新中国スタイル健康飲料が人気 ヘルシーウォーターや中薬コーヒーが若者の心を掴む

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トレンドの移り変わりが早い中国だが、数年前から健康志向ブームは継続しており、市場は年々拡大している。特に健康飲料に対する注目度は高く、多くの若者がお金をだしている。中国の企業は若者をターゲットとしたヘルシードリンクを次々に開発し、店頭には「低糖質」「カロリー0」などの表記ラベルを付けたドリンクが並ぶ。本記事では、中国でトレンドとなっている新中国スタイルの健康飲料と中国の若者が持つ価値観について紹介する。

新中国スタイル健康飲料が人気 ヘルシーウォーターや中薬コーヒーが若者の心を掴む

   著者:上海gramフェロー 米久 熊代
公開日:2024年11月4日

新しいブーム到来?!中国式ヘルシーウォーター

(写真:ヘルシーウォーター市場の半数以上を占めているブランドの人気商品)

今年人気

最近の中国では、竜眼ウォーター(ライチに似た果物)、小豆ウォーター、ハト麦ウォーター、ナツメウォーター、陳皮ウォーター(みかんの皮を乾燥させたもの)など、様々な中国式のヘルシーウォーターが店に並ぶようになった。

中国の若者の間では「寿命を延ばす水」とも言われており、百度のホット検索ワードにもヘルシーウォーターがランクインするほど。ヘルシーウォーターは中国の若者の新しい選択肢になっており、多くの人が購入している。

前瞻産業研究院が発表した「2024年中国の中国スタイルヘルシーウォーター産業発展トレンドインサイト報告」によると、23年に中国の中国スタイルヘルシーウォーターの市場規模は前年比350%以上増の4億5000万元(1元は約20.6円)に達した。今後5年間のこの市場の複合年間成長率は88%を超える見込みだ。猛烈な勢いで発展する中で、ますます多くのブランドがこの新ジャンルで競争を繰り広げるとみられる。市場機関のまとめた統計によれば、昨年は5ブランドがこのジャンルに参入し、今年1-5月はすでに10ブランドが参入、そのまま飲める飲料品市場で徐々に軽視できない細分化された分野になっているという。

(引用元:人民網  http://j.people.com.cn/n3/2024/0815/c94476-20206070.html

ヘルシーウォーターの価格は通常5元~7元(約100円~140円、筆者の個人調査)で、他の茶系ドリンクと同じ価格帯だ。現時点でヘルシーウォーターの明確な定義はないが、中国の伝統的な薬効があるとされる食材を主な原料とし、煮出すなどの調理方法を経た健康的な飲料のことを指すようだ。

ヘルシーウォーターを自分で作ることもできるが、仕事や普段の生活で忙しい現代の若者にとってペットボトル入りの飲料は便利である。さらに低カロリーで、種類によってむくみなどの症状にも効くと言われているヘルシーウォーターは中国の若者の需要とマッチした。

中国ではよく水をたくさん飲むよう勧められる。学校や職場など多くの建物には温水などがでる給水所が設置されていて、無料で飲むことができる。中国人が水をたくさん飲む習慣は、口に入れる物を通して健康を維持するという中国人の考え方や東洋医学が関係しているのだろう。

健康飲料市場では0カロリー・0脂肪・0糖の健康茶が人気だが、今後は健康水が新たなトレンドになると予測されている。

中薬(漢方)コーヒーが若者の間で人気

(写真出典元:小紅本)

数年前から中国伝統の薬である中薬(漢方)を抽出して作った中薬(漢方)コーヒーが若者の間で話題となった。一過性のブームのようにも見えたが、現在もさまざまな形に変化しながら静かに注目され続けている。

中薬コーヒーとはダイエット、美肌、風邪予防などの効果があるとされる中薬を使用。店によっては客の体質に合わせた効果を勧めてくれる。

中国老舗の中薬(漢方)薬局である「胡慶余堂」では、胃もたれや食欲不振に効果があるとされるみかんの皮を乾燥させた陳皮という食材や、目のトラブルなどに効くとされる菊花を使用したカフェラテなど、健康的でヘルシーだが若者でも飲みやすいコーヒーが人気だ。価格は22元~32元(約440円~640円)。スターバックスのトールサイズのアメリカンコーヒーが一杯25元(約500円)、中国の大手カフェチェーン瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー)やManner Coffeeは15元前後と考えると、安くはないが決して出せないほど高いというわけではない。

昔ながらのイメージが強い中薬だが、コーヒーと融合することで新しい物好きの中国の若者の関心は高まっており、こうした新中国スタイル飲料が新たなブームの兆しとなっている。

中国の伝統的な飲食へお金を使う中国の若者

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(写真:中国の伝統的なお茶)

現在、不動産不況などの影響で景気が悪いことから、コスパを重視する理性的な消費傾向にある中国だが、若者を対象に行ったある調査では、飲食に関する消費は積極的だということが分かった。

中国スタイルの消費でトップに立っていたのは中国スタイルの健康食品(41.6%)で、3位は中国スタイルの健康飲料(34.4%)だった。

(引用元:人民網  http://j.people.com.cn/n3/2024/0827/c94476-20210843.html

昨今の中国の若者は、海外ブランドよりも自国の文化や伝統に注目し、中国式関連のものが多くトレンド入りするように見受けられる。

まとめ

(写真:上海市のコンビニで販売されているヘルシー飲料、ごく一部)

中国の若者の間で新たな選択肢として登場したヘルシーウォーターや中薬(漢方)コーヒーだが、万人に受けるものではないようだ。癖のある味、薬効を感じないなどという口コミもある。味に関しては個人の好みが分かれるし、ヘルシーウォーターの薬効に関しては賛否両論あり、下痢になったなどの悪評も見られた。ヘルシーウォーターに対抗すべく健康茶の価格競争も始まっている。

今後も続くと予想される健康飲料ブームで、健康・味・価格のバランスと若者の斬新な需要にいかに摺り寄せることが出来るかが、激化する市場で生き残るカギかもしれない。

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