自治体を活用した地方産品の海外展開
地方自治体の海外輸出事業・海外輸出促進事業は大きく変わりつつあります。
海外輸出促進は、人口減少、消費減少により日本の既存マーケットが縮小していくといった背景において、地方にある産品を日本ではなく海外に販路を広げて経済を活性化することを目的とした取り組みです。
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自治体を活用した地方産品の海外展開
著者:gram
公開日:2022年10月31日
変わる海外輸出事業のあり方
地方自治体が実施する、過去最も輸出事業を活性化するキラーコンテンツは海外バイヤー招致にありました。海外で地方産品を大きく広めてくれるであろうバイヤー候補を招聘し、商品を実際に見て、触って、食べて、感じてもらう体験を通じて、その地域、商品を好きになってもらいつつ、取引の成約につなげていくといった方法です。
しかし、その施策は全く使いものにならなくなってしまいました。理由は単純で、現状海外バイヤーを招聘することにまだまだハードルの高い状況が続いているからです。
そのため、自治体の取り組みも変化を余儀なくされ、、今では過去のキラーコンテンツに拘るのではなく、新たな取り組みを実施していく方向に舵を切っています。
地方産品をコンテンツとして共有し、コミュニケーションをとる中で欲しいという気持ちを醸成し、そのコミュニケーション自体を更なるコンテンツとして波及していく取り組みに方向転換しています。
言い換えると、オンラインで展開することを前提に考え、オンラインだけで完結できない、繋がるために必要なリアルな活動は補助的な実務として補完する仕組み作りを実施しているのです。
このような考え方に沿って、地方自治体の海外輸出事業の代表的な施策として挙げられるのが以下の3つです。
1.越境EC(海外現地EC)を活用した販売施策
2.海外現地消費者を狙ったライブコマース施策
3.ターゲット国への認知を目的としたインフルエンサー施策
越境EC(海外現地EC)を活用した販売施策
越境EC(海外現地EC)の活用は、地方産品の海外販路を狙う王道となりつつあります。海外渡航ができない近年において、海外現地で販売するためにオンラインなら「繋がれる」を体現した形です。一方で課題もあり、全く認知も馴染みもない産品を消費者はオンラインで購入するかという点です。
その課題をカバーするために、次のライブコマース施策、インフルエンサー施策を行っています。
海外現地消費者を狙ったライブコマース施策
ライブコマースは、越境EC(海外現地EC)で商品を恒常的に販売するための起点です。
消費者の、「そんな産品があるんだ」「おいしそうだな」「一度試してみようかな」といった感情を醸成する接点として実施します。このライブコマースだけで爆発的なヒットを生み出すこともありますが、多くの自治体は認知を得る、一度試してもらうといった起点となる施策として考えています。
ターゲット国への認知を目的としたインフルエンサー施策
次にインフルエンサー施策です。海外、特に新興国では、知っている人からのおススメが最も有効な購買動機です。消費者と近いインフルエンサーが商品を試していたり、おススメしていると、私も一度試してみようかなと思ったりします。
初めて経験する外国の商品を自分から試そうと思ってもらうにはハードルが高いため、販売国の馴染みのある、また消費者と同じような感覚で産品を見てくれるインフルエンサーを活用しているのです。
このようなオンライン施策により、商品を認知し使ってもらい、ファンになってもらっておススメが生まれ、また認知を広げていく、そのようなサイクルを目指して地道に取り組んでいます。
おそらく自治体も、一足飛びに爆発的な販路の拡大を狙ったりはしていません。ただ、状況が変わり自由に国内外を行き来できるようになったときには、そのサイクルに「来てもらう」といった新たな動機が生まれ、より大きな効果が生まれると考えているのではないでしょうか。
まとめ
このように地方に限らず、世の中の環境は大きく変わりました。まだまだ厳しい状況ではありますが、変化を受け入れチャレンジする自治体の取り組みを一つの手段として、関わってみてはいかがでしょうか。
この新たな試みが皆さんの未来の成長への布石となるようこの機会をチャンスと捉えて、経済の活性化を取り戻した元気な地域があちこちにでてくることを期待したいと思います。