多民族国家の奇跡|マレーシア67年目の挑戦と進化

マレーシア

1957年8月31日午前0時、クアラルンプールの独立広場に集まった数万人の群衆が見守る中、一人の男性が右手を高く掲げ「メルデカ(独立)」と7回叫びました。「マレーシアの父」と呼ばれる初代首相アブドゥル・ラーマン氏です。450年に及ぶ植民地支配から解放された瞬間、イギリス国旗が降ろされ、新しい国旗が掲げられました。その後、マレーシアは多民族国家として独自の道を歩み始めます。
67回目を迎える今年のナショナルデーには、建国時の感動と国家としての歩みを振り返りながら、マレーシアが目指す未来への展望を探ります。

マレーシア 67回目のナショナルデー  

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2024年10月10日

独立の瞬間

1957年の8月31日午前0時に、「マレーシアの父」と呼ばれ、のちにマレーシアの初代首相となりるアブドゥル・ラーマン氏が、クアラルンプールの中心部にある広場(現在は「独立広場(Merdeka Square)」と呼ばれています)の多くの民衆の前で、右手を挙げて群衆とともに「メルデカ!(Merdeka!)」と7回叫んで独立を宣言しました。

その瞬間、広場に掲げられていたイギリス国旗が下ろされ、マレーシア国旗が掲揚されました。

マレーシアは、ポルトガルに1511年に占領されて以来、約450年もの長き間、オランダ、イギリス、日本、そして再びイギリスによって植民地として支配されてきましたが、この日完全に独立を果たしたのです。

1963年9月16日にはサバ州とサラワク州がマラヤに加わって、マレーシア連邦が設立されました。

その後2年後の1965年にはシンガポールがマレーシアから分離独立する形で建国し、現在に至ります。

国民の重要な祝日

ナショナルデーはマレーシア国民にとって重要な祝日で、盛大に祝われます。

この重要な日を記念して、毎年独立記念日のパレードが開催され、警察と軍隊による行進やダンサーなどによる色鮮やかなパフォーマンス、そして各団体のテーマに基づいて美しく装飾された山車などが披露されます。 ナショナルデーは全国で祝われます。

国旗の意味

マレーシアの国旗は「Jalur Gemilang (マレー語で、『栄光のストライプ』という意味)」と呼ばれており、14本ある横縞が13の州と連邦直轄地を意味していて、左上にある月と星はイスラム教を象徴しています。アメリカの国旗によく似ていることでも知られています。

「マレーシア・マダニ」

2024年のナショナルデーのテーマは「マレーシア・マダニ:ジワ・メルデカ」で、”さまざまな文化や民族的背景を持つマレーシア人の統合を象徴する価値観”を表しています。

政府は各家庭が国旗を掲揚して、国民全員がこの重要な行事に参加するよう呼びかけています。

「統一と繁栄」

マレーシアの独立当初から続く基本的精神(モットー)は「統一と繁栄」です。

この言葉は、マレーシアの多民族国家としての特性をよく反映しており、各民族が協力し合いながら国の発展に努めることを意味しています。

独立当時、アブドゥル・ラーマン首相は「マレーシアは全ての民族が平等に尊重される国であるべきだ」と強調し、多文化共生の理念を掲げました。

この理念は今日のマレーシア社会にも色濃く反映され、マレーシア社会の特徴にもなっています。

意義深いナショナルデーのイベント

マレーシアのナショナルデーは、単に国の独立を祝うだけでなく、民族間の団結や国の発展を再確認する、国民にとって非常に重要な日です。

独立の過程での苦労や努力、その後の民族騒動などの経験は今でも国民の間で大切にされており、毎年ナショナルデーに行われる祝賀活動を通じて、その意義の再確認が行われています。

Malay Dragon

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マレーシア・シンガポール在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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