インバウンドの旅行消費額でマレーシアは15位
観光庁が、日本を訪れる外国人の消費動向を調査した「2023年4~6月期の全国調査結果」を発表しました。
2023年6月、訪日外国人の旅行者数は207万3300人となり、コロナ禍後では初めて、単月で200万人を超えました。 また、1~6月の上半期の累計では、1071万2000人と1000万人を突破しています。
今回は訪日観光客の消費動向について、マレーシア人の動向についても紹介します。
マレーシア人観光客の消費力急上昇:ハラル対応の普及が要因
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2023年9月21日
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コロナ禍前の7割の水準に回復
日本政府観光局は6月の訪日外客数を発表しましたが、2019年の同月比で72.0%と、コロナ禍前の7割の水準まで回復しており、2022年10月の水際対策の緩和を契機に、訪日外国人数は順調に回復し続けていることが示されています。
注目は、中国からの訪日客がコロナ前には1位でしたが、6月は2019年同月比で23.7%と、4分の1以下に留まっていることです。
国別の上昇率では、米国が29.2%のUPで、以下、メキシコが19.8%、フィリピンが15.7%の上昇となっており、北米からの回復が進んでいることが示されています。
消費額は高水準を維持
2023年の4~6月期の訪日した外国人の旅行中の消費額は、1兆2052億円で、コロナ禍前の2019年の同期比で95.1%となっています。また、一人当たり消費額は20.5万円で、1~3月期の21.1万円と比べると僅かに減ったものの、コロナ禍前の2019年の15.8万円を大きく上回り、高水準を維持しています。
この最大の理由は、円安が進行したことによって、円建ての消費額が大きく増えたことです。
また、第2の理由としては、リピーターを中心に支出額が増加したことによります。これは外国人観光客が日本の文化や観光資源に対して価値を見出し、消費マインドが動かされた結果でしょう。
マレーシア人の動向は?
2023年4~6月期の訪日したマレーシア人は9.6万人を記録し、消費金額では15位にランクインされ197億円で、1人当たりの消費額は20万4210円でした。
マレーシア人が日本滞在中に消費した金額の中で一番多かったのは宿泊費で69億円、以下、買物代が48億円、飲食費で45億円、交通費26億円、娯楽などのサービス費7億円となっています。
旅行消費額では、マレーシアは2019年のコロナ禍前と比べて23.2%増で、訪日旅行者全体では4.9%減となっていることから、大きく伸びていることがわかります。
北海道好きなマレーシア人
訪日したマレーシア人の訪問先として人気のあったのは、1位が北海道で、2位が東京、3位が大阪で、上位3ヶ所で8割を超えています。
マレー系の人は、宗教の関係もあり温泉にはあまり興味がないようで、ディズニーランドやUSJといったテーマパーク中心の訪問が多いようです。
中華系の人は、日本食や日本酒、焼酎などの日本の食文化を楽しみに行く人が多いようです。
また、マレー系、中華系に関わらず、生魚が苦手な人が多いので、お寿司よりも天ぷらのほうが人気があるようです。
ハラル対応増加も一因
最近ではイスラム教の礼拝室を設けている施設や、ハラルに対応した食事を提供しているお店も増えており、マレーシアなどのイスラム教圏からの訪問客が増えている要因にもなっています。
高付加価値化
外国人の観光客がコロナ禍を越えて急速に戻る中で、日本国内では、宿泊業などでの人手不足が懸案化していて、インバウンド戦略のボトルネックになりつつあります。
この対策としては、いかに訪日観光客の一人当たりの支出額を増やすのかという「高付加価値化」と「地方への誘導」が重要です。
日本の優れた文化や観光資源を(再)発見してもらえるような施策と、高付加価値化が持続できるような取り組みが重要でしょう。さらに、訪日観光客に地方の素晴らしい観光資源をしっかりと知ってもらい、誘導していくことも重要です。それにより人気観光地の市民生活さえ脅かしているオーバーツーリズム問題や地方経済の活性化の対策にもつながり、日本経済全体に好影響をもたらしてくれることを期待できるでしょう。