進化していくベトナムの中秋節

ベトナム

日本では秋の象徴のひとつとして、「十五夜」「お月見」というワードが思い浮かぶと思います。
中秋節は旧暦の8月15日で、毎年、中秋節の日は異なります。2022年の中秋節は9月10日です。
ベトナムで中秋節は伝統的で大切なイベントです。現代のベトナムの中秋節(Tết Trung thu テット・チュン・トゥー)の様子をご紹介します。


進化していくベトナムの中秋節 

   著者:ベトナムgramフェロー Saigon A
公開日:2022年9月17日

中秋節に向けて

中秋節が近付くと街の風景も変わります。街の様々な場所で、星、ウサギ、ニワトリ、魚、船などの形をしたランタンが多く売られています。この時期は街中が赤や黄で彩られています。

(画像提供・https://plo.vn/)

現代の中秋節の過ごし方

昔の中秋節は、旧暦の8月に収穫を終え、月を眺めながら収穫した農作物で作った料理を並べ、豊作を祈り、しばしの休息を楽しむのが習慣となっていました。
現代のベトナムの中秋節は、昔の農民たちのお祭りから現代の生活に見合うように形を変え、子どものためのお祭りというニュアンスが強くなっています。そのため、ランタンも伝統的な形とは異なるキャラクターがモチーフとなったものが売られたり、子どもたちが集まって楽しめるイベントが行われます。

ランタンを作るワークショップが行われたり、学校でも子どもたちにとって中秋節が特別な一日になるよう工夫されています。また、家族や親戚が集まる機会となっています。
イベントでは獅子舞を見ることもできます。大きなシンバルや太鼓の音に合わせて舞う大きな獅子の姿に泣き出す子どもが続出ですが、悪いものを退け幸運をもたらす祈りとして、中秋節に欠かせないものとなっています。

進化する月餅と月餅商戦

ベトナムの中秋節に、ランタン、そして月餅(Bánh Trung Thuバイン・チュン・トゥー)は欠かせません。中秋節が近くなると街中に月餅を売る仮設テントの店舗が並び、ショッピングモールには特設の販売ブースができます。
月餅は日本の月見団子とは異なり、Moon Cakeといわれるように、小麦粉を使ったずっしりとしたケーキです。地方によって中身の具材が異なり、緑豆餡やアヒルの卵の黄身を塩漬けされたものなど様々です。和菓子になれている日本人は、ベトナムの伝統的な月餅は少し重いお菓子と感じると思います。
ベトナムの国立栄養研究所によると、材料にもよりますが、小麦粉、砂糖、バターなどが使われた150g~200gの月餅は600kcalといわれています。そのため、糖尿病や肥満の人は月餅を控えるか、カロリーの低いものを選び、食べ過ぎないよう推奨しています。
参照:Tuoi Tre(https://tuoitre.vn/nguoi-bi-dai-thao-duong-beo-phi-co-nen-an-banh-trung-thu-20220907091853962.htm)

こういった現代人の健康志向や味の好みなどから、伝統的な月餅から形を変え、より多くの人に好まれるよう進化した月餅も多く売られるようになっています。
コーヒーチェーン店のSTARBUCKSやCHEESE COFFEE、フランス人経営の人気チョコレート店MAISON MAROUなど多くの店舗でオリジナルの月餅を販売しています。伝統的な月餅の形を残しつつ、コーヒーやフルーツ、チョコレートなどの素材を使って新しく進化した月餅のニュースタイルを作り上げています。

まとめ

ベトナムではスピード感を持って発展していく街の空気に流されることなく、古くからの伝統的な慣習や季節の行事も大切にし、うまく新旧の良い部分を共存させています。日本での十五夜とは少し異なる、華やかなベトナムの中秋節をぜひ楽しんでいただきたい思います。

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