乗用EVで東南アジア最大のシェアに

ブルームバーグによると、シンガポールは2040年までに乗用電気自動車(EV)の販売シェアが東南アジア地域で最大になると予測されている、というレポートが出ています。
2023年時点で東南アジア6ヶ国の中でシンガポールのEV導入率が最も高くなっていますが、さらに比率が高まると予想されています。
今回の記事では、なぜシンガポールで電気自動車EVの販売が増加しているのかについて深堀します。
乗用EVで東南アジア最大のシェアに
著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon
公開日:2024年 1月24日
80%が電気自動車EVに

レポートによると、シンガポールでは2040年までに新規販売乗用車全体の80%が電気自動車EVになると予想されています。
東南アジア全体での平均は24%となっていて、シンガポールに次いでタイが41%のシェアで、以下、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピンの順となっています。
高いEV導入率
2023年にシンガポールで販売された全車両の約19%をEVが占めていて、東南アジア6ヶ国の中で最もEV導入率が高くなっています。
また、シンガポール陸運局のデータによると、2024年の最初の7ヶ月でEVが新車登録台数の32.1%を占めています。2023年1年の18.1%から2倍近くに上昇しており、2022年の11.7%から3倍近くに急増しています。
政府が補助金
EVの比率が急増しているのは、シンガポール政府がクリーンエネルギー車に補助金を付与していることが一因と考えられます。
EVを新規登録した所有者に対しての払戻金が45%まで増額されており、Road taxでも最大で34%の減額を行っています。さらに民間のコンドミニアムに充電スタンドを設置する場合は、費用の一部を政府が補助しており、国内の充電設備数も2023年11月の789基から1,100基へと急増しています。
「グリーンプラン2030」
「グリーンプラン2030」は、環境への影響を最小限に抑えるために策定された国家戦略です。この計画では2040年までにすべての車両をクリーンエネルギー車に転換する目標が掲げられています。特に公共交通機関の電動化が重要視され、2030年までにバスの50%をEVに転換する予定です。
EV化の揺り戻しはないのか?
ヨーロッパやアメリカでは急速なEV化に対して現在は揺り戻しが起き、大きな社会問題になりつつありますが、シンガポールではどうでしょうか。
EVに対する需要の減少や規制緩和による遅れは、シンガポールでは起こりにくいと考えられます。その理由としては以下が考えられます。
1、政府の強力なリーダーシップ
シンガポール政府はEVの普及を国策として協力に推進しており、長期的なビジョンに基づいて政策を一貫して実施しています。「グリーンプラン2030」もそのひとつで、その目標達成に向けたインセンティブや充電インフラの整備が進められています。
2、市場規模の違い
アメリカやヨーロッパのように広大な地理的条件を持つ国とは異なり、シンガポールは小規模な都市国家であるため、充電インフラの整備が容易です。EVを導入するためのインフラコストが低く抑えられるメリットがデメリットよりも大きいと考えられます。
3、ガソリン車に対する高税率
シンガポールでは従来のガソリン車に対して高い税金や登録費用が課されており、EVへの移行が経済的に有利です。
シンガポールの戦略
シンガポールは都市全体を持続可能なエコシステムに変革することを目指しており、その一環としてEVの普及を進めています。この取り組みは単に環境への配慮だけでなく、シンガポールをグローバルなグリーン都市として位置づけるための最重要戦略でもあります。
都市国家としての強みと弱みを知り尽くし、一貫した政策で、シンガポールはこれからも前進し続けるのでしょう。