特集:世界では東京五輪についてどのように報道されているのか?(中国・後編)

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8月8日、東京にて2020年オリンピック大会の閉会式が行われた。新型コロナウイルスによる延期、大会関係者の辞任、無観客開催といくつもの困難を乗り越え開催されたオリンピックとなった。今大会を終えて各国はどのように考えているのか。オリンピック閉会後の中国の4つの記事をもとに考察した。

  著者:gram フェロー
公開日:2021年8月27日

中国では東京五輪についてどのように報道されているのか?

中国・後編

中国の東京オリンピック閉会後に書かれた記事は、多くはオリンピックが日本にもたらすマイナスの影響に集中している。閉会式に関する報道も、ネガティブ面を取り上げる記事が多かった。中国は、東京オリンピックの予算を超えた支出が日本の経済に与える衝撃や、開催期間のコロナ状況とその対策など、今後の日本政府の行動に関心を示している。
経済、政治面ともに日本と強い繋がりを有しているからこそ、中国は自国に影響し得る日本の状況を把握したいと考えられる。ここで注目しておきたいことは、オリンピックのような世界的大会が開催される時期は、中国の民間の民族情緒が昂揚する時期でもあり、対日ビジネスに影響を及ぼす恐れを視野に入れる必要があるということである。
また1年後に北京オリンピック(冬季)が開催される中国にとっては、東京五輪でのコロナ対策やその課題は、良くも悪くもためになったことは、間違いないであろう。

記事1・史上「最も高価な」オリンピックが閉会 その経済上の勘定をしてみる:凤凰網体育

(史上“最昂贵”的奥运会落幕 我们来算算它的经济账)

オックスフォード大学が「史上最も高価なオリンピック」と呼んだ東京五輪がようやく閉会した。震災後の経済復興、東日本の再建の展示など、日本は今回の東京オリンピックに沢山期待していたにもかかわらず、突如としたコロナ禍で残念な結果になっている。オリンピック効果がもたらす経済利益が叶わなかった東京オリンピックに一体どれぐらいの出費がされたか。どこに使われたか。その勘定をしてみよう。ちなみに、実際の支出が予算を上回ることはオリンピック主催国においては稀なことではない。オックスフォード大学の研究結果によると、1960年以降多くのオリンピックが予算超え問題に直面しており、平均の超過率は176%である。
凤凰網体育: https://news.ifeng.com/c/88XmpjQo0dE

五輪組織委員会長:完全な成功ではなかった:观察者網

(东京奥组委主席:并非百分百的成功)
日本共同通信社の8月8日の報道によると、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の橋本聖子会長は同日の記者会見にて「完全な成功ではなかった。各方面の問題と反省点が存在しており、今後に活かさなければ」という意見を述べた。24日から開催予定のパラリンピックの観客の有無に関しては、日本政府と東京都と協議しながら決めるという。同組織委員会事務総長の武藤敏郎氏は「措置についてはおおよそ聞いている。陽性者は少なかった」といい、今回の経験を来年の北京冬季オリンピックにも活かせるようにと願っている。
观察者網 : https://www.guancha.cn/internation/2021_08_09_602215.shtml

オリンピック閉会 東京のコロナ感染状況は「爆発的」拡大:新华网

(奥运闭幕 东京疫情“爆发式”扩散)

東京オリンピックが閉会した日、東京都の新たなコロナ感染者数は史上最多の5042人に上った。7月下旬以来、東京都周辺の感染状況は明らかに加速する勢いを見せ、今週の平均新規感染者数は4037人となり、先週より30%増えている。オリンピック組織委員会は8日、7月1日以降の五輪関連の感染者数は合計436例であり、うち日本に居住する感染者は286人で、海外に居住する感染者は150人だったと発表している。 菅義偉総理大臣は東京オリンピックはコロナの拡大には無関係だという意見を繰り返し述べている。マスメディアによる最新世論調査によると、菅内閣の支持率は30%まで下がっており、史上最低値となっている。多くの国民の不満は現在のコロナ情勢下で東京オリンピックを開催したことにあると言われている。 コロナ状況を鑑みて、日本政府は8日に緊急事態発令地域を5から13地域まで拡大することを宣言し、これらの地域では東京と同様に措置を8月末まで継続する。
新华网 : http://www.xinhuanet.com/world/2021-08/09/c_1211324092.htm

特集:世界では東京五輪についてどのように報道されたのか?(中国・前編)

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