シンガポールが経済自由度ランクで初のトップ

シンガポール

2023年の世界の経済自由度ランキング(カナダのシンクタンク「フレイザー研究所」が公表)で、シンガポールがトップに立ちました。2位は香港で、1975年のランキング開始以降初めて首位から陥落しました。

今回はこのランキングの記事の紹介とともに、シンガポールの経済の自由度について解説します。

シンガポールが経済自由度ランクで初のトップ

   著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon 
公開日:2023年 11月24日

10点満点中で8.56

経済自由度は「国際貿易の自由度」「通貨の健全性」「政府のサイズ」「規制」「法制度と財産権」の主要な5項目について調査・評価し、世界165の国と地域をランキングにまとめています。

シンガポールのスコアは10点満点中の8.56で、前年から0.06ポイントアップしています。

2位は53年間も首位を堅持していた香港で、シンガポールとの差はわずかに0.01ポイントでした。

日本は12位からランクを落とし20位で、他の東南アジアの国はマレーシアが56位、タイが64位で、以下フィリピン70位、インドネシア74位、ベトナム106位でした。

香港陥落

香港が53年間も首位であったという事実にも驚きを禁じ得ませんが、今回香港が首位から陥落した理由は、中国政府による軍事面の干渉の強まりや法支配の強化、さらに新たな参入障壁を課したことなど、これらが香港のスコアを落とす原因であったと説明しています。

香港の評価がこの2年間で0.40ポイントも下落し、国際ビジネスにおける魅力が消えつつあることが指摘され、これからの香港が危惧されています。

経済の自由度と幸福度との関係

経済の自由度のトップ10に入っている10ヶ国のうち4ヶ国が、世界幸福度の2023年のランキングでもトップ10にランクインしています。

人間の幸福度は、経済の自由度だけでは計測できない宗教や各種の活動のような、非経済分野での自由度も重要な指標です。
また経済の自由度と幸福度には強い関連性があることが明らかになっています。

世界で最も高度で自由な経済を誇るシンガポール

シンガポールは法の支配や政府の規制の限定度や効率性、市場の開放性が広く根付いており、健全な経済と強靭な競争力の源泉になっています。

オープンで汚職の少ない環境を維持し、物価も比較的安定していて、他の先進国よりも一人当たりの国内総生産が高く、非常に高度に進歩した自由市場経済を持っています。

実際に、現在のシンガポール経済成長と繁栄が、経済的自由を維持・推進していく上で、強力なサポートになっていることを実証しています。

自由主義の強力な拠点

自由主義の盟主であるアメリカにとっても、シンガポールは経済と安全保障の取り組みにおいて長年にわたり信頼できるパートナーです。近年ではアメリカや自由主義陣営が、増大する中国の影響力に対抗するために、この地域における積極的な関与を行う重要な拠点として評価されています。

実際に、5,000社以上のアメリカ企業がシンガポールで事業を展開しており、アメリカは単一国では、群を抜いてシンガポールへの最大の投資国となっています。

自由市場の成功例

シンガポールは東京23区と変わらないほどのわずかな国土、外国人労働者を加えても600万人程度の人口規模にもかかわらず、この度の経済の自由度のみならず、さまざまなランキングで必ずトップ周辺にランクインしています。

シンガポールは自由市場の成功例であり、20世紀で最も成功した開発物語といわれていて、かつてもてはやされた「アジアの四小龍」の中でも群を抜いて成功しています。

この本当に小さな島が、世界でも最も自由で裕福な場所のひとつに成長し、アジアだけではなく世界の政府の模範となっているのです。

Malay Dragon

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マレーシア・シンガポール在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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