中絶手術禁止法案を可決!人権に揺れるアメリカ

アメリカ

前回LGBTQ+の記事で6月のLGBTQ+のproud monthについてお話しましたが、2022年の6月のアメリカは、それ以外にも人権問題で揺れに揺れています。
6月24日、米連邦最高裁がいくつかの州の人工中絶権の合憲性を認めず中絶手術禁止法案を可決し、1973年の「ロー対ウェイド」判決を覆す判断をしました。それにより毎日、全米各地のデモや集会のニュースを目にします。
今の人権問題に揺れるアメリカをレポート致します。

6月はLGBTQ+Pride month

    著者:シアトルgram fellow 土師 恵
公開日:2022年6月30日

今後アメリカでは中絶は違憲?

6月24日、アメリカ連邦最高裁は、中絶権が合衆国憲法で保障されなくなる旨の判決を出しました。
つまり、人工中絶が州によっては認められないということです。
アメリカではこれまで女性の人工妊娠中絶権は合憲だとしてきました。

1973年にロー対ウェイド判決というものがあり、当時の最高裁は、賛成7、反対2で、胎児が子宮外でも生きられるようになるまでは、女性に中絶の権利があると認めました。つまり、妊娠初期の3カ月間は中絶の権利が全面的に認められてきました。

ところが今回、その判決がひっくり返りました。共和党寄りの保守派判事6人と、民主党または改革寄りなリベラル派判事3人、合計9人の判事がいたのですが、それぞれの思想の違いがそのまま反映されたものになりました。

前大統領に指名された判事

まず第一に判事の数が公平ではないと誰しもが疑問に感じると思います。6人いる保守派の判事の内の2人は、ドナルド・トランプ前大統領に指名され就任した判事です。

ジョー・バイデン大統領はこの日の最高裁判決を受けて、「最高裁にとって、この国にとって悲しい日だ。」と述べ、更に、「最高裁は多くの国民にとってあまりに基本的な憲法上の権利を簡単に奪い取った」と批判しました。

この言葉に頷く人もいれば、民主党やジョー・バイデン大統領がもっとしっかりしていたらこんな結果にはならなかったのではと疑問に思う人も多いです。

街では沢山の女性たちが大きなプラカードを持って集い、「私の権利は私で決める」や「私の子宮に政治や宗教を持ち込まないで」などと猛抗議です。

この中絶を違憲としているのは、共和党支持者やクリスチャンの方が多いからです。
ある宗派のキリスト教の教えの中に”中絶を認めない”という考えがあるそうです。

性犯罪が68秒に一回起こる国

アメリカの13州で、この裁判の最中に既にトリガー法が成立していました。
トリガー法というのは、連邦最高裁がロー対ウェイド判決をひっくり返せば、自動的に中絶を禁止するというものです。

このうち、ケンタッキー、ルイジアナ、アーカンソー、サウスダコタ、ミズーリ、オクラホマ、アラバマでは、今回の判決を受けて中絶禁止法が施行されました。

ほかの多くの州でもこうした法律が成立するのではないかとみられています。
これを受けて、該当州で中絶手術を提供していたクリニックが診療を中止し始めました。

この法律では、例えば性犯罪の被害者の女性が、その事件でできてしまった子供をお腹の中で育てて産まないといけない。
という第二第三の精神的な被害を引き起こします。

そしてなんと加害者は他人だけでなく、父親など近親者も多いそうです。
アメリカは性犯罪が68秒に1件起こっている国です。
毎年約80,600人が性犯罪で逮捕されています。

中絶禁止法を定めた州の共和党の議員が、養子縁組を活発にする等の対策を強化するとコメントしていましたが、そもそもそんな法律を定めなければいいのにと思うのは筆者だけでしょうか。

アメリカは避妊に関しては女性が主体です。
処方箋薬になりますが、日常的に低容量ピルを服用している女性が多く、避妊薬のアフターピルは処方箋なしで購入することができます。

まとめ

今回は6月のニュースで特にアメリカ人が注目している、中絶禁止法をピックアップしました。
以前の共和党と民主党の記事にも書きましたが、住んでいる地域、信仰する宗教が政治にかなり反映されるのがアメリカです。

中絶禁止法が、これからのアメリカに更なる政治的、宗教的な分断を招くと考えられています。
あるビジネスについて、この州ではできるがこの州ではできない、というようなケースも今後は出てくるでしょう。

 

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