800種類以上の茶葉を展開|『TWG Tea』に学ぶグローバルニッチ戦略
シンガポール発の高級ティーブランド「TWG Tea」が、日本市場で急速に店舗を拡大しています。800種以上の茶葉を取り揃え、世界20カ国で70店舗以上を展開する同社の成功の鍵は何か? 手摘み茶葉へのこだわり、高級感あるパッケージング、ティーサロンの併設など、独自の戦略が功を奏しています。
グローバル展開における市場選択や、ブランド価値の維持方法など、「TWG Tea」の世界戦略から学べるビジネスのヒントを探ります。
今回は「TWG Tea」の世界戦略について解説します。
シンガポール発の世界的ブランド 「TWG Tea」 の躍進
著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon
公開日:2024年 7月5日
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東海エリア初出店
今回出店するのは栄の新たなランドマークとなる名古屋中日ビルで、東海エリアでは初出店です。
「TWG Tea」は、2010年に海外店舗の1号店として東京の自由が丘に出店して、今回の店舗は日本国内で8店舗目です。
日本の店舗の運営は株式会社東急グルメフロントが行っています。
「TWG Tea」
「TWG Tea」はシンガポール創業の世界屈指の高級紅茶のブランドで、2008年に創立されました。
現在シンガポールで13店舗、世界20カ国で70店舗以上を運営していて、実に800種類以上の茶葉を揃えている紅茶の専門店です。
アジアを中心に海外展開を積極的に続けていて、その勢いはとどまることを知りません。
シンガポールで創業した理由
「TWG Tea」の創設者である、インド系香港人のムルジャニ氏は、数名の日本人、フランス系モロッコ人の紅茶ソムリエとともに高級ティーハウス事業を構想しました。
彼らがシンガポールを創業の地に選んだ理由は『メイド・イン・シンガポール』が、すでに高級感をブランドに与えることができるからです。
シンガポールは、世界の主要な茶葉の生産国であるインド、中国や日本のほぼ中央に位置していて、しかも茶葉の生産国ではないため、茶葉の輸入も比較的簡単です。
コーヒーとは違って特徴的な茶文化が特に無いため、世界中のさまざまな茶文化を紹介しやすいことが、シンガポールが選ばれた理由です。
「TWG Tea」の強み
「TWG Tea」の特徴は、取り扱う茶葉の多くがひとつひとつ丁寧に手で摘み取られていることです。現代では機械で茶葉を摘むことが主流ですが、インドやネパール、タイなど、世界中にある「TWG Tea」の茶葉の農園では手摘みが主流です。
シンガポール土産の定番となった「コットン100%のティーバッグ」も、完全手摘みの上質なホールリーフ(全葉)のみを使用しています。
際立った戦略
「TWG Tea」の成長の原動力は、手頃な価格で、豊富な種類の高品質の茶葉を品揃えしたことに加え、高級感のあるパッケージデザインを採用し、さらに「ティーサロン」を開設・併設して顧客に彼らの茶葉の味を試してもらえるようにしたことです。
これらのマーケティング戦略が功を奏し、シンガポールで急成長していきました。
海外進出では東京などの世界を代表するファッションの中心地に、彼らのコンセプトをまず導入し、次に高級茶の需要と成長の機会がある市場に拡大していくことを戦略にしています。
「TWG Tea」と同じビジョンと価値観を共有し、自身の市場を深く理解している適切なパートナーを見つけた場合にのみ、海外進出を決定しています。
そして、消費者の経済力や文化的特徴、好みなどを慎重に考慮しています。
さらなる前進
「TWG Tea」 が直面している課題は、ブランドの高級感と品質を、市場間で一貫して維持することです。そのためにはスタッフのトレーニングが重要であり、すべての従業員が、自社の商品や顧客サービスについて十分に理解できるようにすることが重要です。
「TWG Tea」では、世界中の従業員を訓練するための独自のトレーニング施設をシンガポールに設立しています。
「TWG Tea」の勝利の方程式は、今後も世界中で再現されていくでしょう。