中国で急成長するおもちゃ市場。人気の高いおもちゃとは
近年、中国国内のおもちゃ市場が急成長している。近所の公園にはベンツのラジコンカーを走りまわらせる子どもがいたり、中国人の子どもたちのおもちゃには驚かされることが多い。中国国内のおもちゃ市場は2016年の556億元(約9385億円)から2020年には779億7000万元(約1兆3160億円)に増加した。当記事では中国におけるおもちゃ市場の急成長の背景と、人気の高いおもちゃについて紹介する。
中国で急成長するおもちゃ市場。人気の高いおもちゃとは
著者:上海gramフェロー 米久 熊代
公開日:2022年5月27日
おもちゃをもらう回数が多い中国人の子ども
筆者の住んでいるマンションで子どもの日用に販売されたおもちゃ
5月16日現在、上海市では事実上のロックダウンを緩和すると政府からの発表があったが、厳しい外出制限は続いている。筆者が住んでいる小区では、マンション住民で食料や日用品を団体購入して生活している。先日、団体購入のグループチャットで紹介された商品には驚いた。なんと子ども向けのおもちゃが販売されたのだ。というのも6月1日は中国のこどもの日。
日本人の感覚からすると、こどもの日にプレゼントをもらったり与えたりすることはあまりないと思うが、中国では親や祖父母が子どもにプレゼントを用意することが多いと中国人の友人は話してくれた。団体購入で販売されていたおもちゃは、79元(約1,501円)~2639元(約50,141円)まで幅広い価格のものが取り揃えてあった。筆者の小区では子ども1人当たりに約628元(約11,932円)使っていた。一番高い買い物をした人は1679元(約31,901円)だった。
近所の公園には、ベビーカーの荷台に山ほどのおもちゃを詰め込んで遊びにくる子や、手押し車や三輪車、キックボード、高級ラジコンカーなどに乗って遊ぶ、たくさんの子どもたちが見られる。中国人の友人いわく「日本人と比較して、中国人は子どもに対して良くいえば優しいし、悪くいえばとても甘い」。彼女は続けて「子どものためなら値段が高くても品質の良いものを買い与える」とも話してくれた。最近は新型コロナウィルスの影響で”おうち時間”が多くなったことも中国のおもちゃ市場を後押ししている。
新型コロナが後押しとなったおもちゃ市場
中国のおもちゃ産業は急成長している。全国に446万7000社のおもちゃ関連企業があり、そのうち2020年に新規登録した会社は129万6700社に達する。今年1~5月の新規登録は56万3400社で、前年同期比で32%増加している。中国玩具・ベビー用品協会によると、国内のおもちゃ市場は2016年の556億元(約9385億円)から2020年には779億7000万元(約1兆3160億円)に増加した。
(引用:AFPBB News https://www.afpbb.com/articles/-/3357793 )
消費者が最も多く購入したのは「プラスチック製積み木」で16.2%、次いで「ぬいぐるみ」14.9%、「人形・ミニチュア人形」12.6%、「リモコン電動玩具」10.9%と続いた。
Renub Research社によると、中国のおもちゃ市場は2020年から2026年にかけて年平均成長率4.04%で成長すると予測されている。
近年、多くのおもちゃブランドがeコマースプラットフォームに参入している。ライブコマースがおもちゃをオンラインで購入するための重要なチャネルになっている。消費者が最もよくおもちゃを購入するのは抖音(32.9%)と京東(32.2%)で、淘宝(19.0%)がそれに続く。
(引用:RESEARCH經貿研究 https://research.hktdc.com/tc/article/MzA3ODUwOTUx )
天猫のSTEM玩具売上ランキング
生活水準が向上するにつれ、中国人保護者のおもちゃに対する需要が増加した。また、新型コロナウィルスの影響で巣ごもり需要が高まり、それに伴うオンライン経済の急成長もおもちゃ市場を拡大させた要因の1つだ。
最近は子どもの知育を目的とする知育玩具やハイテクな電子玩具に関心が高まっている。その中でも特にSTEM玩具の人気が非常に高いと現地のネットニュースでは述べていた。中国ではSTEM教育が国のカリキュラムに盛り込まれているため、STEM玩具の需要は引き続き伸びると予測する。
STEM教育とは科学、技術、工学、数学の教育分野を総称したもので、子どものうちからITに触れて自主的に課題を解決する力を養う教育です。中国ではSTEMの学士号を取得した学生が世界一の470万人を誇り、今後も増加傾向にあるとのことです。(2030年には20%増加する予測)
(引用:コエテコ https://coeteco.jp/articles/10707 )
まとめ
子どものおもちゃの購入時、保護者が最も重要視しているポイントは安全性ではないだろうか。筆者がおもちゃの木琴を淘宝で購入した際、子どもの力だけで簡単にネジが外れてしまったときには肝を冷やした。子どもがネジを誤飲し窒息、最悪亡くなる場合もあるからだ。近年、中国ではおもちゃの事故が多発している。
中国消費者協会によると、2020年に全国消費者団体が受けつけた子どものおもちゃに関する苦情は4847件に上り、2019年のほぼ3倍になった。広東省市場監督局が、651社の1035点の子どもおもちゃ製品の品質を抜き取り検査したところ、184社が製造した214点の製品が不適格であることが判明した。約20%ものおもちゃが不適格だった計算だ。
(引用:AFPBB News https://www.afpbb.com/articles/-/3357793 )
子どもを持つ中国人の保護者たちは、安心して子どもが遊べるおもちゃなのか、常に目を光らせている。安全性の根拠をしっかり証明できる『日本製』の商品こそ、中国人消費者のニーズを満たすことができると期待したい。