イタリアSNSマーケティングの行方
「Youtubeの広告収入が落ちた」と話題になっている。ショートストーリー動画で盛り上がるTikTokか、お友達を繋いだサークル的なFacebookか、写真メディアだけでないリール再生も盛んなInstagramか。
これらSNSインフラは、もはや世界共通と言えよう。
イタリアではSNSがマーケティングツールとしてどのように活用されているかを考察したい。
イタリアSNSマーケティングの行方
著者:イタリアgram fellow 伊田里アネ
公開日:2023年2月20日
世代別のSNS利用者トレンド
14歳未満のソーシャルメディアへの参加は禁止されているイタリア。
Facebook、Instagram、Snapchat、Twitter、Whatsappなどの利用は15歳以上からということになる。
したがって、アクセス統計的には曖昧ではあるが、マーケティングとしての年齢層は15歳以上からと見込んでいる。
2023年1月時点で、イタリアのアクティブなインターネットユーザーは約5078万人であり、インターネット普及率としては86.1%であった。そのうちのアクティブなソーシャルメディアユーザーは4390万人で、総人口の74.5%にあたる。イタリアのソーシャルメディアユーザー数は、2026年末までに 4,650万人以上に達し、来年も緩やかではあるが一定の成長を遂げると予測されている。
圧倒的に強い登録数があるのはYoutubeで、イタリアのソーシャルメディアユーザーの91%に利用されている。次にFacebookで88%、最後にInstagramで79%というのが、2022年の結果であった。
Youtubeを除いた世代別のSNSの利用において、ミレニアル世代の91%が登録するのはFacebook。続いて人口数を持つベビーブーム世代も88%がアカウントを所有している。
その一方で、InstagramやTikTokは年齢層が下がり、Z世代の利用者が多い。その比率は51%となる。その残りの49%は時間をTwichに費やすともいわれている。
インフルエンサーフォロー数の減少
オンライン上のインフルエンサーを積極利用したマーケティング方法は、今でも注目されている。
しかし優れた商品を自らのライフスタイルに取り入れ紹介し、そのアクセス数を増やすというインフルエンサーのフォローがここ数年減りつつある。
Blogmeterは、マーケティング効果が高いインフルエンサーが活躍する圧倒的なメディアはInstagramであったとレポートする。
61%のフォロワーは新商品について知りたいという動機であった。続いて購買欲を駆られるというのが51%、そしてセカンドオピニオン的な意見を聞きたいという理由でフォローするのは48%であった。マーケティングの見地にして、敵に回したくないのがインフルエンサーといえよう。
さらに驚くのは、イタリア人の66%は、インフルエンサーの商品紹介だけで購入しているという。
飽きられてきているSNSツール
一方で、ANSA LIFESTYLEの調べによると、15-16歳の思春期の若者層はスマートフォンに依存傾向があるものの、それを自覚しているそうだ。ついつい画面をスクロールして観てしまうのだが、そういう自分に行動を抑える努力をしているらしい。
TickTokで動画を次々とスクロールして観ることで、時間を無駄に消費しているという現実に気づき、アプリをアンインストールする人も増えているという。Youtubeですら、その利用をやめたという子どもがいる。Instagramについてはもう興味すらないという答えもあるほどだ。近い将来のSNS事情としては、スマートインフォメーションのような無駄を省いた新しいものが登場するかもしれない。
ただし、文字や写真で理解させるというよりも、効率よくスマートに動画を配信することが次世代向けツールになっていくのではないだろうか。
パンデミック下において、イタリアで行動制限があった時期、1日約6時間もオンラインで過ごしていた人がいたとされるが、日常生活を取り戻しつつある現在は2時間程度といわれている。
膨大に膨らんだSNS市場は、情報の断捨離を行わざるを得なくなり、SNSのミニマリズム化がはじまるかもしれない。
参考
◇Global Digital Insights
https://datareportal.com/reports/digital-2023-italy
◇Inside Marketing:
https://www.insidemarketing.it/italiani-e-social-media-2022-dati-blogmeter/