アイルランド ペットボトルと缶ドリンクへのデポジットリターン制度を導入

北米

2024年の2月からアイルランドで新しいシステムが導入された。ペットボトルと缶などの飲料容器に対してのデポジットリターン制度である。リサイクルすればお金がもらえる?!環境にも家計にも優しい、そんなリサイクルシステムについて紹介する。

アイルランド ペットボトルと缶ドリンクへのデポジットリターン制度を導入

    著者:イギリスgram fellow リリーゆりか
公開日:2024年9月10日

購入時に容器代として課金されるシステムへ

スーパーやコンビニエンスストアなどで購入できるペットボトル容器や缶に入ったジュース、水、アルコールなどの飲み物に対し、購入時に容器代として0.15~0.25€が別で課金されることになった。レシートにも飲み物の代金とは別に「デポジット」として表示されている。対象となる商品には特定の「Re-turn」ロゴがついてなくてはならず、2月1日以前に製造されたロゴがない商品には適用されない。

スーパーに設置される専用の機械でリサイクル

順次スーパーに設置されるリサイクル用の機械へ対象の容器を入れると、デポジット料金が返ってくる仕組みである。デポジット料金は発行された返金レシートをレジへ持っていき買い物代から割引してもらうか、現金で返してもらうか、必要に応じて選択できる。

(参考|写真あり:The pros and pitfalls of Ireland’s new deposit return scheme | The Grocer
https://www.thegrocer.co.uk/deposit-return-schemes/inside-irelands-new-deposit-return-scheme/687901.article

(参考:Deposit Return Scheme|Citizens Information
https://www.citizensinformation.ie/en/environment/waste-and-recycling/deposit-return-scheme/#:~:text=This%20is%20a%20new%20bottle,they%20are%20empty%20and%20undamaged.

新システム導入の背景

新システム導入前は約60%のペットボトルや缶などの使い捨て飲料容器がリサイクル目的で回収されていたが、30%ほどは投棄されていた。2025年までに77%、2029年までに90%のリサイクルを義務付けるEUの方針に基づいて、アイルランドの義務を果たすべく飲料メーカーと小売業者によってRe-turnは設立された。ちなみに日本におけるペットボトル容器のリサイクル率は毎年85%、缶については90%を維持しており、それに比べるととても低い数字であることが伺える。そのためか、アイルランドの街中ではゴミのポイ捨てが非常に多い。

今回導入されるデポジット・リターン制度は、ポイ捨てを減らし、アイルランドのリサイクル率を30%向上させるのが目標であり、この数字は埋立廃棄物の削減や環境保護に大きく貢献すると期待されている。

(参考:Ireland’s Deposit Return Scheme powered launched today – RECYCLING magazine
https://www.recycling-magazine.com/2024/02/01/irelands-deposit-return-scheme-powered-launched-today/

(引用元:コラム | 株式会社エコブレイン
https://www.ecobrain.co.jp/news/news.php?id=315

世界で広がるDRS導入の動き

購入時に飲料容器代をデポジットとして支払い、容器を返却するとデポジットが返金される仕組みは、使い捨て飲料容器のデポジット返却システムとして知られ、Deposit Return Scheme、略してDRSと呼ばれている。

主にヨーロッパ、オーストラリア、カナダ、アメリカを含む40以上の国と地域で環境政策として取り入れられている。北欧やドイツではすでに取り入れられており、アイルランドを含めポーランドなど数ヶ国が新たにEUのリサイクル法案の目標に取り入れる動きが始まっているが、まだまだ序章である。

(参考:Reloop、飲料容器のデポジット返却システム(DRS)に関するレポートを発表。今後2,3年内に世界で約5億人がDRSを利用 | Circular Economy Hub – サーキュラーエコノミー(循環経済)メディア
https://cehub.jp/news/global/reloop-drs-report-2020/

(参考:DRS European Countries Map – NMWE
https://naturalmineralwaterseurope.org/drs-map/

導入後のリサイクル現状はいかに?

2024年6月末の時点で、約2300台のリサイクルポイントが設置されている。2月のリサイクル本数200万本、3月は2,000万本、4月は5,000万本、5月には7,500万本と毎月のリサイクル数は順調に増えている。今後のアイルランドのポイ捨てが改善されることに大いに期待を寄せたい。

(参考:Re-turn: Irish DRS sees increase in daily bottle and can recycling – The Metal Packager
https://metalpackager.com/2024/07/re-turn-irish-drs-sees-increase-in-daily-bottle-and-can-recycling/

(参考:Deposit Return scheme shows strong growth four months on
https://www.rte.ie/news/2024/0602/1452470-re-turn-refund-scheme/

導入後のリサイクル現状はいかに?

アイルランドの街中を歩いていると、ペットボトルなどのポイ捨てが非常に目立つ。

日本を訪れたアイルランド人が日本のゴミの少なさに一番に感動するほどである。そのような環境ゴミ問題にアイルランド政府も本腰を入れ始めたといえるだろう。最近は様々なイベントやチャリティにも組み込まれており、アイルランド国民のゴミやリサイクルに対する意識づけにも貢献されることを、個人的には期待している。

リリーゆりか

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アイルランド在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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