物価高騰で遠ざかる中国人観光客|シンガポール急ぐ新市場開拓
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『シンガポールは物価が高すぎるため旅行できない』と中国のネット上で注目を集めていると、シンガポールの代表的なメディアである「THE STRAITS TIMES(海峡時報)」が報じています。
実際に中国からのアウトバウンド観光客の数は、他国からの観光客に比べて依然として伸び悩んでいるようです。
今回はこの記事を深掘りして、中国からの観光客の動向について解説します。
物価高騰で遠ざかる中国人観光客|シンガポール急ぐ新市場開拓
著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon
公開日:2024年 4月19日
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シンガポールの物価高
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記事によると、中国の成都市に在住する28歳の女性が中国正月の連休を利用してシンガポールを訪れたそうですが、食費や交通費が想定以上にかかってしまい、旅費が30%もオーバーしたということです。
中国のメディアではシンガポール旅行の費用の高さを何度かとりあげてきたようです。
世界で最も物価が高い都市はシンガポールとチューリッヒであることが、世界的経済誌「エコノミスト」の調査結果で明らかになっています。
ビザなしで30日間滞在
シンガポールと中国が、2024年2月9日からビザの相互免除措置を開始し、入国から30日以内を条件にビザが不要になったことを、以前こちらで紹介しました。
まだ正式な統計結果は出ていませんが、2024年の中国正月期の中国からの観光客は大幅増したようですが、先行きは不安視されています。
「免除されるのはビザのみ」
これまで中国からの観光客は、シンガポールに入国するためのビザを取得するのに300元(約6,200円)を支払っていました。
今回の措置でビザの費用は不要になりましたが、中国のネット上では「シンガポールへ行くのに免除されるのはビザだけで、費用ではない」との書き込みが多くされています。
さらに「ビザ免除後の第1陣で、シンガポールに行った中産階級の人たちは、すでに“破産”している」とか、「シンガポールへのビザなし旅行は、注意しないと貧乏になる可能性がある」といった声がネット上で飛び交っていて、中国でも最も検索されたトピックとなっているようです。
高額の罰金も忌避の理由?
また一部では地下鉄車内での飲食の禁止や、公共の場でごみのポイ捨てができないこと、さらには痰を道端に吐くことができず、これらのマナー違反には高額の罰金が科されることも、中国人がシンガポールへ行くことを戸惑わせる要因になっている声もあると、記事は伝えています。
観光客の20%が中国人
コロナ禍前の2018年や2019年には、シンガポールに訪れる人の20%強が中国からの観光客でした。
観光への支出でも、中国からの観光客は他の国からの観光客とは違い、ホテルや飲食にはあまり費用をかけません。ショッピングへの支出が全支出の45%を占めていて(日本人は15%、マレーシア人は28%)、日本同様に「爆買い」がシンガポール経済を潤している一面もありました。
シフト
シンガポールは観光業の持続可能な成長性を確保するために、中国以外の市場にも焦点を当てることが必要です。
すでに従来の観光資源から、「MICE(ミーティング、インセンティブ、コンファレンス、展示会)」や高級旅行などへ観光の主流のシフトを図っており、「MICE」は大成功しており、日本の「MICE」への取り組みの参考ケースにもなっています。
また、成長しつつある中流階級の人口が増加し、余剰所得をもつようになったインドネシアやベトナムなどの新興市場に投資し、シンガポール観光の魅力やメリットを提示しています。
その効果か、2022年にはインドネシアからの観光客が最も多く110万人あり、次いでインドが68万6000人の実績でした。
観光はシンガポールにとって重要な産業のひとつなので、政府も状況を見ながら今後も果敢に舵を取っていくことでしょう。