フィリピンがFacebook大国と呼ばれるわけ

フィリピン

FacebookやX(旧Twitter)、LINEなど多くのSNSが世界中で利用されていますが、国によって各SNSのユーザー数は大きく異なります。そこで今回は、筆者が住むフィリピンで最も利用されているSNSであるFacebookについて、なぜ多くのフィリピン人が利用しているのか、フィリピンならではの使い方や、ビジネスにも活かす方法などについてご紹介いたします。

フィリピンがFacebook大国と呼ばれるわけ

   著者:フィリピンgramフェロー たこ坊
公開日:2023年 10月13日

フィリピン国内のSNS事情

日本でSNSといえば、メッセージツールのLINEの他、TwitterやInstagramなどが主力として挙げられますが、フィリピンのSNS事情はどうでしょうか?

フィリピン国内の各SNSのユーザー数を比較してみました。  

SNS会社ユーザー数
Facebook8,385万人
Facebook Messenger5,515万人
Youtube5,650万人
Tiktok3,596万人
Instagram1,865万人
LinkedIn1,100万人
SnapChat1,060万人
Twitter1,050万人

(引用元:フィリピンのデジタルマーケティングトレンド2022(Web/SNS事情/EC、マーケット傾向分析)
https://gdx-j.com/column/global-marketing/asean/phillipines-digitalmarketing2022/

上記より、フィリピン国内ではFacebookおよびFacebook Messengerが圧倒的に利用されていることがわかります。フィリピンの人口が1億1千万人程度であるため、全国民の80%以上がFacebookを利用していることになります。

筆者はフィリピン生活5年目となりますが、現地で新しく知り合った方と連絡先を交換する時は電話番号でもメールアドレスでもなく、Facebookアカウントで友達追加をします。フィリピン現地で人脈を増やすにあたって、Facebookは欠かせないツールのひとつとなっています。

フィリピン流Facebookの使い方

フィリピン国内で最も利用されているFacebookですが、一体どのような使い方をされているのでしょうか?フィリピンならではの使い方について、ご紹介していきます。

メッセージツール
日本でメッセージアプリといえばLINEが有名ですが、フィリピンでメッセージツールとして利用されているのが、Facebookの運営会社Metaが運営しているメッセージアプリFacebook Messengerです。メッセージの送受信の他、通話やビデオ通話も無料で行えるため、機能としてはLINEとほとんど同じです。日本人がLINEを利用する感覚でフィリピン人はFacebook Messengerを利用している、とイメージしていただければわかりやすいかと思います。

投稿・シェア機能
フィリピン人はFacebookのタイムライン上で、ふと思ったことや考えていることを投稿する他、タイムラインに流れてきた投稿をシェアする、もしくは引用して自分のコメントを付けた上でシェアするなど、日本でいうX(旧Twitter)のような使い方をしています。

ウェブサイト代わり
フィリピンでは会社や店舗の情報をウェブサイトに載せるのではなく、Facebook上で自社ページを作成して情報を掲載していることが多いです。そのため、ウェブ上で検索してもなかなか見つからない情報がFacebook上ではすぐに見つかることもあります。

ウェブサイトよりも手軽に作成でき、ユーザー数の多さからリーチ数も期待できるため、ウェブサイトを作成するよりFacebookページを作成した方が低コストかつ効果的なのです。

マーケティング
テーマごとにコミュニティ分けをすることができるFacebookグループ機能をマーケティングに活用する企業や人事担当者も多いです。例えば、IT企業の人事担当であれば、探している人材のポジションに関連するグループ(IT勤務経験者のグループ、ITエンジニアのグループなど)に複数参加して求人情報を投稿していけば、10人、20人と多くの求職者からMessengerで連絡が届きます。

リーチさせたい客層が多いグループを見つければ、あとは投稿するのみ。費用をかけず手軽にマーケティングが行えます。ユーザー数の多いフィリピンだからこそ取り入れられるマーケティング手法のひとつです。

マーケットプレイス
2022年から日本でも使用可能になったMarketplace機能では、新品・中古品問わず物の売買が行えます。商品が売れた際には、購入者と直接会って商品とお金の受け渡しを行います。日本でいうジモティーのような機能です。業者だけではなく相場価格を知らない個人で販売している方も多数あり、目利きができれば格安で良質な品を入手することも可能です。筆者の友人は、3万円程度でほぼ新品状態のiPhone 13を手に入れていました。

マッチングアプリ
日本ではまだ利用できない機能ですが、フィリピンのSIMカードを入れるとFacebook Datingという機能が利用できるようになります。いわゆるマッチングアプリで、Tinderのように画面に表示される異性の写真を見て「好き」か「嫌い」かを決めて左右にスワイプしていくものとなります。お互いに「好き」にスワイプした者同士がマッチングし、チャットを開始することができます。Facebookの機能であるがゆえのメリットとして、費用が発生しないこと、チャット画面からFacebookおよびMessengerへ招待できること、またマッチング相手は少なくともFacebookユーザーであることから業者である可能性が低く、純粋に出会いを求めている人とマッチングしやすいことなどが挙げられます。実際に筆者もこの機能を活用して現在の彼女と出会いました。とても感謝しています。

簡易的なオンラインショップ

以上のように数多くの使い方があるFacebookですが、これらの機能を活用してタピオカミルクティーショップを開業した友人がいるため、ご紹介したいと思います。

筆者の友人Aさんはコロナ禍で失業してしまいました。その際、何か収入を得る手段はないかと考え、ふと思いついたのがFacebook上でオンラインショップを立ち上げることだったのです。6千ペソ(約16000円)を元手にタピオカミルクティーの材料を調達し、Facebook上で店舗ページを作成。まずは身内のみで拡散し、知人や友人に販売。その後、口コミが増えるとともに、より多くの人がページを拡散してくれるようになり、売り上げも右肩上がりに。約1年間で25万ペソ(約65万円)ほど貯めた後、2022年に実店舗をオープン。フランチャイズでも数店舗展開し、現在に至ります。コロナ禍でデリバリー需要が増していた時期だったこともあり、流れに乗って事業拡大に成功したスモールビジネスの一例となります。

低資金で試しにビジネスを始めたい場合には、Aさんの事例のようにFacebook上でのオンラインショップを開業することから始めるのも安心です。ただし、外国人が特定のビザを保有せずに現地で収入を得てしまうと違法就労となるため、ご注意ください。

まとめ

Facebookのユーザー数が人口の80%を占めているFacebook大国フィリピンでは、日本でいうLINEやX(旧Twitter)、ウェブサイト、ジモティー、Tinderなどの役割をすべてFacebookのみで完結できることがわかりました。ユーザー数が多いゆえ、マーケティングやビジネスにも活用しやすく、アイデアさえあれば簡単に小さな成功を掴むことが可能です。フィリピン市場開拓を検討されている方は、ぜひFacebookをマーケティングツールのひとつとしてご活用ください。

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