円安時代の新たな選択肢 アイルランド語学留学で就労経験も

北米

円安の今、ワーホリにならんで働ける留学という選択肢が、若者の中で人気を集めている。アイルランドは英語を学びながら就労経験もできる国のひとつで、質の高い語学留学が経験できると人気を博している。日本の留学業界でも徐々に名声を高めつつあるアイルランド留学についてお伝えする。

英語力アップとグローバル経験の二兎を得る アイルランド語学留学

    著者:イギリスgram fellow リリーゆりか
公開日:2024年5月6日

パンデミック前を超えた?! 著しい語学留学生の増加

2023年度の語学留学に関するデータが発表され、昨年は2022年度よりも23%の語学学生が増えたとの結果だった。2022年といえば、イギリスやアイルランドが入国時の規制を撤廃し、パンデミック前と同じく自由に渡航が可能になった年。コロナ禍においても遠いアジアからでも渡航可能な留学先としていち早く門を開けたのは記憶に新しい。

また、2023年の語学留学生は128,397人に達し、パンデミック直前の2019年から約10,000人以上増加しているのは驚きである。

留学の内容としては、ミニステイと呼ばれる主に学校団体での短期語学プログラムや、通常の成人向けの一般英語コースにおいて大幅に増加し、さらに高校生の留学も倍増した。

(参考元:StudyTravel Network https://studytravel.network/magazine/news/0/30473

ヨーロッパからの学生が多い理由

アイルランドはEU加盟国なので、他のEU加盟国の人たちにとって非常に留学しやすい国である。LCCで安く渡航できる上通貨が同じで、また滞在や就労に制限がないことは非常に有利だ。実際に留学生の出身国別では、イタリアからの留学生が42,394人とスペイン(23,240人)が群を抜いている。次いでフランス、オーストリア、ドイツ、スイスとランクインしている。

EU加盟国同士の交換留学制度や奨学金も盛んで、他国の大学へ入学するために英語を勉強しにくる学生や就労目的の学生、また社会人においては、ヨーロッパの会社では2週間以上の有給休暇が簡単に取れたり、研修費として会社がコース料金を負担してくれる制度があり、観光を含めて英語を学習しにくるビジネスマンも見られた。他にはヨーロッパの各国で英語教師を対象とした研修コース、英語講師の資格を取得できるコースもあり、すでに英語が得意なヨーロッパ人にも需要がある。

25週間以上語学学校へ通うと就労も体験できる

もちろんヨーロッパ以外の国からの学生も増えている。

イタリア、スペインに次いで3番目に南アメリカからブラジル(15,103人)がランクインし、日本、韓国、台湾、中国、マレーシア、モンゴルなど東アジアの国々からの学生数が増加していることも強調されているが、南アメリカ諸国やトルコからの留学生数にはまだまだ届かない。

一定の条件を満たす英語コースを受講すればパートタイムでの就労が可能であることも人気の理由だ。またこのビザは2回更新可能で、最大2年まで語学学生として滞在できる。移民を目指す学生、大学などへの進学を目指す学生など目的は様々である。

日本の留学業界におけるアイルランド

アイルランドはオーストラリアやカナダなど他の英語留学国と比べれば正直マイナーで、2022年度の日本からの語学留学生の数は全体のわずか2%程だ。パンデミック以前の2019年の全体の留学生数は2022年の2倍だが、その中でもアイルランドの語学留学は1.4%だったことを考えると、アイルランドは徐々に人気を高めているのではないか。

複数の留学エージェントと一緒に仕事をしていた中での傾向としては、日本人スタッフのいる語学学校をお勧めするエージェントがほとんどだった。ヨーロッパ方面を得意とする留学カウンセラーが少なく、まだまだ情報の少ないアイルランドの現地を知るスタッフが駐在することにエージェント側も安心できて、1番の売りであるようだ。

(引用元:2022年JAOSデータ【PDF】
https://www.jaos.or.jp/wp-content/uploads/2023/05/2022JAOS

(引用元:2019年JAOSデータ【PDF】
https://www.jaos.or.jp/wp-content/uploads/2020/01/201912

アイルランド留学の魅力と可能性

日本人留学生が少なく英語の上達を最優先したい留学生に現在は人気のアイルランドだが、日本人が増えれば魅力はないのかと言われればそんなことはない。むしろ知られていない魅力だらけである。

まず、語学留学以上の経験ができる。長期の語学留学の際には、まず誰もが家探しやビザ、銀行の手続きを現地で経験する。また、英語を学びながら生の英語を使って手続きをしたり働いたりという経験は、想像以上に大きな自信になる。

また、アイルランドはヨーロッパ中へのアクセスや、豊かな自然、おおらかでフレンドリーな国民性に恵まれ、他の西欧諸国とは異なった独特の文化や歴史を残す。

日本のように娯楽やファッションに溢れた国ではないけれど、ハイキングやピクニックを楽しんだり、パブやカフェへ足繁く通うアイルランドの生活は心に豊かさを取り戻す感覚になるかもしれない。日本とは全く異なった経験ができることは間違いない。

まとめ

2023年は「出稼ぎ」という言葉が流行り、ワーキングホリデー制度を使って海外へ飛び出す若者が多かったようだ。アイルランドにもワーキングホリデー制度はあるが、長期語学留学で就労経験が可能な珍しい国である。英語習得と同時にそれ以上の経験ができることは、今後の日本の未来を担う若者たちにとって素晴らしい機会だと筆者は考える。

リリーゆりか

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アイルランド在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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