エストニア産…? 便利な国際送金サービス「Wise」

エストニア

海外の口座に送金をしたことがある人なら「手数料が上乗せされて、しかもレートも悪いから実際送りたい金額よりもお金がかかる」と思ったことはないだろうか。そう思うのは世界共通のようで、この外貨送金に関わる煩わしさを解消したサービスが「Wise(旧TransferWise)」だ。このサービスの誕生にエストニアが関係しているという。

エストニア産…? 便利な国際送金サービス「Wise」

著者:エストニアgram fellow さえきあき
公開日:2024年3月4日

外貨送金サービス「Wise」の歴史

Wiseが生まれた経緯は創業者2人の実際の経験からだ。創業者はTaavet HinrikusとKristo Käärmannで、彼らはエストニア人ではあるが当時エストニアには住んでおらずロンドンにいた。ヨーロッパでは多くの国が通貨としてユーロを採用しているが、イギリス等一部の国では国独自の通貨を使用している。というわけで、当時ロンドンに住んでいた2人は故郷エストニアに送金する際にイギリスで使用されているイギリスポンドからエストニアで使われているユーロへ送金・換金する際にそのプロセスに不満を感じていた。

5%の国際送金手数料、着金まで4日も時間がかかること…これらにうんざりした結果、自ら安価で迅速な国際送金のサービスを生み出すに至ったのだ。Wiseは2021年にロンドン証券取引所に上場し、その勢いのまま2人はエストニア初のビリオネアとなった

Wiseが実際はイギリス産ではあるがエストニア産ともいわれているのは、創業者2人の出身地がエストニアという理由からだ。

Wiseの利用者数

Wiseの利用者は全世界にいる。2022年にはWiseの利用者は前年より34%増加し、全世界で1000万人を突破したという。クロスボーダー取引に関していえば、1220億ユーロに達した。

しかし、CEOのKristoはクロスボーダー取引はまだ成長の余地があると発言しており、既に十分大きいこの数字はこれからも大きくなると思われる。現在世界中にある70の銀行と提携しているWiseであるが、提携銀行の数も増えるだろう。

国際送金が簡単かつ手数料が安いという理由から、日本人の留学生が日本国内で使っているクレジットカードに加えてもう1枚追加で持っていく際にWiseを選ぶという話はよく聞く。かくいう筆者もエストニアに来る際に国際送金に備えてWiseの口座を開設した。

Wiseの対抗馬「Revolut」

Wiseとよく比較される送金サービスに「Revolut」がある。こちらもイギリスのロンドンに本社を置いている。サービスとしてはほぼ同じではあるが、細かいところに違いがある。

その違いのひとつが送金手数料にある。Wiseの手数料は特定の通貨取引によって異なるが、0.15%から2%の範囲だ。Revoluteは法人と個人で手数料が異なり、取引額によっても手数料が異なる。

その他の違いとしては適用している為替レートだ。Revolutはリアルタイムの為替レートを使用し、Wiseは市場レートを使用している。

一概にどちらがいいとは言い切れないのだが、たくさんの人がネットで「WiseとRevolutとどっちがいい?」と検索するせいか、Wiseのホームページの中にはこのようなコンテンツがある。

(引用元:Wise Wise https://wise.com/gb/compare/revolut-vs-wise

同業他社のRevolutの名前をおおっぴらに出して比較している。この比較は為替レートに依存しているため、日時によって変化する。今回はRevolutの勝ちだった。

まとめ

Wiseは低料金かつ効率的な国際送金サービスで成功を収め、2022年には全世界で1000万人以上の利用者を獲得した。今後はクロスボーダー取引市場の拡大とともにさらなる成長が期待され、提携銀行の増加や新たな展開により、国際送金市場で一線を画す存在として注目を集めそうだ。

◇err:
https://news.err.ee/1609019735/wise-manages-50-percent-increase-in-turnover-on-year

◇invest in Estonia:
https://investinestonia.com/estonias-third-unicorn-wise-went-public-on-the-london-stock-exchange/

◇7Startup:
https://www.7startup.vc/post/startup-success-story-transferwise-wise-and-the-rise-of-active-advertising/

エストニアの位置関係

さえきあき

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エストニア在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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