マレーシアで「手足口病」大流行

コロナ時代

現在、マレーシアでは「手足口病」が大流行しています。
保健大臣のカイリー氏は『2021年の発生件数がわずか4,239例であったのに対し、2022年1月から5月13日までで合計28,957例が報告された』と述べています。
加えて、『学校での対面学習や幼稚園、保育所の再開、すべての経済活動の再開により、さらに増加が見込まれる』と述べました。
この記事では、現在流行のまっただ中にある「手足口病」について解説いたします。

マレーシアで「手足口病」大流行

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon 
公開日:2022年5月xx日

「手足口病」は、その名の通り、口の中や手足などに水疱性の発疹が出る、ウイルスが原因になって起こる感染症です。
報告数の90%前後を5歳以下の乳幼児が占めていることからもわかるように、子どもを中心に、主に夏に流行します。
感染経路は、飛沫感染、接触感染などといわれています。
特に「手足口病」にかかりやすい、免疫を持っていない乳幼児が集団生活をしている保育園や幼稚園などでは、集団感染が起こりやすくなります。
これは、子どもたち同士の距離が近く接触が生じやすい環境であることや、衛生観念がまだ十分でないことに起因しています。

手足口病の症状は?

「手足口病」の主な症状は、感染してから3~5日後に、口の中、手のひら、足の裏などに2~3mmの水疱性の発疹が出ます。発熱もみられますが、あまり高くならないパターンがほとんどで高熱が続くことは通常はありません。体や筋肉の痛み、口内炎、くしゃみ、咳、鼻水などの症状もあります。
ほとんどの発病者は、1週間程度で治ります。
口の中や喉に痛みを感じるため食事や水分がとりにくくなります。

手足口病の予防策は?

「手足口病」に感染しないようにするために、どのようなことに注意すればよいのでしょうか?
現在のところ、「手足口病」には有効なワクチンはなく、また発症を予防できる薬もありません。
一般的な感染対策は、接触感染を予防するために手洗いをしっかりとすることです。
手洗いは流水と石けんでしっかり行い、タオルの共用はしてはいけません。
「手足口病」は、決して重大な病気ではありません。ほとんどの人が子どもの時にかかって、免疫をつけてきた感染症です。「手足口病」をよく理解して、正しく恐れ、感染対策することが重要です。

マレーシアの過去の流行

マレーシアでは1997年4~6月にサラワク州で「手足口病」が大流行し、発症件数は23,000以上にのぼり、死亡例が30以上報告されました。この流行以前の「手足口病」の発症例は確認されていません。

マレーシアの今回の流行

今回の流行は、去年の同時期に比べると発症件数が12.8倍と劇的な増加になっており、警告レベルを超えていると発表されています。
保育園や幼稚園、育児所などのデイケアセンターではクラスターが発生し、全体の発症件数の95%を以上を占めてす。
「手足口病」は飛沫や接触で感染しますが、多くは接触から感染しているようで、保健局は床やバスルーム、子どもが使う器具などは清潔を保つよう注意を呼び掛けています。

アプリの活用

以前の記事で、マレーシアでは、政府の新型コロナウイルス感染対策アプリ「MySejahtera」(マイセジャテラ)のダウンロードが義務付けられていると紹介しました。
感染対策の緩和以後、このアプリを使用する機会は減りましたが(入店時用のQRコードのスキャンが必要でなくなったため)、政府はこのアプリをその他の感染症の発症例の追跡に活用しています。
「手足口病」もアプリを活用している疾病の1つです。
ちなみにアプリを確認すると、この記事を書いている5月16日現在で、私が住んでいるエリアでの感染症の発症数は
  ・新型コロナ  49症例(半径1㎞以内で、過去14日間)
  ・デング熱   0症例(半径200m以内で、過去14日間)
  ・手足口病   66症例(半径5㎞以内で、過去7日間)
となっています。

注意が必要です

4月の国境開放以後、多くの日本人家族がマレーシアに入国しています。
私もメンバーであるクアラルンプールの日本人会も、4月の新規会員数は70名以上にもなり、2年以上ぶりに新規会員の入会があるとのことです。
今後もどんどん多くの方がマレーシアに入国されるでしょう。
入国される方は、新型コロナ同様、「手足口病」にもくれぐれもご注意ください。


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