリーブオイルの価格上昇に影響を及ぼしている。
FACUA-Consumers in Actionは、スペイン国内の主要スーパーマーケットで販売されている18ブランドの2023年1月の価格と今年1月の価格を比較した。調査対象のスーパーマーケットのエクストラバージンオリーブオイル1リットルの平均価格は、6.91ユーロから12ユーロまで上昇した。
一方、農水産食品省が提供した最新データによると、原産地でのリットル当たりの平均価格は2023年12月10日から17日までに4.91ユーロから7.45ユーロに上昇した。
(引用元:CNN.co.jp :危機に瀕するオリーブオイル業界、南欧の猛暑と干ばつで苦境に
https://www.cnn.co.jp/business/35208113.html)
(引用元:Los precios del aceite de oliva en los supermercados han subido casi un 70% en 2023
https://www.rtve.es/noticias/20240110/precios-aceite-oliva-superemercados-sube-2023/2470831.shtml)
避けられない日本への影響
スペイン国内のオリーブの不作による価格上昇に加え、中東情勢の深刻化や円安が日本のオリーブオイルの価格高騰にも影響を与えている。
J-オイルミルズと日清オイリオは、2024年5月から家庭用で最大65%、業務用で最大80%と過去に例を見ないほどの値上げを発表した。
中東情勢の悪化に伴うスエズ運河の輸送停滞の発生による供給不足の加速、2020年には1ユーロ=約120円だったユーロが、現在(2024/4/27)は約169円となっている。空前の円安によるスペインからの輸入コストの上昇とこれらの要因が組み合わさった結果といえる。
(引用元:時事通信社 :オリーブオイル値上げ Jオイル
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024030500956&g=eco)
(引用元:日本経済新聞 :日清オイリオ、オリーブオイルを最大80%値上げ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2872J0Y4A220C2000000/)
スペイン国内では盗難が増加
2023年から2024年にかけてオリーブオイルはスペイン国内で最も価格が上昇した製品のひとつであり、スーパーマーケットでは酒類と並んで2番目に多く盗まれているという。
盗難防止システム会社STCの報告書によると、地中海料理のスターであるオリーブオイルが最も盗まれているのは、アラゴン、アンダルシア、カスティーリャ・ラ・マンチャ、カタルーニャ、バレンシア、マドリード、バレアレス諸島、エストレマドゥーラ島の8つの自治コミュニティである。
盗難増加を受けて流通チェーンはセキュリティ対策を強化しており、以前は一部の高級アルコール飲料でしか見られなかった盗難防止ワッシャー付きのオリーブオイルボトルが店頭に並ぶことが増えた。
(引用元:Suben los robos de aceite en supermercados
https://www.rtve.es/noticias/20240307/suben-robos-aceite-supermercados-tienen-alto-valor-reventa-son-bienes-apreciados/16004282.shtml)
(引用元:Los precios del aceite de oliva en los supermercados han subido casi un 70% en 2023
https://www.rtve.es/noticias/20240110/precios-aceite-oliva-superemercados-sube-2023/2470831.shtml)
まとめ
世界各国がスペインからのオリーブオイル輸入に依存しており、スペインでの干ばつによる生産量の減少は世界的な供給不足と価格高騰につながっている。
この干ばつは地球温暖化による気候変動の一部とされていて、周知のとおり異常気象は世界的に広がっている。
異常気象の影響を最小限に抑えるために、持続可能な農業方法の採用や気候変動対策を行うとともに、異常気象を緩和するために個人ができること、例えばエネルギーの節約と再生可能エネルギーの利用や、廃棄物の削減とリサイクルなど、個々の小さな取り組みが地球全体の気候変動に対する一助となることを改めて考えていかなければならない。