オーストラリアのフードロス事情
世界的な問題となっている「フードロス」。オーストラリアでも課題視されており、政府は「2030年までにフードロスを半減させる」との目標を掲げています。毎年760万トンもの食品が廃棄され、それによって発生する二酸化炭素は1750万トンにも上ります。家庭からの食品廃棄量は世界最悪で、その理由や削減策について解説します。フードロス削減に向けた施策として、非営利団体や大手スーパーが活躍しています。オーストラリアのフードロス対策をシェアいたします。
オーストラリアのフードロス事情
著者:オーストラリアgramフェロー 平澤 歩
公開日:2023年7月1日
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2030年までに食品廃棄量半減が目標
オーストラリアでは、毎年760万トン(1人当たり約320キログラム)の食品が廃棄され、その廃棄物によって温室効果ガス総排出量の3パーセント以上となる1750万トンの二酸化炭素が発生しています。
これを受けて、オーストラリア政府は国連の持続可能な開発目標に基づき「2030年までにフードロスを現在の半分まで削減する」との方針を2020年に示しています。
家庭からの食品廃棄量世界ワースト1のオーストラリア
国連環境計画(UNEP)によると、2021年の「1人当たりの家庭からの食品廃棄物発生量」について、オーストラリアは1人当たり102キログラムと世界ワースト1位になっています。
家庭から廃棄される食品の内訳は、野菜29%・果物22%・レタスなどのサラダ野菜24%・食パンやクッキーなどオーブンで焼かれた食品21%などとなっています。
オーストラリアで家庭からの食品廃棄物発生量が多い理由は「共働き家庭が多く、食品の買い置きや作り置きをし、賞味期限切れを迎えて捨てることが多いから」と、「食べ残しはよくないという意識がないから」と考えられています。
食べ残しが当たり前の風習
オーストラリア人は、日本人のように「食べ残しはよくない、もったいない」という意識が低く、かなり多い量を食べ残す人も少なくありません。
私は飲食店で働いていますが、「ほとんど食べていないのでは?」と思うほど食べ残されていることも多々あり、悲しい気持ちになります。
なお、オーストラリアの飲食店では食べ残しを持ち帰ることができますが、持ち帰る人はそこまで多くありません。
フードロス削減の施策
そんなオーストラリアで、フードロスに向けてどんな施策が行なわれているのでしょうか。
1つに「Foodbank」という非営利団体による、賞味期限が近い食品や規格外食品、家庭で食べない食品の販売や無料提供の実施があります。
それらの食品は「Food Pantry」というフードロス食品専門のスーパーマーケットで通常より低価格で販売されており、消費者にとってはお得な価格で買い物ができ、かつフードロス対策に協力できる場所となっています。また、食べ物の購入が困難な貧困層の方々に配給し、生活支援の一端を担っています。
大手スーパー「Woolworth」と慈善団体「OzHarvest」は提携を結び、様々なフードロスへの取り組みを行なっています。
Woolworthで販売している賞味期限が来てしまった食品を貧困層の方々に配給したり、形が不揃い・小さすぎるなどの規格外野菜を「Odd Bunch」という商品名で安く販売したりと、オーストラリア全土にくまなく広がる販売網を活かした取り組みを行なっています。「Odd Bunch」は大容量でリーズナブル、形は不揃いなものの味に全く問題はないため、私も頻繁に購入しています。
まとめ
フードロスへの意識が高まっているオーストラリア。日本でも真似できそうな取り組みがたくさんあるので、今後の取り組みにも引き続き注目したいです。
【引用】
◇FoodTechHub:
https://foodtech-hub.com/foodtech/food-loss/189/
◇The Guardian: https://www.theguardian.com/australia-news/2022/sep/30/food-waste-from-australian-households-tops-2k-a-year-study-finds
◇Foodbank: https://www.foodbank.org.au/?state=au
◇OzHarvest: https://www.ozharvest.org/news/woolworths-ozharvest-partnership/