スペイン:最新スーパーマーケット事情
スペインのスーパーマーケットのシェアトップは「メルカドナ」というスペイン資本スーパーで、残り2つの枠を外国資本スーパーが占める。しかし、このトップ3社のシェアを合計しても、スペイン全体シェアの40%に過ぎない。実はスペインは、地方の小さなスーパーのチェーン店が元気な国なのである。
スペイン:最新スーパーマーケット事情
著者:スペインgramフェロー 對馬 由佳理
公開日:2022年9月21日
スペインのスーパー、シェアトップはメルカドナ(MERCADONA)
生活に欠かせないスーパーマーケット。海外旅行の際はその国のスーパーマーケットでお土産を探す、という方も多いのではないだろうか。
実はスペインはスーパーマーケット天国で、多種多様なスーパーマーケットが混在している国なのである。
2021年時点、スペインのスーパー業界で約25%というトップのシェアを持っているのがメルカドナ (MERCADONA)というスーパーである。国内に1654件の店舗をもち、隣国ポルトガルにも進出している。元々はバレンシアにあるスーパーだったが、1980年代後半からほかのスーパーマーケットチェーンの買収を進める形でスペイン全土に進出した。醤油や海苔から冷凍のワンタンラーメンまで置いてある、スペイン在住の日本人にとっては頼りになるスーパーである。
シェアの第2位はフランス資本の カルフール (Carrfour)で、約9%のシェアを持つ。スペイン国内では、大型スーパーのハイパーメルカド、通常のスーパーにあたるカルフール・マーケット、そして日本のコンビニ的な位置づけ(ただし24時間営業ではない)で町のあちこちにあるカルフール・エキスプレスという3種の形態で営業している。
シェア第3位はドイツ資本のリディル( Lidl)で、国内で約6%のシェアを持つ。このスーパーは時々日本食フェアを開催することもあり、やはりスペイン在住の日本人に重宝されているスーパーでもある。
TOP3のシェアを合計しても、スペイン全体のわずか40%
しかし、ここで注目していただきたいのが、この メルカドナ・カルフール・ リディル3社のシェアを合計しても約40%にしかならないことである。また、トップ5を合計してみても、やっと全体の50%に届く程度である。
これは、スペイン全国シェアで見ると非常に小さいパーセンテージではあるものの、各地方にしっかりと根付いたスーパーマーケットチェーンが数多くあり、そうした地方のスーパーマーケットが非常に元気であることを意味している。
スペイン国内であっても異なる地方に行くとその地特有のスーパーのチェーン店があり、そうしたスーパーマーケットの多くは地元産の食物やパン・お菓子・ワイン・チーズ等など主な商品としてを扱っている。
報道によると、2021年にスペイン国内の地方にあるスーパーのチェーン店は約16.5%もそのシェアを伸ばしている。その背景としては、地方スーパーで扱う生鮮食料品やプライベートブランドの売り上げ増だといわれている。
地方スーパーの存在感が強いスペイン
例えば、スペインのスーパーのシェア第5位は、美食で有名なバスク地方が地元のエロスキー(Eroski)。スペイン全土に店舗はあるものの、やはり地元バスクにあるこのスーパーのバスク産の食品の品ぞろえは非常に充実している。
シェア第6位のスーパーはコンスム(Consum)。オレンジとパエリヤで有名なバレンシア地方が地元のスーパーで、消費者の評判も高い。
このほかにも、スペインの西の端ガリシア地方のスーパーであるガディス(Gadis)は、わかめなどの海藻の入ったリゾットの素などを販売しており、日本人にはちょっと親しみやすいスーパーマーケットである。
食料自給率が高いスペインには、各地方で地元資本のスーパーがある。そんなスペインで、例えば日本のスーパーマーケットチェーン店が参入する余地はあるのだろうか。
まとめ
スペイン人は食に関しては意外に保守的である。そのため、日本のスーパーチェーン店が「日本食」と全面に押し出して営業したとしても苦戦する可能性がある。
日本のスーパーが単独で営業するよりも、既存のスペインのスーパーマーケットチェーン店のネットワークに加わる形でスペインマーケットに参入した方が、スペイン人に商品を手に取ってもらいやすいのではと推測している。
【 ソース 】
financialfood.es
elmundo.es
financialfood.es
revistas.eleconomista.es
foodretail.es