イタリアでも注目されるセカンドハンドという中古品市場

イタリア

世界中でインフレが加速している昨今、その裏で熱い視線が注がれているのがこのセカンドハンドという市場である。

セカンドハンド(二番手)という言い方は、おそらくファーストハンド(一番手)という新品を持つ人から二番手の次の人に渡るという、中古品を意味する。

メルカリのシステムは、売り手というファーストハンドの人からセカンドハンドへ販売譲渡するという意味においては、中古品市場だとも言える。

イタリアのアマゾンウエアハウス(Amazon Warehouse)が、最近そのネーミングをアマゾンセカンドハンド(Amazon Second Hand)に変更したくらいだから、セカンドハンドは今まさに注目のワードと言えよう。

イタリアではセコンドマーノと言われ、セカンドハンドと全く同意義である。

イタリアを主軸に、このセカンドハンド市場の注目度を見ていきたい。

イタリアでも注目されるセカンドハンドという中古品市場

著者:イタリアgram fellow 伊田里アネ
公開日:2023年6月19日

最近のセカンドハンド(中古品)がイタリアで人気なわけ

パンデミックの停滞から解放されると共に消費が加速されるかと思いきや、物価高な今もまた試練の時。2022年から中古品市場は世界的にも再注目されている。特にこの中古品市場、セカンドハンドはファッションの間で最も熱い視線が注がれている。

ボストンコンサルティンググループとフランスで創業したユニコーン企業で、セカンドハンドの衣類が売買されるプラットフォームを提供するヴェスティエールコレクティブ(Vestiaire Collective https://www.vestiairecollective.com )の調査によれば、セカンドハンド市場は世界中で1000億~1200億ドル市場(約13兆8千万円から16兆5600億円)に到達したとする。この実績は2020年比で3倍に膨れ上がっているとされる。

実際にこのヴェスティエールコレクティブは、世界50カ国に会員がおり、人気は今も衰えることがない。

そしてイタリアでももれなく中古品を取り扱うショップやプラットフォームが増え、その市場規模は250億ユーロを見込んでいる。

それは国内GDPの1.3%をも占めることになる。

特に人気のセカンドハンド商品はなにか。

もはや国民の10人のうち6人はオンラインショッピングをするイタリアで、こういったセカンドハンドのショッピングも活用されるようになってきた。

実際にセカンドハンドを利用することによって、平均で1000ユーロ(約15万円)近くも得したともされている。

現在1100万人のユーザー数をもち、セカンドハンドの売買プラットフォームを提供する2007年にミラノで起業したスービト(SUBITO https://www.subito.it/)は、イタリアのデジタル企業においてトップ10の1社にあたる。

スービトの中古品売買カテゴリーは、オンラインとはいえども、自動車はBMWの高級車から、自転車、IKEAの家具、スマートフォンなどの日用品、さらには中古住宅や雇用情報などまで幅広い。

BVA DOXAが指導する中古経済観測データ2022年によると、中古車は106億ユーロ(約1兆5900億円)と人気が高く、次いで家庭用製品で67億ユーロ(約1兆50億円)、そして電化製品の45億ユーロ(約6750億円)であると報告する。

しかしオンラインでの売実施回数となると、家庭用製品(77%)やスポーツ趣味用品(53%)、そして電化製品(48%)である。

つまり衣類アクセサリー、家事用品、そして書籍雑誌が人気を集めているということだ。

世代を超えた架け橋になるセカンドハンド

サスティナブル、持続可能であることを大義に考えるとなかなか難しい。

でも実際のところは古くてもまだ使えるものがあるとか、自分が必要じゃないものがあるとしても、他人にはニーズがあるなどといった、人から人へ渡るということもひとつのサスティナブルだ。

50歳の時はまだまだ現役だった自分の愛着ある品物がZ世代の人に喜んでもらえたり、ミレニアム世代で使用していたものが若い家族へ渡ったり、国は違えどお互いの価値観を共有できたりと、国境や世代を超えた商品の交流ができるのがセカンドハンド市場ともいえよう。

まさに多様性の理解がセカンドハンドというレンジ(range:範囲)では、押し並べて平等であるという価値を創造しているのではなかろうか。

おばあちゃんが着ていた着物の仕立てが今でも美しかったり、ビンテージのブランドもののジャケットは今でも着崩れしない型があるなど、古くとも今なおいっそう手に馴染むものは結構身近にあるものだ。そしてなによりも今の今まで大切にしていた愛がある。

セカンドハンドは流行りだけではない。
すぐそばにある、愛のあるロングライフデザインではなかろうか。

*1ドル=138円で計算
**1ユーロ=150円で計算

参考資料
◇Corriere.it:Second hand, il mercato dell’usato vale in Italia 25 miliardi di euro
https://www.corriere.it/economia/consumi/23_aprile_28/second-hand-mercato-dell-usato-vale-italia-25-miliardi-euro-59b95474-e595-11ed-b98e-227d9ceb5d4e.shtml

◇Investireoggi.it:Amazon Seconda Mano, il colosso cambia strategia
https://www.investireoggi.it/news/amazon-seconda-mano/

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