インド:コロナ禍における現状とポストコロナの展望
2020年7月中旬インドでは、新型コロナウイルス感染者数が100万人を超えたと伝えられた。そこで今回はなかなか情報として入りにくいインドの現状とコロナ禍を乗り越えた先、ポストコロナのインドについてお話ししようと思います。
インド:コロナ禍における現状とポストコロナの展望
著者:gramパートナー 西山
公開日:2020年07月27日
インドにある課題と実力
インドが現在、直面しているホットトピックとして以下3つの課題が挙げられる。
未満で成長している経済の落ち込みを高成長軌道に戻す。
2019年IMFによるとインドは実質経済成長率7.7%と高い水準を予測されていた。
但し、2020年蓋を開けてみると誰もが予想できなかった新型コロナウイルスが蔓延し経済成長率は3%未満に落ち込んだ。この現状を打開することが一つ目の課題として挙げられている。
100万人を超えるコロナウイルス感染者の増加を抑える。
2020年7月27日現在インドではコロナウィルス感染者数が140万人となり、死亡者数が3万人を超えている。これは、全世界の蔓延者数1600万人の10%弱にあたり、死亡者数60万人に対し5%と世界第3位の高い水準である。
ラダック地域で起こっている中国との紛争から守る。
インド北部のラダック地域は中国と国境を接する。この両国の実効支配線に沿って数か所で小競り合いがおこっており、増大する中国の侵略から国境を守らなければならない。
インドが示めす世界的なビジョン
インド政府は、このような現状を踏まえポストコロナを見据えいくつかの方針を打ち出している。
政府方針
政府のビジョンは、世界の様々な企業がインドに製造・開発拠点とするオプションを探していることを鑑み、インドを製造業のハブに育てることを打ち出している。
・インドの商品、ブランド、サービスを世界的に促進する。
・海外貿易を積極的に促進するが、一方で貿易の不均衡を解消することを目指す。
・インドがスケールアップし、世界的な競争力を持つ可能性と能力を持っている産業とセクターを特定し育てる。
・情報技術(IT)などの得意とする分野を更に育て活用し、製造面においても市場面においても理想的な地域として地位を確立する。
・海外直接投資(FDI)を歓迎しながら、市場経済のあらゆる領域を復活させ、グローバルサプライヤーへの依存を減らす。
インド経済と産業の見通し
欧州格付け大手のフィッチ社は、2021年3月に終了する今会計年度にインド経済を5%の縮小と予測している。しかし、その後の次会計年度におけるインド経済は9.5%で成長すると見ている。
一方デロイト社は、来年度第4四半期の成長率を6%〜7%と予測しており、 その後、インド経済は年平均約6%のペースで成長すると予測している。
特に製造、輸送、倉庫保管、教育、eトレード、医療、ITなどのセクターは、ロックダウンが解除されると急激に回復すると思われており、回復に時間がかかるセクターは従来的な人々の行動に依存する小売り、国内旅行、海外旅行、ホテルなどのセクターだと予想されている。
このように多くの経済専門家は、ポストコロナにおけるインド経済を大きくはポジティブに捉え、世界におけるもっとも経済成長する地域だと予測する。
一方で日本企業においては、このような現状と政策、業界の方向性を見極めながら、チャンスを逃さないために準備・行動をしインドマーケットにおける成功を掴んで欲しい。