イーロン・マスクとTwitter:アメリカ国内の反応と理由

アメリカ

先日、テスラやスペースXでお馴染みのイーロン・マスクがTwitter社の買収手続きを年内に完了すると発表し、アメリカで話題になりました。しかし5月13日にはこの手続きを一旦保留するとしています。買収のあるなしに関わらずイーロン・マスクがなぜTwitter社を買収したかったのか、Twitter社を買うことでイーロン・マスクにどんなメリットがあるのか。そしてこの一連の動きから読みとれるTwitter社の現状やアメリカ国内の反応、世界の流れを解説したいと思います。

イーロン・マスクとTwitter:アメリカ国内の反応と理由

    著者:シアトルgram fellow 土師 恵
公開日:2022年5月16日

時系列

まず今回の一件に関するイーロン・マスクの動きを時系列で見ていきましょう。
4月1日 イーロン・マスクが数%のTwitter社の株を買い集め始める
4月9日 Twitter社を丸ごと買収する意向を表明
4月21日 約6兆円の資金調達を完了し、Twitter社が買収を承諾
4月25日 約5兆6000億円でTwitter社の買収を発表
5月11日 アメリカ証券取引委員会が調査に乗り出す
5月13日 イーロン・マスクが一時的に買収を保留すると発表
5月14日時点ではここまでで、また何かニュースがあるかもしれません。

〈イーロン・マスクのお騒がせなTwitter〉

買収の理由1

イーロン・マスクのTwitter買収の主な理由は、言論の自由を守るためだといわれています。実はTwitter社は自社の権限でアカウントを規制することができます。例えばアメリカのトランプ元大統領は不正確な情報、差別的な情報を頻繁にツイートしていました。特にアメリカ連邦議会議事堂襲撃事件を扇動したといわれる一件が決定的となり、Twitter社はトランプ元大統領のアカウントを永久凍結しました。一方でイーロン・マスクは現在約8700万ものフォロワーを持っています。今のところ犯罪は犯してはいませんが、彼のツイートで株価が乱高下します。ある年のエイプリルフールには「テスラは潰れる」とツイートし、テスラの株価が大幅に下がりました。また、特定の仮想通貨銘のハッシュタグをつけてツイートし、仮想通貨の価値を乱高下させました。このような言動についてイーロン・マスクは公正取引委員会から何度も注意されています。将来自分もトランプ元大統領のように自由に発言ができなくなったり、アカウントを凍結される可能性があるので、事前にTwitter社を買収して自身を含めての言論の自由を守りたかったのではないかといわれています。

〈スマホを触るトランプ〉

買収の理由2

買収のその他の理由が、経営が振るわないTwitter社へのテコ入れです。イーロン・マスクはTwitter社のアカウント規制に対するアルゴリズムの透明化、ユーザー管理を強化するとしています。
これまでのTwitter社は、トランプ元大統領への規制のような正しい判断をすることもあれば、間違った判断でのアカウント規制も頻繁にあったようです。
例えば、「違法薬物はやめよう!」のような啓蒙的なツイートのハッシュタグだけに反応してアカウントを止めてしまったり、このように誰に対しても取り締まりが厳しいと思いきや、その一方では誹謗中傷や有害ツイートを流しているアカウントを規制しないなんてこともあります。
このような事態が引き起こされる原因や理由をTwitter社に聞いても回答をもらえることは少なく、アルゴリズムの不透明さに批判があがっています。
そこでイーロン・マスクはTwitterのアルゴリズムの透明化を考えています。
匿名性の高いTwitterですが、匿名性が高いからこそ誹謗中傷やデマツイートの温床と化しているので、ユーザーをしっかり管理して、スパムボットの撲滅を目指しています。以前にTwitter社はスパムボットや偽アカウントの割合が全体の5%以下だと公表していましたが、今回買収を一時保留したのは、それを確認するためだと話しています。
さらに、現在の有名人バッヂの様なものを利用者全員につけるなどで、Twitterをより安全で使いやすくすることを目指しています。
また、ツイートの編集ができる、長文を書ける、有料化で広告を表示しないなどの新しい機能の構想もあります。
もし今回の買収が完了したら、Twitterはだいぶ変わりそうですね。

買収前のTwitterの状況

Twitterはアメリカではトップオブトップの企業ではありません。大きい会社ではありますが、ビッグテック(GAFAM)にTwitterは入っていませんし、FacebookやGoogleと比べて時価総額が格段に低いです。同じSNSで比較してみた時、Facebook(meta)は約66兆円です。Facebookの利用者は約19億人に対し、Twitterの時価総額は約6兆円で利用者は約2億人です。日本とアメリカで沢山使われているのはTwitterですが、世界全体でみるとFacebookの方が使われています。ビッグテックの中ではGoogle、Amazon、Facebookで60%の広告をとっていますが、Twitterはわずか1%です。Twitterは過去何年も連続赤字でした。2021年にはTwitter創業者でありCEOのジャック・ドーシーが辞任しています。こう見るとTwitterは落ち目な会社、つまりあまりお金を生み出す企業ではないと一般的なアメリカの実業家は考えますが、イーロン・マスクは違いました。約5兆6000億円で世論を操作できるメディアを手に入れることができるならお買い得だと考えたのです。彼はお金よりも影響力が欲しかったのではないかとアメリカでは考えられています。

まとめ

現時点でイーロン・マスクがTwitterを買収するかどうかは定かではありません。出る杭が打たれたのか、それともイーロン・マスクが元々考えていたシナリオ通りなのかは筆者には分かりません。彼は度々その発言や行動で世間を騒がせて、特定の株価を落とすという手法をとっています。その度に株を買い増して、さらなる富を築いているのかもしれません。また、4月23日にEUがデジタルサービス法を取り決めました。SNS使用者が有害な情報を流した際、プラットフォームがその責任を取るというものです。EU加盟国は違反を確認した場合、プラットフォームつまりFacebookやTwitterに対して、売り上げの6%の罰金が科されるといわれています。またこのデジタルサービス法はイーロン・マスクの目指すアルゴリズムの透明化にも大きく関係します。この一連の流れはアメリカや日本にも影響を与えてくるかもしれません。今回の記事が御社のビジネスのヒントになったら幸いです。

〈お騒がせツイートで乱高下するイーロンマスクのテスラ社の車〉

 

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