オーストラリアの飲み水事情:節水と安全性のバランスを保つ国
オーストラリアは乾燥した国土を持つため、水の供給には慎重さが求められます。しかし、安全性の高い水道水をそのまま飲用できる国でもあります。この記事では、オーストラリアの飲み水事情について詳しく紹介します。節水の必要性や水の制限、地域ごとの水質の違い、さらにはマイボトル文化や炭酸水の種類など、知っておきたい情報が満載です。オーストラリアでの水の役割と安全な飲み方について、詳しくご説明します。
オーストラリアの飲み水事情:節水と安全性のバランスを保つ国
著者:オーストラリアgramフェロー 平澤 歩
公開日:2023年6月13日
水資源が不足しているオーストラリア
オーストラリアは国土の約4割を砂漠が占めている上に、地理的な高低差が少ない大陸で、乾燥した気候が続きやすく慢性的な水不足が問題となっています。
節水のため「シャワーは10分まで」「洗濯は週1回まで」と制限されているシェアハウスやホームステイ先もあるほどです。
特に水不足が深刻な年には対策法が施行され、ホースで庭の植木に水をまく行為や、自宅での洗車などが禁止されます。それらを破り水を無駄遣いしていると見なされた場合、罰金が徴収されます。
水道水の飲用は可能
そんなオーストラリアですが、国土交通省が発表している「水道水をそのまま飲用できる国」の数少ない国の1つとなっています。水は不足はしていますが、安全性は高いということです。
ヨーロッパなどの国ではレストランで水が有料であることが多いですが、オーストラリアは日本同様、無料で水がもらえます。しかし、浄水器を通さないで水道水をそのまま提供しているレストランもあり、少し臭いが気になる水が提供されることもあります。
オーストラリアの水は、シドニー・メルボルン・パース・タスマニアなどで軟水、ブリスベン・アデレードなどで硬水と、地域によって水質が異なっています。日本は軟水のため、硬水の地域に住むと、飲用が可能とはいえ、最初はその味の独特さに違和感があるかもしれません。
そして、オーストラリアの水道水にはフッ素が入っています。日本ではフッ素は歯磨き粉に配合され、虫歯予防に効果的な成分と認識されていますが、オーストラリアでも「水道水を飲むと虫歯予防になる」と政府が謳っています。
水筒を持ち歩く人が多い
オーストラリアはマイボトルを持ち歩く人が多いです。スーパーやホームセンターでも、保温機能のないものであれば約3ドル(約270円)から、保温機能のあるものであれば約10ドル(約900円)からと手ごろな値段で販売されており、種類もかなり豊富です。
水道水を飲用できるので水筒に手軽に水を入れられることや、スーパーで500~700ミリリットルペットボトルの水が3ドル前後と高値で販売されていることから、マイボトルを持参する人が多くなっています。
わかりにくい「ソーダ」と「スパークリングウォーター」の違い
オーストラリアのスーパーで炭酸水を買おうとすると、「soda water」と「sparkling water」の2種類が販売されています。どちらも見た目は、日本でいう炭酸水なので、何が違うのか日本人は戸惑ってしまうでしょう。
「soda water」は二酸化炭素などを加えて人工的に発砲させた水、「sparkling water」は採水の時点から天然の炭酸が含まれている水のことです。
一般的に天然の炭酸が含まれているsparklling waterの方が、ミネラルの独特な風味が感じられるといわれます。また、sparkling waterはそのまま水のように飲用することが多いのに対し、soda waterはお酒やシロップなどを割って飲むことが多いという違いがあります。