フィリピンでキューピーマヨネーズが人気の理由とは!

フィリピン

フィリピンの食料品店に行くと、マヨネーズコーナーには必ずと言っていいほどキューピーマヨネーズが陳列されています。サイズや種類を豊富に取り揃えている店舗もあります。 醤油や味噌など日本独自の調味料ではなく、世界中に競合も多いマヨネーズ部門で、なぜ長年キューピーマヨネーズがフィリピンで親しまれているのか。

今回は、フィリピンの食料品市場で確固たる位置を維持しているキューピーマヨネーズの人気の理由を検証しました。

フィリピンでキューピーマヨネーズが人気の理由とは!

著者:フィリピンgramフェロー Pinay Penguin
公開日:2022年5月2日

現在のキューピーマヨネーズの位置づけ

Reviewer Finderのウェブサイトによるフィリピンのマヨネーズ市場ランキング(参照:「Top 10 Best Mayonnaise of 2022」:https://reviewfinder.ph/l/best-of/mayonnaise/)では、第一位がHELLMANN’S REALマヨネーズ、第二位がLady’s Choiceマヨネーズ、そして第三位にキューピーマヨネーズがランクインしています。フィリピン人になじみの強いレディースチョイスに次いで第三位にランキングしていることを見ても、キューピーマヨネーズがフィリピンで広く親しまれていることがわかります。

フィリピンのベストマヨネーズランキングで第三位に紹介されているキューピーマヨネーズ(参照:https://reviewfinder.ph/l/best-of/mayonnaise/)

因みに、Lady’s Choiceはコンビニエンスストアでも買えるほど、フィリピンに行けばどこにでも見つけることができます。ドレッシング、サンドウィッチソースなど種類も豊富です。

食料品店に陳列されるキューピーマヨネーズ

3つの仮説

周りのフィリピン人に聞いたところによると、キューピーマヨネーズは約20年前から既に一般的に購入できる商品だったそうです。

キューピーマヨネーズが長年フィリピンで親しまれている理由について、Kewpie Philippinesの公式ウェブサイトを参照し、以下の3つの仮説を立ててみました(参照:https://www.kewpie.com.ph/aboutkewpie)

1)安全面:
酢と塩を天然の防腐剤としており、化学的な防腐剤を使用していないことが、フィリピン人の健康志向を刺激したのではないか。

2)いつでも新鮮な独自のパッケージ:
独自のプラスチック製の容器を使用しているので、酸化し辛く、おいしさ、新鮮さを長期間保持できることがフィリピン市場でヒットしたのではないか。

3) 独自の旨味:
キューピーマヨネーズは卵の黄身だけを使用しているため、他商品と比較すると味わいが深く、フィリピン人の胃袋をつかんだのではないか。

仮説の検証

ここからは、上で立てた3つの仮説について、それぞれ検証をおこなっていきます。

検証1 :安全性
経済成長を続けるフィリピンで健康志向も高まる中、安全性を謡う商品は間違いなく将来的に注目されていくことでしょう。

しかし、ここ2年間以上コロナによるロックダウンの影響を受けていたフィリピンでは、社会活動が著しく減少し、人々は家の中で過ごすことが多くなったこともあり、健康志向からはかけ離れている状態です。

また、商品の安全性はどこの会社も重視しています。上記ランキングで1位になっているHELLMANN’S REALマヨネーズも公式ウェブサイトで安全性について記載をしていますので、これだけをもってキューピーマヨネーズの人気の秘密と断定できるわけではなさそうです。

人工成分を使用していないことを謡っているHELLMANN’S REALマヨネーズの商品紹介ページ(参照:https://www.hellmanns.com/us/en/home.html)

検証2:いつでも新鮮な独自のパッケージ

フィリピンではどんな商品も小分けパッケージで売られています。マヨネーズはもちろん、コーヒー、チーズ、バターなどの食料品からデオドラントや洗剤などの日用品まで、小分けパッケージが一般的です。ブイヨンキューブにおいては一個単位で販売していますし、薬局では薬が一粒から購入可能です。地元のSari-sari(サリサリ)と呼ばれる売店ではタバコを1本から買うことができます。

フィリピンでは給与の支払が月2回に分かれている会社が一般的ということもあり、地元の人々は一日から数日単位で消費を計画する傾向があります。

この点からして、酸化が防げて長期保存が可能、という独自のパッケージの優位性は低いと言えるでしょう。

検証3:独自の旨味

フィリピンの人は甘い味付けが大好きです。食料品売り場では、ケチャップ、パスタソースなど、フィリピン人の味覚に合わせて改良されている調味料をたくさん見かけます。

そうかと思うと、シニガンスープのようなとてつもなく酸っぱいスープをこよなく愛していたりと、フィリピンの人々は味に関する幅広い許容力があります。

そのような地元の人々は、キューピーマヨネーズの味をどのように評価しているのでしょうか。私が現在住むエリアの人々に聞いたところ、以下のような意見を聞くことができました。

  ・他のマヨネーズに比べて脂っこくなくてあっさりしている
  ・味付けはマイルド、甘みも感じる
  ・あっさりしているからサラダに使っている
  ・日本食に使うならキューピー、ハンバーガーならHEINZのマヨネーズが一番

個人的にはLady’s choiceの方が酸味が少ないためパンチが少なく感じるので、「味付けがマイルド」「あっさり」という意見には驚きました。キューピーマヨネーズの酸味がきいているところがあっさりした味付けと感じさせているのでしょうか。

使用目的が「サラダ」「日本食」というところから、使用用途によってマヨネーズを変えている人がいるのだということがわかりました。確かに、フィリピンには国産の醤油もありますが、キッコーマンの醤油も同じく一般的に買うことができます。味付けが濃くしょっぱい国産の醤油に比べると、キッコーマンの醤油は味が繊細です。メニューによって同じ調味料のメーカーを使い分けているなんて、フィリピンの人々はグルメですね。

フィリピンで一般的なDel Monteのパスタソース。標準の味付けの「イタリアンスタイル」(右)、「フィリピンスタイル」(中)、「スイートスタイル」(左)。因みにフィリピンスタイルとスイートスタイルはどちらも甘口です。

まとめ

上記のように、キューピーマヨネーズはその独特の味付けが、他の商品と一線を画しているということがわかりました。これこそが、競合の多いマヨネーズというカテゴリーの中でキューピーが人気を維持している理由といえるでしょう。

もっとも、一部の意見では「価格が高いから日常的には買わない」というものもありました。
今後、他の商品のような小分け包装が一般化すれば、もっと高い消費量が期待できるのではないでしょうか。


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