SNS大国フィリピンのインターネット事情

フィリピン

フィリピンでのインターネット普及率は年々上昇し、現在は60%以上(※1)の人がインターネットアクセスを持っています。
マニラでもフリーWifiのあるモールや施設が多く、町の一区間でフリーwifiが使えるようなところもあります。
ところが、意外にも家にインターネットを設置している世帯は少なく、2019年の調査では17.7%の世帯が家にインターネット環境(※2)を備えていると回答しています。
8,000万人以上のFacebookユーザーがいるSNS大国フィリピンで、現地の人はどのようにして日々インターネットを使用しているのでしょうか。
今回は、フィリピンにおけるインターネット事情を深掘りしました。

フィリピンのインターネット事情

著者:フィリピンgramフェロー Pinay Penguin
公開日:2022年5月11日

インターネットへのアクセスの方法

フィリピンでインターネットにアクセスするには、主に3つの方法があります。

  1)モバイル用インターネット
  2)家庭用インターネット
  3)無料Wifiかインターネットカフェ

モバイル用、家庭用の両方にプリペイドプランがあり、購入したデータ容量を一定期間上限に達するまで使用できるという仕組みです。日本では固定回線が主流なので、このプリペイド方式はあまりなじみがないですよね。ちなみにプリペイドの家庭用インターネットは最初に機材を購入する必要があるので、これがネックとなり今でもモバイル用インターネットを主なアクセス手段として使用している人が多いです。

筆者は、家庭用インターネットを設置するまで、スマートフォンのデータをデザリングしてパソコンを使用していましたが、データ通信量が余計にかかります。SNSの更新などであればスマートフォンをそのまま使う人が多いでしょう。
また、近所のモールに行くと多くの人がスマートフォン片手に食事をしたり、お茶をしている姿をよく見かけます。モールでとった写真をSNSにあげたりするには、無料Wifiも重要なインターネットアクセス手段であり、フィリピンの人にとってはスマートフォンからのインターネットアクセスが最も身近で一般的です。

街中にあるフリーWifiスポット

Useage1:Facebook

フィリピンでは、Facebookが個人プロフィールとして活用されており、時にはバイトの面接などでも使われるほど社会に浸透しています。筆者もフィリピン人の同僚や友人とはFacebookやMessengerでやり取りしています。

2021年時点では、インターネットユーザーの96.2%がFacebookを使用しているそうです。(※3)さらにその98.7%が携帯・スマートフォンからアクセスしているとの調査結果が出ています(※4)。
なるほど、どうりで道すがらスマートフォン片手に歩く人が多いわけです。日本でも「歩きスマホ禁止」のポスターをよく見かけますが、ここマニラにもそうした啓発活動が必要かもしれませんね。

フィリピンでは海外に職を得て家族と離れて暮らす人も多く、家族とのつながりを大切にするフィリピン人にとって、メッセージのやり取りやSNSへの投稿でお互いの近況を伝えることはとても重要な日課なのでしょう。

筆者の周りでも、20代はもちろんのこと、60代、70代以上の人もアカウントを持っていて、投稿したり、コメントを残したりとFacebookを使いこなしています。一緒に出かけるとここで一枚、あそこで一枚といたるところで写真を撮ることが多く、その日のうちには投稿にタグ付けされていたりします。Facebookが幅広い世代で生活の一部になっていることがよくうかがえます。

Useage2:Youtube

最近ではYoutubeも大人気です。およそ4,500万人以上の人がYoutubeを閲覧しており(※5)、現在のフィリピンの人口が約1億900万人なので、41%以上の人が閲覧している計算になります。

この数字がいかに世界的な影響を与えているかを表しているのが「Pinoy bating」という言葉でしょう。フィリピン以外の国の人がフィリピン人の注目を集めることを意図して作る動画や行為のことを表す言葉ですが、コンテンツの内容が不誠実であったり、不快感を与えるとしてネット上で問題になっています。
 
ここまでYoutubeの人気が高まった理由のひとつにも、スマートフォンでのインターネット利用があげられます。スマートフォンの画面でインターネットを楽しむ時に、ブラウザでネットサーフィンをしてウィンドウをいくつも開くのは煩わしく、アプリ一つで様々なジャンルの情報が得られるYoutubeというプラットフォームは幅広い世代や用途に合致したのではないでしょうか。

それに加えて、各携帯会社も動画配信の視聴に特化したプリペイドプランを用意しています。YoutubeやNetflixなどいくつかの動画配信サービスにかかるデータ通信量を、その他のアプリやインターネットで消費する分と分けて使えるというプランです。一日30ペソ程度で買えるプランもあり、好きな時に好きな分だけ動画が見られます。

Youtubeの視聴率が伸びたのが先か、携帯会社のプリペイドプランが提供されたのが先か定かではありませんが、これらの環境から、Youtubeが今後ますますフィリピンで流行っていくことが予想されます。

最後に

日本ではテレビ離れが進み、インターネットから情報を集める人が多く、朝起きてから夜寝るまでの間にインターネットにアクセスする回数もどれくらいのサイトを訪れたかも計り知れません。

一方、フィリピンでは限られたデータ容量の中で自分の好きなコンテンツを最大限活用する人が多いです。この傾向は今後ますます顕著になり、特に人気の高いプラットフォームにフィリピンのマーケットを意識した広告動画がどんどん集中することでしょう。正しくて役に立つ情報を伝えられるような誠意ある海外企業が、「Pinoy bating」で懐疑的になっているフィリピンの人たちの心をつかむことができるのではないでしょうか。

※1 参照:「DIGITAL 2022: THE PHILIPPINES」https://datareportal.com/reports/digital-2022-philippines
※2 参照:「2019 National ICT Household Survey Results」
https://dict.gov.ph/ictstatistics/2019-national-ict-household-survey-results/
※3 参照:「Leading social media platforms used each month by internet users in the Philippines as of 3rd quarter 2021」
https://www.statista.com/statistics/1127983/philippines-leading-social-media-platforms/
※4 参照:「Devices used to access Facebook among adults in the Philippines as of June 2021, by type」
https://www.statista.com/statistics/1127996/philippines-device-used-facebook-users-by-type/
※5 参照:「YouTube reaches over 45 million adult viewers in the Philippines」
https://www.yugatech.com/software/youtube-reaches-over-45-million-adult-viewers-in-the-philippines/

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