ホームセンター「MR.D.I.Y.」の快進撃

マレーシア

日本では各地に大型のホームセンターがあり、販売アイテムもますます増えて生活には欠かせない存在になっていますが、マレーシアでも同様の現象が起き始めています。

その中でも「MR D.I.Y.」 は、マレーシアを拠点として各国へ進出しているホームセンターで、アジア全域に 1,000 を超える店舗を展開しています。

今回の記事では、「MR D.I.Y.」の快進撃について紹介します。

ホームセンター「MR.D.I.Y.」の快進撃  

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2025年3月20日

ホームセンター「MR.D.I.Y.」の快進撃

マレーシアを代表するホームセンターが「MR D.I.Y.」です。

2005年にクアラルンプール市内に最初の店舗をオープンして以来、わずか20年足らずで、マレーシアを中心に主にアジア諸国で約1,000店舗を展開しています。

私がマレーシアに赴任した2012年にはまだ小さいサイズの店舗が数軒あるだけでしたが、現在ではサイズの大きな店舗にも挑戦し、いたるところで店舗を見かけるようになりました。

急成長の理由

創業から短期間で多くの店舗を開店できた理由としては、当初の小さなホームセンター事業から徐々に事業を拡大し、家電、家庭用品、DIY用品、文房具などの生活必需品を幅広く取り扱うようになったことがあげられます。

また、マレーシア国内でのブランド認知度を高めるため、2009年以降、積極的に店舗数を増やしていったことも要因です。クアラルンプール市内だけではなく郊外や地方都市にも展開し、マレーシア国内全域で人気を博すようになりました。

店舗の多様化

同社は2018年以降店舗の多様化を進めていて、ディスカウントショップの「Mr.DOLLAR」、おもちゃを扱う「Mr.TOY」など異なる商品ジャンルの店舗も展開しており、幅広い消費者層、特に若年層やファミリー層に支持されています。

また、大型店「MR D.I.Y. プラス」1号店を首都クアラルンプール中心部の巨大商業施設の目玉として出店しています。この新店舗は通常店の3倍ほどの広さがあり、いつも多くのお客でにぎわっています。

低価格戦略

「Mr D.I.Y.」は、低価格戦略、つまりコストパフォーマンスの高い商品を提供することで競合との差別化を図って成功しています。

中低所得者層をターゲットにする一方で、商品品質の向上や店舗の多様化にも注力しています。

最近ではEコマースにも進出しており、コロナ禍の2020年以降はオンラインショッピングやデジタルマーケティングにも注力しています。これにより、オンラインとオフラインの顧客の利便性を向上させるオムニチャネル戦略に成功しています。

上場を果たす

「Mr D.I.Y.」はコロナ禍の2020年10月にマレーシア証券取引所に上場を果たしました。

2022年に売上高は50億リンギット(約1,745億円)を突破し、過去最高を記録しました。これは前年度比約30%増で、同業他社を上回る成長率を示しています。

同社は雇用創出にも貢献しており、国内だけで10,000人以上の雇用を生み出しています。また、地域ごとの店舗展開によって地元経済への貢献も高いと評価されています。

消費者のニーズを見事にとらえる

「Mr D.I.Y.」は同業他社と比較しても商品数の多さとアクセスのしやすさで優位性を持っていて、地域ごとに商品ラインアップを調整することで、消費者のニーズにも即応しています。

一方で、他のグローバル企業との競争も激化しており、労働力不足や商品供給の安定性、インフレによるコスト増加などがリスクとして挙げられています。

原材料価格や家賃・労働コストの上昇や、物流の問題をどのように解決していくかが、今後の成長の課題となってくるでしょう。

Malay Dragon

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マレーシア・シンガポール在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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