99 Speed Mart(99スピードマート)新規株式公開(IPO)
先日、マレーシア最大のミニマートチェーンである「99 Speed Mart(99スピードマート)」が、マレーシア証券取引所で新規株式公開(IPO)を行いました。このIPOの成功により、創業者で大株主のリー・ティアム・ワー氏は推定保有資産が34億ドル(約4865億円)となり、ビリオネアの仲間入りをしたというニュースがありました。
マレーシアは現在コンビニが乱立して競争時代に突入していますが、99は独自の路線を貫き、圧倒的な強さを誇っています。
そこで今回は、99の軌跡について紹介したいと思います。
99 Speed Mart(99スピードマート)新規株式公開(IPO)
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2023年11月21日
シェア40%
マレーシアのコンビニエンスストアおよびミニマート市場が急成長を遂げています。特にコロナ禍後の2023年には、いわゆる「リベンジ消費」の影響もあって、市場縮小から回復しています。
小売業界は、過去数十年にわたり国内総生産(GDP)に最大の貢献をしている部門のひとつで、2024年から2029年中には5.94%の成長が予測されていて、国内外のブランドが全国に幅広い小売店を展開しています。
2,600店舗以上
99チェーンはマレーシア国内で現在2,600店舗以上を展開していて、雇用者数は約2万2500人です。ミニマーケット部門で40%のシェアを占め、食料品小売業者全体では12%近くを占めています。国内で最大の企業となっていて、セブンイレブンの2,500店舗と競っています。
99 Speedmartの歴史
99は、創業者のリー氏が1987年に故郷のセランゴール州のクランで、初めてのミニマーケット「パサ・ラヤ・ヒアプ・ホエ」を開業したのが始まりです。5年後にその店を売却して、チェーンストアの「パサ・ミニ99」を立ち上げました。2000年に「99スピードマート」のブランドを統合し、現在に至っています。
2010年頃から急速に店舗展開を進めていて、クアラルンプールの街角に店舗を見かけるようになりました。
創業者のリー氏
地元新聞の記事によると、創業者のリーさんはポリオのため幼い頃から足が不自由でした。しかも兄弟が10人いたため、リーさんが学校に通うことができたのは6年間だけだったそうです。中学校で過ごすはずだった日々を埋めるために、リーさんは道端でスナックを売る仕事をはじめ、それが起業としての最初の仕事になりました。
そして1987年、リーさんが23歳のときに、スナック菓子の販売でためたお金で「パサ・ラヤ・ヒアップ・ホエ」という雑貨店をオープンしたのです。
99の成長の軌跡
「99」という名前は、提供する商品の大部分が安価であり、99セントで購入できることを示しています。この低価格戦略が功を奏し、多くの消費者から高い支持を受け、急速に成長を遂げました。
2017年には店舗数が1,000を超え、マレーシア全土で急速に展開をはじめ、現在では2,600店舗を超え、都市部だけでなく地方でも多数の店舗を持つ全国規模のチェーンとなっています。
今後も成長が予測
99は低価格戦略と地域密着型展開で、広範囲の顧客層をターゲットにしていて、小規模店舗のため消費者が必要な商品を迅速に購入できるというスピーディなサービスの利便性が大きな魅力です。
今回のIPOによる資金調達により、国内でのさらなる店舗拡大や、デジタル決済やオンライン注文、デリバリーサービスなど、最新のテクノロジーを活用したデジタル化に投資する計画が進んでいて、さらなる成長が見込まれています。