アンワル首相 国家クラウド政策を策定
10月1日、マレーシアのアンワル首相は新たな国家クラウド政策を策定しました。今回の政策では、人工知能(AI)の倫理的利用を促進する規制を導入する計画だと述べました。
今年に入って大手テクノロジー企業のマレーシアへの投資の話が続いていますが、この度の政策で経済成長や競争力を維持し、さらに高めることを狙っています。
そこで今回は、国家クラウド政策について説明し、なぜ今マレーシアなのかについて深掘りしたいと思います。
アンワル首相 国家クラウド政策を策定
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2024年1月9日
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4つの主要分野に重点
アンワル首相は、4つの中核分野「公共サービスの革新」「経済成長」「データセキュリティの強化」「デジタル包摂の向上」に重点を置くことを強調しました。
この政策は、データセキュリティとユーザーの信頼を優先し、すべての国民が技術進歩の恩恵を受けられるようにすることを目的にしています。
国家AIオフィスを設置
国家AIオフィスを設置し、今後12ヶ月以内に倫理的かつ持続可能なAIの導入を増やすための規制枠組みと、5ヶ年の技術行動計画を作成します。
AIに関する規制
マレーシアは2024年8月、ユーザー数が800万人以上のソーシャルメディアおよびメッセージングプロバイダーに対してライセンス要件を提案し、業界のリーダーらから反発を招いています。
2025年1月に軽い規制が発効する予定ですが、ネットいじめやオンライン詐欺、ギャンブルなど、オンライン上の危害を減らしながらイノベーションの阻害を避けるのが目的です。
今回の規制案はこれに続くAIに関する規制となりそうです。
グーグルが巨額投資
大手テクノロジー企業は、今回の規制に反対しつつマレーシアのテクノロジー分野に積極的に投資しています。
グーグルはマレーシアのテクノロジー企業と複数年にわたる提携関係を結ぶことで、2030年までに26,500人の雇用を創出し、地元経済に30億ドル(約4,462億円)以上の貢献が見込まれています。
なぜ、今、マレーシアなのか?
マレーシアがテクノロジー企業にとって魅力的な投資先である理由はいくつかあります。
1、経済の安定性
安定した政治環境と経済成長(2024年のGDP成長率は約5.5%予想)を維持しており、投資リスクが比較的低いとされています。
2、優れた人材
技術者の教育が進んでおり、特に工学や情報技術分野において優秀な人材が育成されているため、企業は質の高い労働力を確保できる。
3、戦略的な地理的位置
マレーシアは東南アジアの中心に位置し、アジア全体やヨーロッパへのアクセスが良好です。これにより地域市場への展開が容易になります。
4、政府の支援政策
政府は外国企業に対して税制優遇措置やインフラ整備を進めており、特にテクノロジー分野への投資を強く奨励しています。
「マレーシアAI戦略2021-2025」
今回の国家クラウド政策に先立ち、「マレーシアAI戦略2021-2025」でAI技術の発展を促進し、経済成長を支えることを目指してきましたが、順調に経済成長を維持しています。
AI関連の教育プログラムを強化し、大学や専門学校との連携を深めて質の高いAI技術者を育成することに成功しているため、産業も醸成されているからと考えられます。
競争力の強化
これらの政策はマレーシアの経済成長を支えるだけでなく、国際的な競争が激化する中で、技術革新を通じて地域や国際的な競争力を高めるために、さらに重要な役割を果たすと考えられています。